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Rossetti, DG, "The Life-in-Love", The House of Life (1870) 16

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
「愛に生きる」
『命の宮』(1870) 16

君の命は君のからだのなかにない。
むしろあの人のくちびると手と目のなかにある。
あの人のくちびると手と目が君の命の源。
それがなければ、君は悲しみの下僕で死の奴隷。
あの人がいなかった頃の君を思い出してごらん。
君は、無残な記憶と哀れな妄想のかたまりだった。
死人のようなため息だけが生の証だった。
消え去った時間、あのときのことを嘆きつつ。

同じくらいの命が、この髪のひと房にも宿っている。
この大切な髪は、愛が手にした唯一の報酬、
遠い昔、胸の鼓動と熱い炎を払って手に入れたもの。
まさにそんな命の分だけ、誰も知らない苦しみがある。
いつも変わらぬ夜につつまれて心が移る、
死んでも輝きつづける黄金の髪を見つめつつ。

*****
Dante Gabriel Rossetti
"The Life-in-Love"
The House of Life (1870) 16

Not in thy body is thy life at all
But in this lady's lips and hands and eyes;
Through these she yields thee life that vivifies
What else were sorrow's servant and death's thrall.
Look on thyself without her, and recall
The waste remembrance and forlorn surmise
That lived but in a dead-drawn breath of sighs
O'er vanished hours and hours eventual.

Even so much life hath the poor tress of hair
Which, stored apart, is all love hath to show
For heart-beats and for fire-heats long ago;
Even so much life endures unknown, even where,
'Mid change the changeless night environeth,
Lies all that golden hair undimmed in death.

http://www.rossettiarchive.org/docs/1-1870.1stedn.rad.html

*****
前半の八行、誰が誰?
基本線は「君」=自分=ロセッティだが、
死んだ妻リジーや愛人ジェーン・モリスに
おきかえても読めるようになっている。

後半の六行の髪は、死んだ妻リジーのもの。

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