
新潮社から2005年3月に発行された佐藤優(さとうまさる)氏の「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」をようやく読んだ

昨年秋のプーチン大統領来日の頃から気になっていたが今年の6月図書館に予約をして90人以上の予約待ち やっと番が回ってきたわけ

まづ感想だが:
子供の頃、近くの観音様の縁日で「傷打ち身何にでも効く」という蛇の油の練り薬を売る香具師が出る 香具師は客寄せに「頭の二つ有る蛇」が入っている袋を取り出す 爺は頭の二つ有る蛇を見たくて毎回一番に寄るのでその内その袋の口をしっかり押さえておく役をさせてもらう事になった 確かに袋は重く蛇らしきものがいる 逃げると危ないからしっかり抑えておきなー なんて言われて 巧みな口上で別の袋から本物の青大将を出し話をいつか薬に向けてその薬が売れてお仕舞い
ついに爺は頭の二つある蛇を見ないで終わった

話を戻そう 元外務省のノンキャリアーであるが対ロシア問題で異能の佐藤氏がいわゆる「宗雄疑惑」を立証するため本人は「イスラエル教授の旅費支出に掛かる背任罪」と「国後島ディーゼル発電機発注に掛かる偽計業務妨害の罪」に問われ一審は懲役二年半 執行猶予4年の判決を受けそれを不服として目下控訴審で係争中である
「国家の罠」は逮捕以降の担当検事とのやりとり、拘置所での生活、他の被疑者の対応等まことに512日の独房生活を送ったものにして書けるリアルさがある
又担当検事の口をして「国策捜査」だと語らしている内容は凄い

しかし何で「鈴木宗雄氏」が国策捜査の対象になったのであろうか?
それらしい事情は佐藤氏も書いている
1:外務省の綱紀弛緩(支援室長の公費流用)に対する目くらまし(関心を他にそらせる)2:田中真紀子(外相)との軋轢 3:その結果、鈴木氏による小泉総理への閣僚人事容喙(外相辞任と自身の議運委員長辞任の注文)4:時代のけじめ(これを検察官の口をして語らせ佐藤氏が解説する) 4-1:税金ばら撒き型政治の終焉 税金を公共事業やその他の形で出身地を潤す
4-2:皆で平等より規制をはずし強い個人を機関車として弱い大衆を客車に見立て引っ張らせる(この状況を佐藤氏は難しい横文字の経済用語で説明する)4-3:その結果炙り出される地政学を念頭においた国際協調路的愛国主義と排外主義的ナショナリズムの対立 など等

確かに袋の中に蛇らしき物は動いているがこれだけでは頭が二つ有るかどうかわからない
佐藤氏は本書の3分の1ほどを通じて氏のロシア人脈とそれに寄って来る日ロ平和条約締結の努力について語っている
そして橋本、小渕、森総理と2000年迄に日ロ平和条約(領土上の問題も懸案無く二国間の関係を確立する)を締結すべく真摯な努力をする事 そしてその努力が結ばなかった事を記す しかもその核心部分については国益というセリフで自身は一切口にせず28年後に明らかになる(外交文書も30年後には一般公開される すでに文書作成から2年経っているとの意味であろう)している
爺はこう思う
「国家の罠」P62-3 巷では東郷氏(爺の注;当時の外務省欧亜局長-佐藤氏の数段階上の上司)の考え方は「二島返還論」もしくは「二島先行返還論」で、日本政府の方針から外れていると批判がなされたが、これらは為にする批判で、ピントがずれている (爺の注:以下日ソ共同宣言とその解釈につき佐藤氏の見解が続く)--平和条約が締結されれば、北方四島の内、歯舞群島、色丹島の二島が日本に引き渡される事について既にロシア(ソ連)との間で合意している
中略 P63後段 東郷氏が「二島返還論」で平和条約を締結することを考えた事は一度も無い。東郷氏が「二島先行返還」すわわち、歯舞群島、色丹島を先に返還し、国後島、択捉島の帰属が決まらなくても平和条約を締結することができるなどと考えた事も無い。歯舞諸島と色丹島についてはロシアから日本への引渡しについて合意しているのであるから、「返還の具体的条件」について話し合い、国後島、択捉島については帰属について交渉するという「ニ+ニ方式」が日露平和条約交渉を加速する現実的方策と考えたのである。


この太文字、特に青字の部分が問題なのである
日ソ共同宣言は北方四島は「ソ連」のものであるが日本が希望するので特にソ連が譲って平和条約締結時には「歯舞群島、色丹島を返還する」という交渉の文脈上に存在する 言い換えれば「国後島・択捉島はソ連領」と認めることになる 従って北方四島は日本固有の領土であるとするアメリカの見解に反し日ソ共同宣言を基礎には平和条約の締結はありえない その変形たる「ニ+ニ方式」は反米行為の最たる物になる

これが鈴木宗雄、東郷和彦、佐藤優諸氏が「国家の罠」にはまった核心なのだと思う

ここを語らずして「背任罪」「偽計罪」を語っても「国家の罠」は見えない
これでは「読者に対する佐藤の罠」となろう
これが爺の読後感です
今年6月には東郷氏が帰国 佐藤氏の控訴審において「背任」を否定する発言をしている様である 佐藤氏個人には喜ばしい事である

「ニ+ニ方式」について爺の見解はプ-チン大統領と北方領土を参照願います

昨年秋のプーチン大統領来日の頃から気になっていたが今年の6月図書館に予約をして90人以上の予約待ち やっと番が回ってきたわけ

まづ感想だが:
子供の頃、近くの観音様の縁日で「傷打ち身何にでも効く」という蛇の油の練り薬を売る香具師が出る 香具師は客寄せに「頭の二つ有る蛇」が入っている袋を取り出す 爺は頭の二つ有る蛇を見たくて毎回一番に寄るのでその内その袋の口をしっかり押さえておく役をさせてもらう事になった 確かに袋は重く蛇らしきものがいる 逃げると危ないからしっかり抑えておきなー なんて言われて 巧みな口上で別の袋から本物の青大将を出し話をいつか薬に向けてその薬が売れてお仕舞い
ついに爺は頭の二つある蛇を見ないで終わった

話を戻そう 元外務省のノンキャリアーであるが対ロシア問題で異能の佐藤氏がいわゆる「宗雄疑惑」を立証するため本人は「イスラエル教授の旅費支出に掛かる背任罪」と「国後島ディーゼル発電機発注に掛かる偽計業務妨害の罪」に問われ一審は懲役二年半 執行猶予4年の判決を受けそれを不服として目下控訴審で係争中である
「国家の罠」は逮捕以降の担当検事とのやりとり、拘置所での生活、他の被疑者の対応等まことに512日の独房生活を送ったものにして書けるリアルさがある
又担当検事の口をして「国策捜査」だと語らしている内容は凄い

しかし何で「鈴木宗雄氏」が国策捜査の対象になったのであろうか?
それらしい事情は佐藤氏も書いている
1:外務省の綱紀弛緩(支援室長の公費流用)に対する目くらまし(関心を他にそらせる)2:田中真紀子(外相)との軋轢 3:その結果、鈴木氏による小泉総理への閣僚人事容喙(外相辞任と自身の議運委員長辞任の注文)4:時代のけじめ(これを検察官の口をして語らせ佐藤氏が解説する) 4-1:税金ばら撒き型政治の終焉 税金を公共事業やその他の形で出身地を潤す
4-2:皆で平等より規制をはずし強い個人を機関車として弱い大衆を客車に見立て引っ張らせる(この状況を佐藤氏は難しい横文字の経済用語で説明する)4-3:その結果炙り出される地政学を念頭においた国際協調路的愛国主義と排外主義的ナショナリズムの対立 など等

確かに袋の中に蛇らしき物は動いているがこれだけでは頭が二つ有るかどうかわからない
佐藤氏は本書の3分の1ほどを通じて氏のロシア人脈とそれに寄って来る日ロ平和条約締結の努力について語っている
そして橋本、小渕、森総理と2000年迄に日ロ平和条約(領土上の問題も懸案無く二国間の関係を確立する)を締結すべく真摯な努力をする事 そしてその努力が結ばなかった事を記す しかもその核心部分については国益というセリフで自身は一切口にせず28年後に明らかになる(外交文書も30年後には一般公開される すでに文書作成から2年経っているとの意味であろう)している

爺はこう思う
「国家の罠」P62-3 巷では東郷氏(爺の注;当時の外務省欧亜局長-佐藤氏の数段階上の上司)の考え方は「二島返還論」もしくは「二島先行返還論」で、日本政府の方針から外れていると批判がなされたが、これらは為にする批判で、ピントがずれている (爺の注:以下日ソ共同宣言とその解釈につき佐藤氏の見解が続く)--平和条約が締結されれば、北方四島の内、歯舞群島、色丹島の二島が日本に引き渡される事について既にロシア(ソ連)との間で合意している
中略 P63後段 東郷氏が「二島返還論」で平和条約を締結することを考えた事は一度も無い。東郷氏が「二島先行返還」すわわち、歯舞群島、色丹島を先に返還し、国後島、択捉島の帰属が決まらなくても平和条約を締結することができるなどと考えた事も無い。歯舞諸島と色丹島についてはロシアから日本への引渡しについて合意しているのであるから、「返還の具体的条件」について話し合い、国後島、択捉島については帰属について交渉するという「ニ+ニ方式」が日露平和条約交渉を加速する現実的方策と考えたのである。


この太文字、特に青字の部分が問題なのである
日ソ共同宣言は北方四島は「ソ連」のものであるが日本が希望するので特にソ連が譲って平和条約締結時には「歯舞群島、色丹島を返還する」という交渉の文脈上に存在する 言い換えれば「国後島・択捉島はソ連領」と認めることになる 従って北方四島は日本固有の領土であるとするアメリカの見解に反し日ソ共同宣言を基礎には平和条約の締結はありえない その変形たる「ニ+ニ方式」は反米行為の最たる物になる


これが鈴木宗雄、東郷和彦、佐藤優諸氏が「国家の罠」にはまった核心なのだと思う

ここを語らずして「背任罪」「偽計罪」を語っても「国家の罠」は見えない
これでは「読者に対する佐藤の罠」となろう
これが爺の読後感です
今年6月には東郷氏が帰国 佐藤氏の控訴審において「背任」を否定する発言をしている様である 佐藤氏個人には喜ばしい事である

「ニ+ニ方式」について爺の見解はプ-チン大統領と北方領土を参照願います
川奈の秘密提案というのは国後、択捉の施政権はそのままにして、日本の潜在主権を認めさせ、平和条約締結後に両国の環境を整えて物理的返還を考えるということではなかったかと思うのですが、、、これが2+2で北方領土を動かすという意味でしょう(沖縄の返還前状態)
あくまで4島一括耳をそろえて帰さなければダメというスローガン運動では、もういちど戦争をするかということになりませんか。戦後60年で何も変わらない状態が現実です。アメリカが割り込んでくるのは日ロ関係の進展は好ましくないということでしょうが、いまや日本外交の多角化が求められるのではないでしょうか。アメリカが決めることではないでしょう。
日本の領土はサンフランシスコ条約締結時に調印国と合意なった訳ですがその相手方主体は米国政府です キーマンは当時のダレス国務長官 北方領土については択捉島(日)とウルップ島(ソ連)が境界(とは北方領土は日本のもの) これが米国政府の今に至る見解です これを日本の一存で帰ることは出来ません 日本の政治家も知識人も独立日本は何でも出来る様に錯覚したりブッシュ大統領の資質をみて米国の力を侮ります
仮に日本が(現実的だとか具体的だとかの理由で)2島返還で国境線を変えるような平和条約をロシアと結べば米国政府は直ちに沖縄の施政権を日本から奪還して米軍管理下の昔に戻ります 逆にいえば沖縄返還を実現する事で戦争によって領土は拡大しないという「アメリカンドリーム」を日本人とソ連/ロシア人に示したわけです
アメリカが口を入れたのではありません 日本政府が間違っているよと穏やかに警告しているのです 時間が有れば爺のカテゴリー「ロシア関連」の北方領土の記事をお読みください
当時本人も世間もやがて日本の総理大臣になると思われた元漁業相河野一郎,元外務大臣重光葵はこの問題で失脚、元総理鳩山一郎も
平和条約を締結できず下野しました
ソ連・ロシアは樺太・千島列島を事実上占領しているのであって米国ほかサンフランシスコ条約を締結した国とは折り合いが付いていないのです
従ってどんなに時間が掛かろうと北方四島の主権が日本にある事をロシアに認めさせその後の手続きに付き日米の合意が成り立つ線での応用外交で無い限り平和条約は結べないという事です オホーツク海、千島列島、樺太地域の安全保障のため日露が平和条約を締結できる機運は必ず来ると思います その為にも日本が経済的に50年ー100年でもしっかりこの極東に存在しなければいけません
又お立ち寄りください
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a164043.htm
にある鈴木宗男氏の質問主意書とその答弁を見る限りではやはりアメリカの圧力というか横やりが入ったとみるべきでしょうね。
北方領土でもアメリカに振り回されている。当時の力関係からすればしようのないことでしょうが。
ヤルタ会談でルーズベルトが千島列島の占領をスターリンに認めた点が始まりです 今ではルーズベルトのオーバーコミットメント(してはいけない約束)との見解が一般的です 戦後千島列島の線引きに関し米ソの激しい駆け引きがありサンフランシスコ講和会議ではソ連は南千島列島の線引き(択捉以南は日本領)とする米国見解に賛同できずサンフランシスコ講和条約に署名しなかったと思います(これは爺の見解)
大西洋憲章を初め第一次世界大戦の教訓を入れ「戦争による領土拡大は認めない」米国保守穏健派の意見が通り(ソ連の占領後領有権に紆余曲折有りましたが)
北方四島は日本固有の領土として日本に帰属するものとなったのです
この米国の意思をしっかり受け止められなかった日本(特に外務省)は日ソ国交交渉をする際大失敗します
つまりソ連との国境を何処で引き直しすれば米国(或いはサン条約締結国)との合意に反しないのか
この事を米国国務省と綿密な打ち合わせをする事無く開始します(何故か爺には分かりませんが歯舞・色丹島が返れば上出来とする考えが主流の様でした)今でもそうですが日本の行動は米国国務省とよく打ち合わせをして行うべき事項が幾つかあります
日ソ国交交渉では独立後間もない日本がこの事をすっかり手抜きしました 加えて一農林大臣に過ぎない河野一郎に漁業交渉に絡めて外交交渉を引っ掻き回され
サケマス欲しさにあわてて国交回復を図り米国のダレス国務長官に警告を受けたわけです(爺のロシア関連のカテゴリーを参照ください)
米国の真意は「戦争による国境線の変更は認めない 2島返還で平和条約を結ぶ(領土問題に何の問題も残らない)のはサン条約締結27カ国?の意思に反する事であり、その様な事をすれば沖縄の施政権をアメリカは返還する立場でなくなる」との意味です
その結果は鳩山内閣は平和条約を締結する事を諦め日ソ共同宣言とうい国交回復(外交関係の再開)でお茶を濁さざるを得ませんでした 四島一括返還は困難が多いと思います 残念ながらこの米国の意思を読み損ねた河野一郎、重光葵は総理大臣になり損ねました 鳩山内閣も短命で終わったのです
一方強国ソ連も90年代に崩壊 CIS からさらに独立する共和国が増えるでしょう バルト三国は独立しました シベリア以東の共和国もその様な時代を迎えるのが歴史の流れでしょう ロシアが北方4島の占有を手放し日本に帰属させた方がロシアの安全に寄与するという事態になるまで日本がしっかり存在し続ける事です
爺の孫が孫を持つようになるまで平和で安全でそこそこ裕福な国である事が北方4島回収の王道です
又 お立ち寄りください