日本が抱えている先進国の中で一番の毎年約3万人の自殺者を出していると言う社会問題や我が国の政治・経済・防衛などを痛烈に批判したドラマで、自殺願望の政治家をある医学博士が手術をして人間の感情から恐怖心を無くしてしまうという技術を開発し、幹事長から総理へと野心を抱く一人の政治家へと変わって行き、この国を救うために革命を起こそうとする物語です。
この脚本を書いたのが、井上由美子さんで、彼女の代表的なドラマには、「白い巨塔」や「火垂るの墓」、「マチベン」、大河ドラマ「北条時宗」と数々の作品がある。
そして、彼女は、文化庁芸術作品賞、芸術選奨新人賞、放送文化基金賞、ギャラクシー賞優秀賞、向田邦子賞などの受賞歴の持ち主で有名な脚本家です。
このバンドラⅢで脚本家の井上さんと河毛監督が言わんとする、何も決まらず進まない閉塞感に満ちたこの国の在り方に、至る所にキーワードが提示されているドラマだった。
ドラマの最後に流れるトニー・ベネットの「the good life」のエンディングテーマが私は気に入った。
この国が抱えている問題の深刻さとは対照的に、なぜか救われるような心地良さを感じる。
(歌詞を翻訳すると)
なるほど、良い人生だね。楽しそうで、理想的だ
確かに良い人生だ。悲しい想いと向き合わないで、
チャンスがないと言い訳し、恋に落ちたりしない、
でもそれは本心かい。恋心を偽れるわけないのに、
本当に良い人生だね。自由で、冒険に満ちていて、
でも何をするにも一人っきりでは、心が痛むはず、
僕ならいつも君の傍にいる。もし迷いがあるなら、
ただ目を覚まし、その人生に別れを告げてほしい。