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Tennyson, "Circumstance"

アルフレッド・テニソン (1809-1892)
「何気ないこと」

子どもが二人、となりあわせの村から来て、
草の広場で元気に飛びはねて遊ぶ。
見知らぬ二人が、祝祭の日に出会う。
二人の恋人たちが、果樹園の壁のところでささやきあう。
二人の生涯が、金色の安らぎのなか、かたくひとつに結ばれる。
二つの墓が、緑の草のなか、教会の灰色の塔のとなりで、
静かな雨に洗われ、デイジーの花にかこまれている。
子どもが二人、小さな村に生まれて育つ。
生はこのようにめぐる、時から時へと。

* * *
Alfred Lord Tennyson
"Circumstance"

Two children in two neighbour villages
Playing mad pranks along the healthy leas;
Two strangers meeting at a festival;
Two lovers whispering by an orchard wall;
Two lives bound fast in one with golden ease;
Two graves grass-green beside a gray church-tower,
Wash'd with still rains and daisy-blossomed;
Two children in one hamlet born and bred;
So runs the round of life from hour to hour.

* * *
弱強五歩格で9行。脚韻は、不完全なものもありつつ
aabbacddc.

タイトルにあるように、何気ない、いつもどこかで
誰かにおこっているような生の循環を断片的に描写。

* * *
思うに、ポイントは行の配分。

子どもの頃--2行
出会い--1行
恋人時代--1行
結婚生活--1行
死後--2行

個人的な実感以上の根拠はないが、もっとも時間が
長く感じられるのは子どもの頃。20-30代はあっと
いう間に過ぎる。たとえば、9歳、12歳、17歳の日々の
ことは意外に鮮明に覚えているが、27歳、33歳の
頃のことは、ほとんど覚えていない。どれがどの年の
ことだったか、何か記録を見なければまったくわからない。

そのような理由で子ども時代を長めの2行で描写。

それから、生きている時間よりも死んでからの
時間のほうが当然長いので、墓の描写にも長めの2行。

もうひとつ、見え見え感が否めないが、結婚が
人の生の中心ということで、9行構成の真ん中の
5行目に結婚の描写。(「金色の・・・・・・」
というのも、ちょっと言いすぎのような。)

* * *
6行目の /gr/ の頭韻も、ちょっとやりすぎのように
思われる。が、graves, grayというマイナス・
イメージの語とgrass-greenというきれいなイメージの
語を混在させているところ(前者で後者をはさんでいる
ところ)に、音あわせ以上の意図も感じられる。

* * *
英語テクストは、The Early Poems of Alfred
Lord Tennysonより。
http://www.gutenberg.org/ebooks/8601

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