子どもの頃、僕は(大人の約束)
明日は子どもの日。突然、思い出したことがある。僕が大人扱いをされた初めての出来事だったように感じる。
僕の中学校は安全面から自転車通学を禁じていた。僕の家は学校から4kmほど離れていて徒歩では片道40分かかる。僕は、毎日、毎日生き返り1時間20分も歩くのが嫌になって一計を案じた。自転車に乗って学校近くの友人の家に預かってもらうのである。友人の親の了解も取り付けた。
何日か通っていたら、ある日担任から職員室へ呼び出しが。誰かがチクったことは明らかだ。決まりを守れと説教を食らうのは必至だった。
僕は理論武装して対峙しようと思った。
① 通っている道は、炭鉱構内の外周にある自動車の通らない道路であり交通事故の危険性は極めて低い。
② 帰宅してからは、中学校周辺も含めて自転車で走り回っている。学校の通学時間だけ禁止すると言うのは教師の責任逃れだ。
③ 万一、事故にあっても学校には迷惑をかけない。親の理解も得ている。
そして、職員室へ。担任の方が一枚上手だった。しっかりと僕の性格は掴まれていた。頭ごなしにルールを守れとも言わず、「そうだな、お前の言うとおりだ」「でも、俺の顔も立ててくれよ」というものだった。
一瞬のことだった。ガキ扱いされると思ったのに、何かこれが大人の解決というものか、妙に自分が認められたような、大勢の中での建前的な指導とは全然違って、一対一の約束とはこういうものなのか、と。