どこかこの国は根本のところで世界認識を間違えてしまっているではないか。平昌五輪に北朝鮮が参加した以降、全く先を読めなくなっている。しかし、北朝鮮のこの動きを昨年来からTVで予知していたのが拓殖大学大学院の武貞秀士特任教授、氏はTVに起用されなくなっている。
『王道の狗 ①~④巻』(安彦良和著 中公文庫 2014年刊)
本作品の初出は『ミスターマガジン』1998年1号~2001年3号、単行本化は2004年12月~2005年3月に白泉社で。安彦氏の作品については、このブログ2012.10.16に昭和期の満州を描いた『虹色のトロツキー ①~⑧巻』、2013.1.6に『古事記 完全版 ナムジ 大國主 壱~参巻』について書いた。
あとがきによれば、本書は『虹色のトロツキー』、日露戦争から日韓併合までを描いた『天の血脈』と並ぶ著者の「現代史三部作」のひとつといわれている。
舞台は、明治20年代、自由民権運動、不平等条約改正・・と近代国家になろうと無理を重ね急ぎすぎた日本。その後の道を間違えたターニングポイントは日清戦争、これを仕掛けたのが陸奥宗光の悪党。金玉均、福沢諭吉、勝海舟、孫文と実在の人物が登場する。主人公の若者ふたりが、「王道の狗」として歴史の中を北海道、東京、朝鮮半島と縦横無尽に駆け巡る。
これだけぎっしりと詰まった密度の濃いストーリーを映画という表現手段で描くことは不可能だろう。小説では、登場人物たちの感情が発露した表情を映像的に表すことはできないだろう。漫画だから時空を超えたこれだけのダイナミックなストーリーを描くことができるのだろう。それも短いト書きとセリフだけで。
本書は、今を考える応用問題なのだ。イデオロギー抜きに僕は考えてみた。朝鮮半島の韓国と北朝鮮が交戦をすることはないだろう。なぜなら、お互い同胞だからだ。また、韓国、北朝鮮が日本に戦争を仕掛けることはない。それは同胞が暮らしている国だから。では、日本が韓国、北朝鮮を侵略する可能性は。安保法制が施行されたので危ない。軍事大国の米国、中国、ロシアが朝鮮半島に対しての可能性が最も大きい。それは自国の利害だけが判断材料だからだ。
さあ、引き続き『天の血脈』を読むぞ。
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