晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

『グローバル化と日本の課題』

2008-04-14 21:11:19 | Weblog
 春の小樽散策、初めて『なると』に行きました。若鶏定食、大きすぎて完食できませんでした。この店のメニューには寿司とラーメンが共存し、古い作りの店内には、寿司屋のカウンター席と、椅子席に挟まれた畳敷きの奇妙な小上がりが中央にありました。

 となりに座った地元のお客さんが、同僚と思える先輩に、昔、親から「この若鶏定食を全部食べることができたら、小学校卒業だ。」と言われたと話していました。 



 『グローバル化と日本の課題』(高橋伸彰著 岩波書店 2005年刊)

 3月の時計台フォーラムで講演を聞いた高橋氏の著書である。この著書から、高橋氏がケインズ経済学に立脚していることがわかる。新自由主義が跋扈する情況の中、ケインズ経済学者をして反体制的な物言いにならざるを得ない現在の情勢を憂うる。

 氏は、豊かになるためには、経済成長が必要という従来からの常識的な前提を疑う。「成長」は、貧困に苦しんでいた時代や現在も苦しんでいる国にとっては、重要な課題である。しかし、経済のグローバル化、先進国における効率優先による経済格差が拡大する状況では、むしろ「分配」政策が重要であるという。

 氏は、価値観の転換を主張する。「生産」よりも「分配」、「効率」よりも「公正」、「成長」よりも「環境」、「競争」よりも「協力」、「私的な利益」よりも「社会的なサービス」に重点を置くべきと。

 このように、氏は「成長政策」から「分配政策」への転換を説くのであるが、先日の講演では、分配政策の限界のような言葉も聞かれた。この悩めるケインジアンの思考の先に、資本主義社会、福祉国家体制のオルタナティブを構想できる可能性があると感じた。
コメント (2)
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