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Shelley, "To a Skylark" (日本語訳)

パーシー・B・シェリー(1792-1822)
「ひばりに歌う」 (日本語訳)

やあ、陽気な妖精の君!
君は絶対に鳥じゃない。
天から、あるいはそこに近いところから、
君は心そのものをそそぐ。
あふれるほどの即興のメロディというかたちに変えて。
(1-5)

どんどん高く、さらに高く、
大地から君は飛び立つ。
まるで炎の雲のように。
君は青く深い空を横切って飛ぶ。
歌いながら舞いあがり、そして舞いあがりながら歌う。
(6-10)

沈んだ太陽の
金色の稲妻のなかを、
輝く雲の下を、
君は漂い、駆けぬける。
まるで、からだをもたない「歓び」そのものが走りはじめたかのように。
(11-15)

赤くおぼろげな夕暮れが、
君が飛ぶまわりで溶ける。
天の星が
一面に広がる日の光のなかで見えないように、
君も見えない。が、君の鋭い高音の歓びが聞こえる。
(16-20)

君の声はまるで鋭い矢、
あの銀色の星から降る矢だ。
その星のまぶしい光は弱くなっていく、
透き通るような白い夜明けのなかで。
そしてほとんど見えなくなる・・・・・・が、そこに銀の星は確かにあって。
(21-25)

大地そのものが、すべての空気が、
君の声で大きく鳴りひびく。
まるで、裸の夜に、
ひとつだけ浮かぶ雲から
月が光の矢を雨のように降らせ、空が大洪水になるように。
(26-30)

君が何なのか、ぼくたちは知らない。
君に似ているものは何?
虹の雲から、
そんなまぶしい雨粒は流れてこない、
君のいるところから降ってくるメロディの雨ほどには。
(31-35)

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By jannefoo (Janne V)
http://jannefoo.deviantart.com/art/
BowRain-34239662?fullview=1
http://commons.wikimedia.org/wiki/
File:Rainbow_panorama.jpg?uselang=ja
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たとえば、君は詩人のよう? 思考の光のなかに
隠れていて、頼まれもしないのに
賛美歌を歌う。
すると世界中の人々が、
これまで気にとめていなかった希望と恐れで共鳴しはじめる。
(36-40)

それとも貴族の家の少女のよう?
お城の塔のなか、
愛がいっぱいで重い
魂を、こっそり夜に癒す
愛のように甘い音楽で・・・・・・そしてそれは洪水のように部屋からあふれ出す。
(41-45)

それとも金色の蛍?
木々から露のしたたる谷で、
誰のためにでもなく、
空気のように透明な光を
草花のあいだにまき散らす・・・・・・自分はその後ろに隠れつつ。
(46-50)

それともバラ? 緑の葉の
小部屋のなか、それは
あたたかい風に散らされる。
するとその香りで、
盗人たちの気が遠くなり、その羽も重くなる・・・・・・香りがあまりにも甘いから。
(51-55)

春の雨が、
キラキラ光る草に降る音、
雨に目を覚ます花々、
その他すべての
楽しげで、透きとおっていて、新しく、いきいきしたもの。でも君の歌はさらに上をいく。
(56-60)

教えてほしい、妖精または鳥の君、
どんなすてきなことを考えているの?
ぼくは聞いたことがない、
愛やワインを称える歌が、
君の歌ほど神々しい陶酔の洪水を、熱く、大きな音で流すのを。
(61-65)

結婚の合唱も、
勝利の歌も、
君の歌に比べれば、みな
中身のないいきがり、ほらのようなもの。
はっきりわからないが、そこには必ず何かが欠けている。
(66-70)

源には何がある?
君の楽しげな歌の源には?
どんな野原、波、山?
どんな姿の空、平野?
仲間に対するどんな愛? 苦痛に対するどんな無知?
(71-75)

君の透明で鋭い歓びは
疲れることを知らない。
不満やいらだちの影すら
けっして君には近づかない。
君は愛する・・・・・・そして愛に満ち飽きる悲しみを知らない。
(76-80)

目覚めていても、夢のなかでも、
君は知っているにちがいない、
死がより真正で、より深いものであると。
ぼくたち人間が夢見るより、はるかに正しく、深いものと。
でなければ、君の歌声はそのように、水晶の川のように、流れ出ないはずだろう?
(81-85)

ぼくたちは過去ふりかえり、未来を望む。
そして、そこにないものを求めて、病み、衰える。
心の底から笑っているときにも、
どこかに痛みを抱えている。
ぼくたちのもっとも美しい歌は、もっとも深い悲しみを歌う。
(86-90)

でも、もしぼくたちに、
憎しみ、傲慢、恐れをあざけることができないなら、
生まれながらにしてぼくたちは
涙を流す運命にあるのなら、
そもそも楽しみ、歓ぶ君の歌は聞こえてこないはずではないか。
(91-95)

どんなメロディやリズム、
どんな心地よい音より、
書物に記された
どんな宝より、
君の歌は詩人に多くを教えてくれる。大地をあざける君!
(96-100)

半分でいいから教えてほしい、
君の頭のなかにあるはずの楽しみ、歓びを。
そうすれば、狂いつつ調和するメロディが
ぼくの口から流れ出て、
すべての人々に聞こえるだろう。そう、今、ぼくが聞いているようなメロディが。
(101-5)

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Shelley, "To a Skylark" (英語テクスト)
Shelley, "To a Skylark" (解説)
"To a Skylark" (詩形・リズム)

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