ふるさと加東の歴史再発見

少し気をつけて周囲を見回してみると、身近なところにふるさとの歴史を伝えるものがある。

稲尾の虫送り

2008年07月07日 05時58分52秒 | Weblog
 6日(日)夜、加東市稲尾で「虫送り」の行事が地区総出で行われました。この行事に「加東市歴史の会」の一員として参加させてもらいました。
 この「虫送り」の行事は今年で6回目を迎えるもので、戦前の昭和初期までは行われていたものの、その後途絶えていた伝統行事を復活することで、地域おこしを図っていこうという趣旨のもとに行われています。
 稲尾地区の八幡神社境内には稲尾地区の老若男女が集い、午後から焼き肉などを楽しんだあと、夕方から「虫送り」の行事が始まりました。区長さんの挨拶やゲストの祝辞、そして加東歴史の会の中西会長の「加古川筋一揆と稲尾」の話、東条短歌会の皆さんの短歌紹介などが行われたあと、薄暗くなった境内で松明に火をともして「虫送り」の列が出発しました。
 先頭はわらで作られた「馬に乗った実盛(さねもり)人形」、これに「虫送り」「豊年祈願」などの言葉が書かれた幟、長い竹の松明、そして一人ひとりが持つ短い松明、そして太鼓や鉦の鳴り物の列が揃うと神社を出発し、もう暗くなった地区の田の中の道を歩きます。
 「実盛さん」とは斉藤実盛のことで、戦いの最中に田の稲株に足をとられてころび、これが原因で敵にやられてしまったということで、その霊が田の虫となって被害をもたらすという言い伝えがあり、その実盛さんの名を呼びながら田の虫を松明の灯で誘い出して追い出すということです。ただ、「サネモリ」は実盛の名であるというほか、早苗、さなぼり、早乙女などの田に関係する「早」「サ」という音、言葉によるものという話も聞きました。わらでつくられた実盛人形は地区の方がこの人形に詳しい人から教えてもらって作ったそうです。
 今日から北海道でサミットが開幕します。環境サミットという位置づけがなされていますが、50戸余りの小さな集落ですが、この稲尾地区で行われた虫送りの行事には「人間と環境の調和」を考える上で大切なものが揃っているように思います。
 「鎮守の森」があるということ、そしてこの森に人々が集って「農」に深く関わる伝統行事が行われること、そしてそこに地域、村の人々の心が一つにつながる時間と空間が創出されていることです。都会の人から見るとものすごい贅沢な環境だと思うのです。
 虫送りの列は真っ暗になった稲尾地区をぐるっと回り、南の高いところにある池の堤で終わりました。わらの実盛人形が火で燃やされ、虫とともに空に上がっていきました。「さねもりさんと上洛せい!」のかけ声とともに。
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2 コメント

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虫送り (駿)
2008-07-07 07:28:24
 よき伝統が復活しました。斉藤実盛がでてくるとは面白いですね。勉強になりました。
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初めての虫送り体験でした (ブログ管理人)
2008-07-07 08:05:26
 虫送りの行事は生まれて初めての体験でした。キャンプファイヤーでトーチサービスをする時の興奮とよく似た感覚でしたが、違うのは歴史性でした。こうした伝統行事を今のうちに次世代に伝えておこうという稲尾地区の皆さんの熱意に感謝と敬意を捧げます。
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