メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

催眠(ラーシュ・ケプレル )

2011-11-07 09:39:12 | インポート
「催眠」上下、ラーシュ・ケプレル 著、ヘレンハルメ美穂 訳、ハヤカワ文庫
 
スウェーデン・ミステリは先の「ミレニアム」をはじめとして好調のようなので、評判の作品を読んでみた。
が、今回は不満が募った。途中からあと、結末は知りたかったから最後まで行ったが、結末というよりはその過程、背景、多くの登場人物に、こちらが入っていけないものを感じた。
 
ミレニアムのように、登場人物の内面、家庭、男女関係は詳細に描かれ、それが現代社会を反映しているのは、他の国のものとは違っていて、特徴的ではあるけれど。
 
精神科医が主人公で、過去に患者グループに施した催眠治療で問題が生じ、二度とやらないと宣言したのだが、ある少年が起こした異常犯罪で、警察から頼まれ関係者を守るべく少年に催眠術をかける。
しかし、それがきっかけで様々な奇怪な事件がおこり、それは主人公の家族におよぶ。
 
主人公の描き方に特に不満はないが、展開が精神を病んだ未成年の、それもゲームの世界がからんだもので、過去の治療風景が延々と続く描写も気分が悪いし、異常な暴力もこんなに描写する必要があるのか。終盤のアクション描写は無理がある。
  
それから主人公の妻について随分いろいろ書かれているのだが、まったく魅力が感じられず、感情移入していけない。
 
唯一の救いは、捜査の中心となっている警部で、この作者のシリーズでは今後主人公になっていくらしいから、期待できるかもしれない。

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