父と子



ツルゲーネフ3冊目は 『 父と子 』です。

このタイトルの 「 父 」 とは旧時代・帝政ロシア時代のことで、

「 子 」 とは、新時代・ロシア革命後の新体制のことなのです。

代々続いてきた荘園の当主である父と、都会で大学生活を送った息子、

その息子が帰省の際に一緒につれてきた、息子が熱烈に崇拝するバザーロフ

という男。そして、バザーロフと彼の父母。

” 変化 ” の大きなうねりに軋むロシアの、それぞれの社会的階層を代表する

登場人物達の人物像とその背景を創造する貴族の中の貴族の系譜・ツルゲーネフの

知性と芸術性に改めて感嘆してしまう。

中でもバザーロフという、屹立する巌山のごとき人物の魅力は、豪と知と虚無の

新しいタイプの無頼を、些事により脆くも崩れてしまう運命の理不尽さを注入する

ツルゲーネフ的流儀により一層鮮烈に焼きつけられました。

バザーロフを演じる役者は、もう、ヴィゴ・モーテンセンしかいないでしょうな

( 私のイメージの中では・・・ )、うん。



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