英語の詩を日本語で
English Poetry in Japanese
Meredith, Modern Love 26
ジョージ・メレディス
『今時の恋愛』26
傷を負っていない〈愛〉は空高く飛ぶ鷲のよう、
大地の上を羽ばたき、赤い夕暮れから
薔薇色の夜明けに向かって舞い上がる。捕まえようと
網をつくっても無駄。はるか遠くを彼は飛ぶ。
でも、矢に撃たれたら話は別。
痛みと疲れに自由を奪われる。
赤い血が滴って、鎖のように
大地に縛る。もう彼は遠くに行けない。
こうして〈愛〉は、ずる賢い蛇になる。
かつてぼくの胸には鷲がいた。
今は呪いの蛇がいる。
だから何もいわない君の心が読める。
真実を話す君の嘘が聞こえる。
ぼく自身は君のしたことを許すかもしれないけど、
でも我慢して。君は〈愛〉を傷つけたから、
その牙に噛まれて毒を注がれることになる。
*****
George Meredith
Modern Love 26
Love ere he bleeds, an eagle in high skies,
Has earth beneath his wings: from reddened eve
He views the rosy dawn. In vain they weave
The fatal web below while far he flies.
But when the arrow strikes him, there's a change.
He moves but in the track of his spent pain,
Whose red drops are the links of a harsh chain,
Binding him to the ground, with narrow range.
A subtle serpent then has Love become.
I had the eagle in my bosom erst:
Henceforward with the serpent I am cursed.
I can interpret where the mouth is dumb.
Speak, and I see the side-lie of a truth.
Perchance my heart may pardon you this deed:
But be no coward:--you that made Love bleed,
You must bear all the venom of his tooth!
http://www.sonnets.org/modern.htm#026
*****
16行の変則ソネット。
テーマは妻の浮気、結婚の破綻。
メレディスの最初の結婚を扱う詩集といわれる。
個人的には、恋愛・結婚について、こう熱くなる
感覚があまりわからない。訳していて刺激的、
とは思うが。
*****
学生の方など、自分の研究/発表のために上記を
参照する際には、このサイトの作者、タイトル、URL,
閲覧日など必要な事項を必ず記し、剽窃行為のないように
してください。
ウェブ上での引用などでしたら、リンクなどのみで
かまいません。
商用、盗用、悪用などはないようお願いします。
『今時の恋愛』26
傷を負っていない〈愛〉は空高く飛ぶ鷲のよう、
大地の上を羽ばたき、赤い夕暮れから
薔薇色の夜明けに向かって舞い上がる。捕まえようと
網をつくっても無駄。はるか遠くを彼は飛ぶ。
でも、矢に撃たれたら話は別。
痛みと疲れに自由を奪われる。
赤い血が滴って、鎖のように
大地に縛る。もう彼は遠くに行けない。
こうして〈愛〉は、ずる賢い蛇になる。
かつてぼくの胸には鷲がいた。
今は呪いの蛇がいる。
だから何もいわない君の心が読める。
真実を話す君の嘘が聞こえる。
ぼく自身は君のしたことを許すかもしれないけど、
でも我慢して。君は〈愛〉を傷つけたから、
その牙に噛まれて毒を注がれることになる。
*****
George Meredith
Modern Love 26
Love ere he bleeds, an eagle in high skies,
Has earth beneath his wings: from reddened eve
He views the rosy dawn. In vain they weave
The fatal web below while far he flies.
But when the arrow strikes him, there's a change.
He moves but in the track of his spent pain,
Whose red drops are the links of a harsh chain,
Binding him to the ground, with narrow range.
A subtle serpent then has Love become.
I had the eagle in my bosom erst:
Henceforward with the serpent I am cursed.
I can interpret where the mouth is dumb.
Speak, and I see the side-lie of a truth.
Perchance my heart may pardon you this deed:
But be no coward:--you that made Love bleed,
You must bear all the venom of his tooth!
http://www.sonnets.org/modern.htm#026
*****
16行の変則ソネット。
テーマは妻の浮気、結婚の破綻。
メレディスの最初の結婚を扱う詩集といわれる。
個人的には、恋愛・結婚について、こう熱くなる
感覚があまりわからない。訳していて刺激的、
とは思うが。
*****
学生の方など、自分の研究/発表のために上記を
参照する際には、このサイトの作者、タイトル、URL,
閲覧日など必要な事項を必ず記し、剽窃行為のないように
してください。
ウェブ上での引用などでしたら、リンクなどのみで
かまいません。
商用、盗用、悪用などはないようお願いします。
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Meredith, Modern Love 30
ジョージ・メレディス
『今時の恋愛』30
人とは何? 最初、人は動物で、次に
知恵ある存在に跳ね上がり、そして
いつか来る死の影、
墓碑銘の影のなか生きるようになる。
そんな人のところに〈愛〉がやってくる。まるで太陽王、
その光のなかで影は消える。
ぼくたちは支配者となり、命はあたたかく、
知恵と本能が一体となる。
でも、〈自然〉は考える--「人がわたしにいちばん
似ているのは、わたしについていちばん無知な時。だから
罰してやらないと」。こうして若い〈愛〉はどこか消え、
ぼくたちは目を覚ます。夢から醒めた恐怖に震えが止まらない。
賢い人とは〈自然〉を学ぶ人、
目を開けて生きるわずかな人、
科学的な動物になれる人。
このソネットを君の目に捧げよう。
*****
George Meredith
Modern Love 30
What are we first? First, animals; and next
Intelligences at a leap; on whom
Pale lies the distant shadow of the tomb,
And all that draweth on the tomb for text.
Into which state comes Love, the crowning sun:
Beneath whose light the shadow loses form.
We are the lords of life, and life is warm.
Intelligence and instinct now are one.
But nature says: 'My children most they seem
When they least know me: therefore I decree
That they shall suffer.' Swift doth young Love flee,
And we stand wakened, shivering from our dream.
Then if we study Nature we are wise.
Thus do the few who live but with the day:
The scientific animals are they.
Lady, this is my sonnet to your eyes.
http://www.sonnets.org/modern.htm#030
*****
16行の変則ソネット。
テーマは妻の浮気、結婚の破綻。
*****
学生の方など、自分の研究/発表のために上記を
参照する際には、このサイトの作者、タイトル、URL,
閲覧日など必要な事項を必ず記し、剽窃行為のないように
してください。
『今時の恋愛』30
人とは何? 最初、人は動物で、次に
知恵ある存在に跳ね上がり、そして
いつか来る死の影、
墓碑銘の影のなか生きるようになる。
そんな人のところに〈愛〉がやってくる。まるで太陽王、
その光のなかで影は消える。
ぼくたちは支配者となり、命はあたたかく、
知恵と本能が一体となる。
でも、〈自然〉は考える--「人がわたしにいちばん
似ているのは、わたしについていちばん無知な時。だから
罰してやらないと」。こうして若い〈愛〉はどこか消え、
ぼくたちは目を覚ます。夢から醒めた恐怖に震えが止まらない。
賢い人とは〈自然〉を学ぶ人、
目を開けて生きるわずかな人、
科学的な動物になれる人。
このソネットを君の目に捧げよう。
*****
George Meredith
Modern Love 30
What are we first? First, animals; and next
Intelligences at a leap; on whom
Pale lies the distant shadow of the tomb,
And all that draweth on the tomb for text.
Into which state comes Love, the crowning sun:
Beneath whose light the shadow loses form.
We are the lords of life, and life is warm.
Intelligence and instinct now are one.
But nature says: 'My children most they seem
When they least know me: therefore I decree
That they shall suffer.' Swift doth young Love flee,
And we stand wakened, shivering from our dream.
Then if we study Nature we are wise.
Thus do the few who live but with the day:
The scientific animals are they.
Lady, this is my sonnet to your eyes.
http://www.sonnets.org/modern.htm#030
*****
16行の変則ソネット。
テーマは妻の浮気、結婚の破綻。
*****
学生の方など、自分の研究/発表のために上記を
参照する際には、このサイトの作者、タイトル、URL,
閲覧日など必要な事項を必ず記し、剽窃行為のないように
してください。
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Coleridge, "Work without Hope"
サミュエル・テイラー・コールリッジ
「希望がなければ何をしても」
自然のなか、何かしていないものはない。なめくじでも
起きて出かけ、蜂はぶんぶん集まり、鳥は飛ぶ。
〈冬〉も外で居眠りしながら、
〈春〉の夢を見てにやにやしている。
ぼくだけ、ひとり何もしていない。
蜜もつくらず、恋もせず、巣もつくらず、歌わない。
岸にアマラントスが咲き誇り、
泉から神の酒があふれて川になる。
そう、アマラントスは咲く。みんなのために、
ぼく以外の人のために! 川も大きく流れ、そしてぼくから逃げていく!
くすんだ唇で、何もひらめかない頭で、ぼくはただうろうろ歩く。
呪われたぼくの魂は重く鈍く眠ったまま。
希望がなければ何をしても、いわば、ざるに神の酒。
何も望まない、そんな希望は死ぬしかない。
*****
Samuel Taylor Coleridge
"Work without Hope"
All Nature seems at work. Slugs leave their lair—
The bees are stirring—birds are on the wing—
And Winter, slumbering in the open air,
Wears on his smiling face a dream of Spring!
And I, the while, the sole unbusy thing,
Nor honey make, nor pair, nor build, nor sing.
Yet well I ken the banks where amaranths blow,
Have traced the fount whence streams of nectar flow.
Bloom, O ye amaranths! bloom for whom ye may,
For me ye bloom not! Glide, rich streams, away!
With lips unbrighten’d, wreathless brow, I stroll:
And would you learn the spells that drowse my soul?
Work without Hope draws nectar in a sieve,
And Hope without an object cannot live.
https://www.poets.org/poetsorg/poem/work-without-hope
*****
変形ソネット。
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学生の方など、自分の研究/発表のために上記を
参照する際には、このサイトの作者、タイトル、URL,
閲覧日など必要な事項を必ず記し、剽窃行為のないように
してください。
「希望がなければ何をしても」
自然のなか、何かしていないものはない。なめくじでも
起きて出かけ、蜂はぶんぶん集まり、鳥は飛ぶ。
〈冬〉も外で居眠りしながら、
〈春〉の夢を見てにやにやしている。
ぼくだけ、ひとり何もしていない。
蜜もつくらず、恋もせず、巣もつくらず、歌わない。
岸にアマラントスが咲き誇り、
泉から神の酒があふれて川になる。
そう、アマラントスは咲く。みんなのために、
ぼく以外の人のために! 川も大きく流れ、そしてぼくから逃げていく!
くすんだ唇で、何もひらめかない頭で、ぼくはただうろうろ歩く。
呪われたぼくの魂は重く鈍く眠ったまま。
希望がなければ何をしても、いわば、ざるに神の酒。
何も望まない、そんな希望は死ぬしかない。
*****
Samuel Taylor Coleridge
"Work without Hope"
All Nature seems at work. Slugs leave their lair—
The bees are stirring—birds are on the wing—
And Winter, slumbering in the open air,
Wears on his smiling face a dream of Spring!
And I, the while, the sole unbusy thing,
Nor honey make, nor pair, nor build, nor sing.
Yet well I ken the banks where amaranths blow,
Have traced the fount whence streams of nectar flow.
Bloom, O ye amaranths! bloom for whom ye may,
For me ye bloom not! Glide, rich streams, away!
With lips unbrighten’d, wreathless brow, I stroll:
And would you learn the spells that drowse my soul?
Work without Hope draws nectar in a sieve,
And Hope without an object cannot live.
https://www.poets.org/poetsorg/poem/work-without-hope
*****
変形ソネット。
*****
学生の方など、自分の研究/発表のために上記を
参照する際には、このサイトの作者、タイトル、URL,
閲覧日など必要な事項を必ず記し、剽窃行為のないように
してください。
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