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Byron, ("I would to Heaven that I were so much clay")

バイロン卿ジョージ・ゴードン (1788-1824)
(「天に祈りたい、わたしなど、ただの土くれだったらよかったのに」)

天に祈りたい、わたしなど、ただの土くれだったらよかったのに、
血、骨、骨髄、どうしようもない感情や気持ちをもつ存在ではなく--
もしそうであったなら、少なくとも過去は忘れることができるだろうから。
そして、これからは--(こう書きながら、わたしはもうフラフラだ、
今日は本当に飲みすぎてしまって、
まるで天井に立っているみたいだ)
ああ、そうだ--これからのことを考えるのが大切なのだ--
だから、そう--頼むから--ドイツ・ワインのソーダ割りをくれ!

* * *
George Gordon Lord Byron
("I would to Heaven that I were so much clay")

I would to Heaven that I were so much clay,
As I am blood, bone, marrow, passion, feeling---
Because at least the past were passed away,
And for the future---(but I write this reeling,
Having got drunk exceedingly to-day,
So that I seem to stand upon the ceiling)
I say---the future is a serious matter---
And so---for God's sake---hock and soda-water!

* * *
『ドン・ジュアン』第一歌の原稿の裏に書かれた
スタンザ。暗い過去にさいなまれるバイロニック・
ヒーローを演じつつ、それをみずからパロディ化
している作品。

どうしようもない過去の記憶を抱えて生きるのが
つらいから、「ただの土くれだったらよかったのに」
と祈っているのかと思いきや、飲みすぎの苦しみから
逃れたいだけ、という。

また、前向きに未来のことを真剣に考えるかと
思いきや、近すぎる将来の希望として酒をもう一杯
注文する、という。

* * *
1 I would
= I wish

1 Heaven
神のこと(OED 6a)。

1 clay
創世記冒頭参照。神が人間をつくった際の原料であった
土くれ、魂が吹きこまれる前のただの土に戻りたい、
ということ。

2 feeling
感情・意識としての気持ち (最初に読んだとき) +
飲みすぎで気持ち悪い、というときの「気持ち」、
身体的感覚(OED 2b)
(最後まで読んでから、もう一度読み直したとき)。

3 were
= would be. I would . . . を受けた仮定法の構文。

* * *
英語テクストは、The Works of Lord Byron,
Volume 6 より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/18762

* * *
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