『台湾のリコール投票は国民党「全面勝利」の話題です』
【台湾の最大野党、中国国民党の立法委員(国会議員に相当)24人に対する大規模リコール(解職請求)の投開票が26日行われた。中央選挙委員会と台湾メディアの速報によると、いずれの選挙区でも反対票が賛成票を上回り、リコール成立はゼロだった】と産経が報じました。
この状態を産経は、台湾の清華大栄誉講座教授、小笠原欣幸氏の意見を引用し:
【現在の台湾世論は頼総統の支持と不支持、与野党の支持率が拮抗(きっこう)する「M字型」の二極化構造が強まっている。今回はM字型のどちらの山がより多く実際に投票に行くかで決まる構図だった。
活動の現場をみると、リコール推進派の方が熱があり、投票にいく割合も高いとみえた。一方、去年1月の選挙結果をリコールという形で覆すのはおかしいという疑問も、かなりの有権者の心の中にある。こうした疑問を持つ人たちが投票に出てくるのかどうか最後まで不確実であった。国民党はそこを掘り起こし、不同意票を積み上げることに成功した】と説明しています。
『武力攻撃の前の民進党(台湾独立派)の政権に中国の政略が勝った」様に見え何だか落ち着きません』
写真:小笠原精華大学教授
産経新聞:
台湾の最大野党、中国国民党の立法委員(国会議員に相当)24人に対する大規模リコール(解職請求)の投開票が26日行われた。中央選挙委員会と台湾メディアの速報によると、いずれの選挙区でも反対票が賛成票を上回り、リコール成立はゼロだった。投票までの経緯やリコール運動の結果が今後の台湾政治に与える影響について、台湾の清華大栄誉講座教授、小笠原欣幸氏に聞いた。取材はオンラインで行った。
--投票結果をどうみるか
今回の罷免投票は国民党の全面的な勝利となった。1月から国民党立法委員のリコールを掲げる市民団体の活動が活発になり、与党・民主進歩党もそれをサポートしてきた。6月上旬ぐらいまで、リコール派が押しているとみていた。
国民党は当初、リコールにはリコールで対抗という方針だったが、有権者の署名集めに失敗し、党中央の指導不足もあり、かなり悪い流れが来ていた。しかし同党の立法委員は自らの後援会を動員し、リコール反対の小規模説明会を開催して徐々に態勢を立て直してきた。
頼清徳総統が6月下旬から、「国家の団結」を目指す全10回の講演を始めたが、「野党は濾過(ろか)されるべき不純物」と受け取られる発言があり野党支持者の怒りをかった。それまでたたかれる一方であった国民党側からすると「頼政権の好きなようにさせてはならない」と格好の反撃目標ができた。
投票結果からみると、ここがターニングポイントになった。終盤は各選挙区で国民党側が巻き返した一方、罷免支持派の活動は上滑りしたという状況だ。
--もともとの勝敗ラインは
リコール派は最低でも6人、できれば10人の解職にこぎつけたいと考えていた。そうでなければ(リコール成立後、3カ月以内に行われる)補欠選挙が非常に苦しくなる。解職がゼロに終わったことで補欠選挙もなくなった。リコール派の全面的敗北だ。8月23日にも国民党の立法委員7人に対するリコール投票があるが、いずれも署名集めの段階で苦戦しておりリコール成立の可能性は高くない。
--有権者の動向のポイントは
現在の台湾世論は頼総統の支持と不支持、与野党の支持率が拮抗(きっこう)する「M字型」の二極化構造が強まっている。今回はM字型のどちらの山がより多く実際に投票に行くかで決まる構図だった。
活動の現場をみると、リコール推進派の方が熱があり、投票にいく割合も高いとみえた。一方、去年1月の選挙結果をリコールという形で覆すのはおかしいという疑問も、かなりの有権者の心の中にある。こうした疑問を持つ人たちが投票に出てくるのかどうか最後まで不確実であった。国民党はそこを掘り起こし、不同意票を積み上げることに成功した。
--今回の罷免投票の争点は何だったのか
国民党側は、もし自分たちが解職されて民進党が立法院で過半数を得たら、監督機能を失って民進党の横暴が強まると主張してきた。
(引用終わり)