9月23日(日)
「生しらす」と言えば、間違いなく「湘南の名物」だと思ってきました。逗子や葉山には「生しらす」が手に入るお店が何件もあって、以前、娘夫婦が逗子の家にやって来た時に、これぞ湘南の味覚と自慢げに振舞ったこともありましたし、江ノ島で「生しらす丼」を頰張ったこともあります。
2008年の初夏に食べた時の写真がありました

江ノ島の灯台の先の稚児が淵へ下りる階段の脇にある食堂で、たしか「魚見亭」「富士見亭」「見晴亭」という眺望の良い三軒の食堂があって、食堂のテラスから下を見下ろした写真がかなり高い位置からなので、いちばん上にある「魚見亭」だったと思います。
その、下を見下ろした写真

ところで、こちら明石では、春の風物詩として3月の「イカナゴ」が有名で、三年前、初めて「クギ煮」に挑戦した時に、湘南の「釜揚げしらす」が懐かしくなって、イカナゴの釜揚げも作ってみたりしました。ただ、湯に通す加減が難しくて、4回目になった今年も満足した出来にはなりませんでしたが。
関西のお店でも「釜揚げしらす」は売ってはいますが、どちらかというと、やや硬めに乾かしてある「ちりめん」が多く並んでいて、どうも、こちらでは私のイメージする「しらす」は、あまり好まれないのではと思っていました。まして「しらす」を生で食するということは、まずありえないのだろうと思っていたのです。
ところが、昨年あたりから、「淡路島の生しらす丼」という宣伝文句をよく耳にするようになりました。
「関西に、生しらす? 本当なの? 今度行ってみようかな」と気になっていたのです。
思えば、一昨年の11月に「たこフェリー」がなくなってから、二回ほど車で橋を渡りましたが、淡路島へ行く機会が少なくなっていたのは事実です。「たこフェリー」があった頃は、島に渡って食堂やレストランで食事をしたことも何回かありました。でも、「生しらす丼」というメニューを目にした記憶がありません。あの頃は、関東からやって来たばかりで、「鯛」とか「たこ」とか「あなご」とかに気を取られて目に入らなかったのでしょうか。そんなはずはありません。もし気がつけば、「関西にもあるんだ」と思わないはずがないのですから。
さて、今年も厳しい残暑が続いていましたが、さすがにお彼岸を前にして湿った南風が影を潜める日もやってくるようになりました。
先日、台風が去って少し爽やかな空が広がったのを見上げて、それではとばかり、淡路島へ向かいました。
明石の港からジェノバラインの高速船に乗って


車が便利なのは承知の上ですが、天気の良い日はやっぱり海からの景色は捨てがたいし、所要時間はわずか20分ほど。それに、もし「生しらす」があれば、ただ食べるだけでは面白くありません。
久しぶりに岩屋港に着きましたが、バスターミナルは実に閑散としていました。大阪、神戸、舞子と結ぶ高速バスは、もうここには寄らなくなって、島内バスも1、2時間に一本という少なさ。港の脇にある料理屋も閉まっていて、かつての面影はすっかり消えてしまっていました。
橋の下の「道の駅」に「生しらす丼」があると調べておいたのですが、そこへ行くにもタクシーで向かうしかないようです。
それならば急ぐこともないと、小一時間ほど港から神戸方面の海を眺めてから、この人の少なさではお店はみんな閉まっているのだろうと思いながら、ふと船着き場のビルの2階へ上がってみると、一軒だけレストランが営業していて、入口のメニューの「生しらす丼」という文字が目に入りました。それではとりあえず、今日はここにしてみようということで店内に入ると。
いかにも港の食堂という感じで、景色も申し分なし

いよいよご登場、これが「淡路の生しらす丼」

秋来たり海の珍味も澄みにけり 弁人
「淡路の」と言いましたが、どうもお店によって盛り付け方は様々のようで、この「浜ちどり」という食堂では、「生しらす」の上に、大葉と大根おろし、その上にわさびが乗って、真ん中に玉子の黄身、脇にきざみネギと海苔という具合でした。
最初に紹介した「江の島のしらす丼」は、わさびではなく生姜醤油でしたが、淡路でも、生姜醤油やポン酢などのところもあるようで、高級なメニューではイクラや刺身などの海鮮を添えるものもあるはずです。
ちなみに、私が逗子の家で作る時は、イクラときざんだ海苔を乗せ、生姜醤油をかけて食べます。
ところで、江ノ島など湘南の食堂では、新鮮さを重視して、朝獲れたものを昼までにということで、夕方に出すことはありません。また不漁の日なども「釜揚げしらす丼」しかなくて、「生しらす」にありつけないことがよくあるのです。でも、そんな日でも、お寿司屋さんに「生しらす軍艦巻」があったりします。そういう所は、もしかしたら、一度冷凍にしているのかもしれませんが、そんなことはさておき、この日は、とりあえず淡路島で「生しらす」に出会えたことを喜んでおいしくいただきました。
腹ごしらえが終了して、階段を下りると、やっぱりバスの姿はありません。再び船で戻るのが安直なのですが、それではちょっと能がないと、橋を渡って舞子へ行くバスに乗る方法を案内所で尋ねたところ、やはりバス停までタクシーで行くしかないということで、案内にしたがって、近くて便利な「淡路インター停留所」へ向かいました。
高速道路を挟んで、サービスエリアの観覧車がよく見える所でした

天高く空に吸わるる観覧車 弁人
「生しらす」と言えば、間違いなく「湘南の名物」だと思ってきました。逗子や葉山には「生しらす」が手に入るお店が何件もあって、以前、娘夫婦が逗子の家にやって来た時に、これぞ湘南の味覚と自慢げに振舞ったこともありましたし、江ノ島で「生しらす丼」を頰張ったこともあります。
2008年の初夏に食べた時の写真がありました

江ノ島の灯台の先の稚児が淵へ下りる階段の脇にある食堂で、たしか「魚見亭」「富士見亭」「見晴亭」という眺望の良い三軒の食堂があって、食堂のテラスから下を見下ろした写真がかなり高い位置からなので、いちばん上にある「魚見亭」だったと思います。
その、下を見下ろした写真

ところで、こちら明石では、春の風物詩として3月の「イカナゴ」が有名で、三年前、初めて「クギ煮」に挑戦した時に、湘南の「釜揚げしらす」が懐かしくなって、イカナゴの釜揚げも作ってみたりしました。ただ、湯に通す加減が難しくて、4回目になった今年も満足した出来にはなりませんでしたが。
関西のお店でも「釜揚げしらす」は売ってはいますが、どちらかというと、やや硬めに乾かしてある「ちりめん」が多く並んでいて、どうも、こちらでは私のイメージする「しらす」は、あまり好まれないのではと思っていました。まして「しらす」を生で食するということは、まずありえないのだろうと思っていたのです。
ところが、昨年あたりから、「淡路島の生しらす丼」という宣伝文句をよく耳にするようになりました。
「関西に、生しらす? 本当なの? 今度行ってみようかな」と気になっていたのです。
思えば、一昨年の11月に「たこフェリー」がなくなってから、二回ほど車で橋を渡りましたが、淡路島へ行く機会が少なくなっていたのは事実です。「たこフェリー」があった頃は、島に渡って食堂やレストランで食事をしたことも何回かありました。でも、「生しらす丼」というメニューを目にした記憶がありません。あの頃は、関東からやって来たばかりで、「鯛」とか「たこ」とか「あなご」とかに気を取られて目に入らなかったのでしょうか。そんなはずはありません。もし気がつけば、「関西にもあるんだ」と思わないはずがないのですから。
さて、今年も厳しい残暑が続いていましたが、さすがにお彼岸を前にして湿った南風が影を潜める日もやってくるようになりました。
先日、台風が去って少し爽やかな空が広がったのを見上げて、それではとばかり、淡路島へ向かいました。
明石の港からジェノバラインの高速船に乗って


車が便利なのは承知の上ですが、天気の良い日はやっぱり海からの景色は捨てがたいし、所要時間はわずか20分ほど。それに、もし「生しらす」があれば、ただ食べるだけでは面白くありません。
久しぶりに岩屋港に着きましたが、バスターミナルは実に閑散としていました。大阪、神戸、舞子と結ぶ高速バスは、もうここには寄らなくなって、島内バスも1、2時間に一本という少なさ。港の脇にある料理屋も閉まっていて、かつての面影はすっかり消えてしまっていました。
橋の下の「道の駅」に「生しらす丼」があると調べておいたのですが、そこへ行くにもタクシーで向かうしかないようです。
それならば急ぐこともないと、小一時間ほど港から神戸方面の海を眺めてから、この人の少なさではお店はみんな閉まっているのだろうと思いながら、ふと船着き場のビルの2階へ上がってみると、一軒だけレストランが営業していて、入口のメニューの「生しらす丼」という文字が目に入りました。それではとりあえず、今日はここにしてみようということで店内に入ると。
いかにも港の食堂という感じで、景色も申し分なし

いよいよご登場、これが「淡路の生しらす丼」

秋来たり海の珍味も澄みにけり 弁人
「淡路の」と言いましたが、どうもお店によって盛り付け方は様々のようで、この「浜ちどり」という食堂では、「生しらす」の上に、大葉と大根おろし、その上にわさびが乗って、真ん中に玉子の黄身、脇にきざみネギと海苔という具合でした。
最初に紹介した「江の島のしらす丼」は、わさびではなく生姜醤油でしたが、淡路でも、生姜醤油やポン酢などのところもあるようで、高級なメニューではイクラや刺身などの海鮮を添えるものもあるはずです。
ちなみに、私が逗子の家で作る時は、イクラときざんだ海苔を乗せ、生姜醤油をかけて食べます。
ところで、江ノ島など湘南の食堂では、新鮮さを重視して、朝獲れたものを昼までにということで、夕方に出すことはありません。また不漁の日なども「釜揚げしらす丼」しかなくて、「生しらす」にありつけないことがよくあるのです。でも、そんな日でも、お寿司屋さんに「生しらす軍艦巻」があったりします。そういう所は、もしかしたら、一度冷凍にしているのかもしれませんが、そんなことはさておき、この日は、とりあえず淡路島で「生しらす」に出会えたことを喜んでおいしくいただきました。
腹ごしらえが終了して、階段を下りると、やっぱりバスの姿はありません。再び船で戻るのが安直なのですが、それではちょっと能がないと、橋を渡って舞子へ行くバスに乗る方法を案内所で尋ねたところ、やはりバス停までタクシーで行くしかないということで、案内にしたがって、近くて便利な「淡路インター停留所」へ向かいました。
高速道路を挟んで、サービスエリアの観覧車がよく見える所でした

天高く空に吸わるる観覧車 弁人