メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

サンセット大通り

2014-04-16 14:08:51 | 映画

サンセット大通り (Sunset Boulevard、1950米、110分)

監督:ビリー・ワイルダー

グロリア・スワンソン(ノーマ・デズモンド)、ウィリアム・ホールデン(ジョー・ギリス)、エリッヒ・シュトロハイム(マックス)、ナンシー・オルソン(ベティ・シェーファー)、セシル・B・デミル(himself)

世評のとおり傑作である。モノクロ画面が少し暗いのだが、大スクリーンではどうなのか。

 

無声映画時代の大スターであるノーマの大屋敷(サンセット大通りのはずれにある)に、車の借金で逃げていた脚本家ジョーが逃げ込む。

ノーマは20年も映画に出ていないが、いまだに大スターとしての地位にあると信じていて(見るからに妄想とわかるが)、有能な執事マックスに世話してもらっている。ノーマは自分を主役にした「サロメ」の脚本を書いていて、ジョーに計画を持ちかけ、生活の面倒を見てやるようになる。

ありそうな話だが、ここからの細かい場面、展開、台詞、カメラが実によくできていて、今から見るとスリラーとしてはちょっとゆるい話ではあるのだが、最後までじっくり見せる。

 

スワンソンも姿を消して20年後にちょっと出てきたのを、ワイルダーがこの映画のアイデアに起用しようと考えたようだ。

 

特に後半、話がのっぴきならない展開を見せ始めてからの彼女の熱の入りようはすごい。

 

まだ若いホールデンも適役だが、執事マックスの存在感は抜群である。ジョーが揺れ動く脚本家の卵の娘ベティのシェーファーは初々しいがこのあとあまり活躍してないようだ。 

 

セシル・B・デミルが自身の役で出ている。決してよく描かれてはいないのだが、息子ほどの歳のワイルダーの作品によく出たなと思う。

 

製作された1950年は「赤狩り」との関係でいけば、あまりハリウッドに批判的な描きかたは出来なかったと思う。この作品も表面的には避けているようだが、深読みすればワイルダーの真意が少し見えるような気もする。

ワイルダーの映画で正義感が気持ちいい娯楽作品「お熱いのがお好き」、「アパートの鍵貸します」、「フロント・ページ」などはずいぶん後の作品だ。

 

ところで恥ずかしい話だが、これがWOWOWで放送されると知り、見てみようかと思ったのは「サンセット大通り」という名前からで、1960年代前半のTV映画「サンセット77」をよく見ており、当時の日本からするとソフィスティケイテッドな街が記憶にあり、これもそこを舞台にしたしゃれたものかと思ったからである。

勘違いだったが、結果としては良かった。 

 

TV映画のテーマソング、「77 Sunset Strip、、、」は今でも覚えている。探偵事務所長を演じるのはエフレム・ジンバリストJr、そうロシア系の高名ヴァイオリニストの息子、後輩がロジャー・スミス、この人は当時代表的な二枚目俳優だったが、アイドル歌手・女優アン・マーグレットと結婚後は驚いたことに彼女のマネージャーになってしまった。ただマーグレットは年齢を重ねてもかなり活躍しているから、これは賢明だったかもしれない。

その他見習い助手のク―キー(エド・バーンズ)の車の扱い方、櫛の入れ方、中年の探偵仲間ロスコ―と、なかなかよくできたシリーズだった。

以上、ちょっと余計なはなし

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