臍ヘルニア、いわゆる出べそ。
どのくらいの率でいるのだろうか?
どのくらいの率で処置されているのだろうか?
処置されているのも、ほとんどはゴムをかけられて後は自然に壊死すれば終わりという方法だろうと思う。
しかし、以下のような馬は手術している。
・ヘルニア輪が大きくて輪ゴム処置では腸管脱出の危険があると思われる症例。
・痛がって輪ゴムをしていられなかった症例。
・そのうち治ると思っていたら治らず、馬が大きくなって輪ゴムでは不安になった症例。
・輪ゴムでは治るまでに時間がかかり、馬が可愛そうだと考える牧場の馬。
手術は全身麻酔だが、静脈麻酔でできる。
腹膜は切らないように、皮膚だけを剥がす。
腹膜(ヘルニア嚢)を切らないことで、もし傷が開いても致命的なことにならない。
腹壁どうしが癒合するように、切れ目をいれて腹壁(ヘルニア輪)をむき出す。
腹壁を縫い寄せるのではなく、重なるように縫合する。
この糸の通し方は簡単なようで難しい。
初めての人はわかっているつもりでもやってみると混乱するようだ。
こういうふうに皮内縫合すれば抜糸もしなくてすむ。
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臍ヘルニアは急いで処置する必要はないと考えていたが、今年臍の中に脱出した腸管が締め付けられて破裂してしまい、腹腔内まで糞汁がひろがっていて駄目になった子馬がいた。
実に稀なケースだとは思うが、「でべそ」も命取りになるとすれば大問題だ。
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いつも初歩的な質問で申し訳ないのですが、なぜ今が『ヘルニアの季節』なんでしょう?
約半年ぐらいたって治癒していないものが治療対象となるのでしょうか?
縫合法とかは牛と同じですね。当たり前か・・・。
そうです。春に生まれて、夏頃までにゴムで治すのですが、それを過ぎて秋になったら手術かなという感じでしょう。
私はずっとこの方法でやっていますが、それ以前はトラブルもあったようです。
傷が開くとか、メッシュを入れて感染したとか・・・・
子牛はたまに腹壁欠損と呼んだ方が良いような大物がいますね。
「腹壁どうしが癒合するように、切れ目をいれて腹壁(ヘルニア輪)をむき出す。」の『切れ目をいれて』ということですが、これは私たちの子牛の臍ヘルニア手術では行っていません。
どこにどんなふうに切れ目を入れるのでしょうか?これをすれば吸収糸でもいけますか?
腹壁を重ねて癒合させたいわけですが、そのままベスト縫合すると、間にヘルニア嚢がはさまります。
それで、皮下織・結合織をすこし切り開いて腹壁とヘルニア嚢とを剥がします。そのことでヘルニア嚢をしっかり腹腔へ押しこんで、腹壁と腹壁が直接触れ合うようにします。
吸収糸でもいけると思いますが、うちでは非吸収糸でやっています。私はほとんど執刀することはなくて、せいぜい助手なんで・・・
次から真似してやってみます。
ホル♂子牛の育成牧場は、出ベソをわざと集めたのかと思うくらい多いですよ。
遺伝もあるのかなと思ってしまいます、劣性形質?。
腹壁をむき出すことをしなくても治っているので、やらない者もいますが、ただの縫合でなく、どうしてこの手技をするのか理解してやってもらいたいと思うのです。かつてはうまく行かないこともあって、工夫したあげくこうやっているのですから。
馬でも遺伝するのではないかと思っていますが、親も治ってしまっているのでわかりません。
「お前の母ちゃん出べそ」ってケンカしましたよね。
ご迷惑おかけしていますzebraです。(アドレスです)
臍ヘルニアの素因として和牛では雄系の遺伝が存在するとも言われていますが、個人的には微細な感染症が臍閉鎖の機序を阻害する要因の一つになっているのではと考えています。
特定の時期に発生する印象を受けますし、雄子牛に多い印象を受けるのも説明ができると思います。
腹壁に刺さる程の臍膿瘍を摘出する事がありますが、この場合腹壁の形成はかなり厄介だと思います。
排膿処置で済ませるべきなのでしょうか。
反転性裂胎にも関連しそうな腹壁欠損は小生も一度だけ見たことがあります。
雄系の遺伝と臍の感染ですか。馬では、雄に多いということはないように思いますが、調べたことがないのでわかりません。
子馬では臍のトラブルは非常に多いのですが、膿瘍を作るよりは全身感染を起こしてしまうことの方が多いようです。その辺は、牛と馬の化膿性炎への反応の違いでしょう。
牛でも馬でも臍の処置は大事だと言うことだけは間違いなさそうですね。