8月16日(金)
お盆休みで連日超満員の甲子園。今日2回戦が終了し、明日からは16強がベスト8をかけて戦う熱気あふれる3回戦です。
ところが、今年の夏の暑さはちょっと不思議な感じなのです。うっすらと靄がかかった感じのじわっとした暑さの日が続いて、これぞ夏の日射しというかんかん照りにはなりません。
そんなどんよりとした暑さの中で、甲子園の空気には不思議な爽やかさが漂っています。
開幕ゲームに登場した佐賀の有田工業、実は春夏通じて初めて甲子園にやって来た学校でした。その初出場の県立のチームが、老獪なベテラン監督率いる強豪の大垣日大を相手に見事な逆転勝ちを納めました。実に爽やかな戦いぶり。
今年は初出場が10校と例年になく多い大会になりましたが、そのうち4校が県立校です。特に、滋賀の彦根東と奈良の桜井高校は県内でも有数の進学校なのです。
どんなにきれいごとと言われようと、学校スポーツは「文武両道」が理想ですから、その困難を越えて来た球児には思い入れも強くなるというものです。
初出場でない甲子園によくやって来る高校の中にも、徳島の鳴門高校や香川の丸亀高校など、地元の伝統校として立派に「文武両道」の精神を成し遂げている学校もあります。
そんな公立の学校の中の二校、和歌山の箕島高校と山梨の日川高校の対戦が初日の第三試合にあったのも、球場に爽やかな風を運んでくれました。
伝説的な古豪の箕島を4-2で下した日川高校は、2回戦で優勝候補の大阪桐蔭を相手に堂々と接戦に持ち込み、延長で力尽きたものの、その健闘ぶりは目を見張るものがありました。
三日目に登場した鳴門高校の試合は
球場で見ましたが
甲子園での名門校星稜を相手に、接戦の試合を終盤の大量得点で突き放し快勝。2回戦では東京の修徳を延長サヨナラで下しました。明日、健闘の有田工業を力で退けた静岡の常葉菊川と対戦します。
もう一つ、県立勢では名門の丸亀。結果は力負けに終わりましたが、強豪の横浜を相手に、なかなかしっかりとした中味のある野球を見せてくれました。
ところで、県立の初出場といえば、駅伝で有名な兵庫の西脇工業。北緯35度と東経135度の交わる「日本のへそ」と言われる西脇市には親しみもあったので、球場に行こうかなと迷いましたが、お盆休み最初の日曜日ということで遠慮してテレビの前に座りました。
テレビで正解。地元ということで応援の観客のすごいこと、超満員のスタンドの左半分はもちろん、一塁側からも喚声が上がる熱気に包まれました。その大声援にも支えられ初戦を快勝。
これだけの声援があれば、次の試合も心強いのではないかと思いきや、高校生の胸中も複雑なもので、過度な期待が重荷になったのか、2回戦はうって変わって、立ち上がりから投打ともぎこちなく、肩痛でエースが降板した木更津中央に1-3で負けてしまいました。
さて、最初に鳴門高校快勝の写真を載せましたが、実は、この日の目的は次の試合だったのです。
三塁側アルプス席が
ピンクに染まっています
春夏通じて初出場の、
奈良県立桜井高校のご登場です
2010年から二年間、妻君が隠棲していたのが桜井の駅のそばでした。私も明石にいたので何回も桜井を訪れましたが、駅のちょうど向こう側に桜井高校があって、通学する生徒の姿や趣のある建物などに親しみを感じていました。グランドから流れてくる球音を耳にして、野球部はどうなのかなと思ったこともありました。
7月の末に「まさか、あの学校が」という驚きで新聞を見てから約半月、やっぱり球場で応援してあげたいと馳せ参じた次第です。さすがに地元関西、いやが上にも盛り上がる初出場ということで、アルプススタンドはすし詰め状態になっていました。
くま蝉も張りあふ気力失せにけり 弁人
桜井市は人口6万ほどの地方都市です。逗子市と同じくらいじゃないですか。うらやましいことこの上ない。私学の強豪ひしめく神奈川では考えられませんが、逗子にだって逗子高校があって、鎌倉には鎌倉高校が、いや、市の名を冠した高校は他にも、小田原高校、横須賀高校、厚木高校、茅ヶ崎高校、相模原高校とたくさんあるのです。そういう県立の学校が私学を倒して甲子園にもし来たら、本当にわくわくするに違いありません。やはり夢物語なのでしょうね。でも、甲子園は「夢舞台」と言われていますから、夢を見ているしかありません。
話を戻します。
今年の大会、他の初出場の球児たちは比較的はつらつとプレーできていたのですが、試合が始まってみると、残念ながら、今回の桜井の健児たち、すっかり大舞台の異様な雰囲気に飲み込まれてしまったかのようでした。
先頭バッターを四球で出した後、外野手の落球と内野手のエラーが続き、なんともぎこちない形で失点。その裏の最初の攻撃も3三振と、まったく自分たちの野球ができませんでした。
それでも、4回に3ラン本塁打が出て
望みをつないだものの
6回の4失点で万事休す。
大観衆の声援もむなしく
17-5という大味な試合で甲子園を去りました。
今年甲子園にやって来た県立高校の中には、地方大会の決勝で勝った翌日に全員で模試を受けた学校があるという話がありました。
車の中で聞いた話なので間違えていたらごめんなさい、花巻東に5-9で敗れた彦根東だと思いますが、大会の宿舎で模擬試験を受けさせてもらったということです。
美談めいている感じもしますが、いずれにしても、スポーツの能力だけでは入学できる学校でないことは確かですから、そういう学校の球児たちが全国の舞台ではつらつとしたプレーを見せてくれるのは実に爽快です。
白球を追ひて輝く玉の汗 弁人
さあ、明日からいよいよ3回戦。県立高校で残っているのは鳴門高校と福井商業で、この二校は甲子園に何回も来ている学校ですが、私学と違って、公立校は他県から有望選手を集めることはできません。49代表を都道府県別に割り当てて郷土代表的に出場させていることを考えると、やっぱり応援したくなります。
一方、初出場校で16強に残ったのは、青森の聖愛、前橋育英、富山第一の三校。とも私学ですが、他の強豪の私学のように、他県から広く選手を集める学校ではありません。
この三校の中では前橋育英が強そうですが、春夏通じて初出場の青森の聖愛は、地元の選手だけで、常連の光星学院と青森山田を連破して甲子園の切符を手にしたということもあって、つい好感を抱いてしまいます。
真紅の優勝旗まであと五日間、KAZU君もそろそろ熊本から帰ってくるのですが、甲子園の熱闘、最後まで目が離せません。
お盆休みで連日超満員の甲子園。今日2回戦が終了し、明日からは16強がベスト8をかけて戦う熱気あふれる3回戦です。
ところが、今年の夏の暑さはちょっと不思議な感じなのです。うっすらと靄がかかった感じのじわっとした暑さの日が続いて、これぞ夏の日射しというかんかん照りにはなりません。
そんなどんよりとした暑さの中で、甲子園の空気には不思議な爽やかさが漂っています。
開幕ゲームに登場した佐賀の有田工業、実は春夏通じて初めて甲子園にやって来た学校でした。その初出場の県立のチームが、老獪なベテラン監督率いる強豪の大垣日大を相手に見事な逆転勝ちを納めました。実に爽やかな戦いぶり。
今年は初出場が10校と例年になく多い大会になりましたが、そのうち4校が県立校です。特に、滋賀の彦根東と奈良の桜井高校は県内でも有数の進学校なのです。
どんなにきれいごとと言われようと、学校スポーツは「文武両道」が理想ですから、その困難を越えて来た球児には思い入れも強くなるというものです。
初出場でない甲子園によくやって来る高校の中にも、徳島の鳴門高校や香川の丸亀高校など、地元の伝統校として立派に「文武両道」の精神を成し遂げている学校もあります。
そんな公立の学校の中の二校、和歌山の箕島高校と山梨の日川高校の対戦が初日の第三試合にあったのも、球場に爽やかな風を運んでくれました。
伝説的な古豪の箕島を4-2で下した日川高校は、2回戦で優勝候補の大阪桐蔭を相手に堂々と接戦に持ち込み、延長で力尽きたものの、その健闘ぶりは目を見張るものがありました。
三日目に登場した鳴門高校の試合は
球場で見ましたが
甲子園での名門校星稜を相手に、接戦の試合を終盤の大量得点で突き放し快勝。2回戦では東京の修徳を延長サヨナラで下しました。明日、健闘の有田工業を力で退けた静岡の常葉菊川と対戦します。
もう一つ、県立勢では名門の丸亀。結果は力負けに終わりましたが、強豪の横浜を相手に、なかなかしっかりとした中味のある野球を見せてくれました。
ところで、県立の初出場といえば、駅伝で有名な兵庫の西脇工業。北緯35度と東経135度の交わる「日本のへそ」と言われる西脇市には親しみもあったので、球場に行こうかなと迷いましたが、お盆休み最初の日曜日ということで遠慮してテレビの前に座りました。
テレビで正解。地元ということで応援の観客のすごいこと、超満員のスタンドの左半分はもちろん、一塁側からも喚声が上がる熱気に包まれました。その大声援にも支えられ初戦を快勝。
これだけの声援があれば、次の試合も心強いのではないかと思いきや、高校生の胸中も複雑なもので、過度な期待が重荷になったのか、2回戦はうって変わって、立ち上がりから投打ともぎこちなく、肩痛でエースが降板した木更津中央に1-3で負けてしまいました。
さて、最初に鳴門高校快勝の写真を載せましたが、実は、この日の目的は次の試合だったのです。
三塁側アルプス席が
ピンクに染まっています
春夏通じて初出場の、
奈良県立桜井高校のご登場です
2010年から二年間、妻君が隠棲していたのが桜井の駅のそばでした。私も明石にいたので何回も桜井を訪れましたが、駅のちょうど向こう側に桜井高校があって、通学する生徒の姿や趣のある建物などに親しみを感じていました。グランドから流れてくる球音を耳にして、野球部はどうなのかなと思ったこともありました。
7月の末に「まさか、あの学校が」という驚きで新聞を見てから約半月、やっぱり球場で応援してあげたいと馳せ参じた次第です。さすがに地元関西、いやが上にも盛り上がる初出場ということで、アルプススタンドはすし詰め状態になっていました。
くま蝉も張りあふ気力失せにけり 弁人
桜井市は人口6万ほどの地方都市です。逗子市と同じくらいじゃないですか。うらやましいことこの上ない。私学の強豪ひしめく神奈川では考えられませんが、逗子にだって逗子高校があって、鎌倉には鎌倉高校が、いや、市の名を冠した高校は他にも、小田原高校、横須賀高校、厚木高校、茅ヶ崎高校、相模原高校とたくさんあるのです。そういう県立の学校が私学を倒して甲子園にもし来たら、本当にわくわくするに違いありません。やはり夢物語なのでしょうね。でも、甲子園は「夢舞台」と言われていますから、夢を見ているしかありません。
話を戻します。
今年の大会、他の初出場の球児たちは比較的はつらつとプレーできていたのですが、試合が始まってみると、残念ながら、今回の桜井の健児たち、すっかり大舞台の異様な雰囲気に飲み込まれてしまったかのようでした。
先頭バッターを四球で出した後、外野手の落球と内野手のエラーが続き、なんともぎこちない形で失点。その裏の最初の攻撃も3三振と、まったく自分たちの野球ができませんでした。
それでも、4回に3ラン本塁打が出て
望みをつないだものの
6回の4失点で万事休す。
大観衆の声援もむなしく
17-5という大味な試合で甲子園を去りました。
今年甲子園にやって来た県立高校の中には、地方大会の決勝で勝った翌日に全員で模試を受けた学校があるという話がありました。
車の中で聞いた話なので間違えていたらごめんなさい、花巻東に5-9で敗れた彦根東だと思いますが、大会の宿舎で模擬試験を受けさせてもらったということです。
美談めいている感じもしますが、いずれにしても、スポーツの能力だけでは入学できる学校でないことは確かですから、そういう学校の球児たちが全国の舞台ではつらつとしたプレーを見せてくれるのは実に爽快です。
白球を追ひて輝く玉の汗 弁人
さあ、明日からいよいよ3回戦。県立高校で残っているのは鳴門高校と福井商業で、この二校は甲子園に何回も来ている学校ですが、私学と違って、公立校は他県から有望選手を集めることはできません。49代表を都道府県別に割り当てて郷土代表的に出場させていることを考えると、やっぱり応援したくなります。
一方、初出場校で16強に残ったのは、青森の聖愛、前橋育英、富山第一の三校。とも私学ですが、他の強豪の私学のように、他県から広く選手を集める学校ではありません。
この三校の中では前橋育英が強そうですが、春夏通じて初出場の青森の聖愛は、地元の選手だけで、常連の光星学院と青森山田を連破して甲子園の切符を手にしたということもあって、つい好感を抱いてしまいます。
真紅の優勝旗まであと五日間、KAZU君もそろそろ熊本から帰ってくるのですが、甲子園の熱闘、最後まで目が離せません。