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Lou Reed, "Sweet Jane"

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド
(ルー・リード)
「ね、ジェイン」

曲がり角で
手にはスーツケース
ジャックはコルセットを着ていて、ジェインはベスト、
ぼくはロックをやってる
スタッツ・ベアキャットに乗ったりとか、
昔はいろいろ違った
詩人が詩のつくりかたを勉強したり、
お嬢さまが白目むいたら「好き」って意味だったり

ね、ジェイン
大好き、ジェイン
ジェイン、かわいい

ジャックは銀行員
ジェインは店員
二人で貯金してる
家に帰ったら
火の近くにすわって
ラジオをつけると
古い曲がやってる
『おもちゃの兵隊の行進』の主題歌とか
(みんなが嫌いなあれね)
そしてジャックが話し出す--

ね、ジェイン
大好き、ジェイン
ジェイン、かわいい

いろいろだね、踊りに行くのが好きな人、
仕事しなくちゃならない人、ま、ぼくとか。
母親でも悪いのがいて、
この世なんかクソだってこどもに教えたり。
気を失う女の人とか、そんなふりしているだけだし、
本当に悪い奴は捕まらない。
結局大人なんてみんな恥知らずで、
生きたご褒美として死ぬ。
でも、やさしさを感じたことがある人は
心を無視したり潰(つぶ)したりしないはず
人のために何かしたことがある人は、
それを忘れたり恨んだりしないはず

ね、ジェイン
大好き、ジェイン
ジェイン、かわいい

*****
The Velvet Underground (Lou Reed)
"Sweet Jane"

Standin' on a corner
Suitcase in my hand
Jack's in his corset, Jane is in her vest
And me I'm in a rock 'n' roll band
Riding a Stutz Bearcat, Jim
You know, those were different times
All the poets studied rules of verse
And those ladies they rolled their eyes

Sweet Jane
Sweet Jane
Sweet Jane

Now Jack, he is a banker
And Jane, she's a clerk
And both of them save their monies
When they get home from work
Sittin' down by the fire
The radio does play
The classical music there, Jim
The March of the Wooden Soldiers
All you protest, kids
You can hear Jack say

Sweet Jane
Sweet Jane
Sweet Jane

Some people they like to go out dancin',
And other people they have to work (Just watch me now)
And there's even some evil mothers
Well, they're gonna tell you that everything is just dirt
You know that women never really faint
And that villains always blink their eyes
That children are the only ones who blush
And that life is just to die
But anyone who ever had a heart
They wouldn't turn around and break it
And anyone who ever played a part
They wouldn't turn around and hate it

Sweet Jane
Sweet Jane
Sweet Jane

https://www.azlyrics.com/lyrics/velvetunderground/sweetjane.html
一部加筆修正

https://www.youtube.com/watch?v=nkumhBVPGdg
https://www.youtube.com/watch?v=LrMLt9bMd_I

*****
Cowboy Junkies (Lou Reed), "Sweet Jane" の完成版。
最後の "Heavenly. . . " のところは諸事情でカットされ、
それが定着。(1972年、1989年のツアーでは完全版で演奏。)

ジャックとジェインについて「ぼく」がジムに語っている
という想定。日本語訳ではジムは無視。呼びかけられて
いるだけなので省略。

スタンザ3はジャックがジェインに話す内容。
サビの "Sweet Jane" を無視して読むと流れがわかる。
(特にスタンザ1のサビは無意味。)

コルセットはふつう女性がつけるもの、ベストは男性服。
つまり、ジャックとジェイン、それぞれ異性装の趣味がある
ということ。あるいは、本当は(身体的には)ジャックは
女性でジェインは男性、ということかもしれない。

ついでに、「ぼく」もロックをやっている、ということで、
社会的に少しはずれていることを示している。こういうことが
今ではありうるけど、昔は違ったよね、というのがスタンザ1。

白目をむくというのは、今では「はあ? バカじゃない?」--
「なにそれ、バカすぎて意識が飛びそう」--くらいの意味。
昔は、「あなたが素敵すぎて気が遠くなりそう」という
メッセージを女性が魅力的な男性に伝える行為だった。

いずれにせよ、ちょっと「ふつう」じゃないジャックとジェインが、
「世の中おかしいよね、でもやさしい人もいるはずだよね」
という話をしている、という内容。嘘に満ちた社会のなか、
はみ出し者的なふたりは嘘のない関係をつくっていて、
他の人に対しても信頼したいと思っている、ということ。

これはこれである種の理想論のようにも見えるが、
ここまで意味や主張がはっきり伝わらないのが
この歌詞のいいところ。論説ではなく何気ない日々の
一場面という感じ。

*****
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