枯葉 / Kuolleet Lehdet

 

シアターキノにて。

 

ジャズのスタンダードに 『 君 微笑ば 』 という 曲があります。

メロディも素敵なのですが、歌詞もとても素敵なのです。

 

    Oh,when you're smilling,          君が 微笑めば

    when you're smilling,             君が 微笑めば

    The whole world smilling with you,baby    君と一緒に 世界中が微笑むよ

 

カウリスマキの映画の登場人物達は、笑わない。

全員ポーカーフェイスの中で物語が始まり、ポーカーフェイスのままいろんな事にぶち

当たりながら、ポーカーフェイスの中で閉じていく。

フィンランド人は笑わない人達なのかな、と思ったのですがそうではないらしいので、

カウリスマキ流なのですね。ほぼ笑わない人達がいろいろやっていくから、そこに

ちょっとヘンテコな ” ズレ ” が生まれて、何とも言えない可笑し味が生まれる。

社会の底辺層で生きている人達の物語を描いてきたカウリスマキの、厳しさと同じく

ユーモアと温かみを伝える技でしょうか。

ヘルシンキの街でつつましく生きているスーパーの契約社員のアンサ、そして町工場

のブレスト職人でアル中のホラッパが、ある時ふと出会う。笑わない二人の目が合い、

惹かれ合う。そして、幾度ものすれ違いを経て、二人 ( と犬 、名前はチャプリン! )

が秋の公園を歩いて行く後ろ姿で終わります。

アンサがね、ホラッパとやっと再会できた時に、少しだけなのですが、でも確かに

微笑むのです。口角をちょっとだけ上げて。目の中にホラッパを入れて。

そのたびに、ホラッパは 「 君が微笑むと、世界中が微笑む! 」 って想っているのが

わかるんです。生きる希望を信じることができる、と。

 

アキ・カウリスマキ作品が大好きで全作観ています!というコアなファンの方達知っ

ているので、『 浮き雲 』『 希望のかなた 』と今作 『 枯葉 』 の、たったの本しか

ていない私があれこれ述べるのはちょっとどうかしら・・・と気後れ気味なのすが、

お許しいただくとして。

突然の引退宣言から6年、カウリスマキが映画界に帰ってきた!と話題の『 枯葉 』。

観終えてキノを出て狸小路6丁目の日常感の中に足を踏み出しながら、じーんとした

感動に包まれておりました。

媚のない、矛盾のない、無駄のない、その手練れの演出。

それでいて、

柔らかくて暖かくて美しくて可笑くて、とてもロマンティックで。

カウリスマキの新作を観ること、それは、本当に特別な幸福なのだということがじわじ

わと沁みてくる。心から納得できる。

ある愛を描いてなにもかも完璧な、傑作でした。

 

 

明日金曜日は、パスキューアイランド・パン販売の日。

春はすぐそこまで近づいていたはずが、今週はまた遠ざかったかのような冷え込み

でしたねえ。みなさまお元気でしょうか?

でも、日が伸びて、光の透明感はまさしく春のもの。体を温めるおいしいスープが

風邪の予防に一番ですね!そしておいしいスープには、おいしいパンですよ~

明日も、こんがりと焼けた丸いパンを山盛りにして、みなさまのご来店を

お待ちしております!!

 

 

グラハム粉の丸いプチパン

1個 150yen

 

 

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あした2024年2月23日金曜日は・・・

 

 

あした2024年2月23日の金曜日は、

パスキューアイランド・パン販売の日 ですよー!

まさかの大雪?! になりそうな勢いで、ただいま今も軽いふわふわ雪が

しんしんと降りしきっております。

” しんしん ” という、おもに雪の降っている状況に使われるオノマトペは

いつから言われ始めたのでしょうね。今日の雪にぴったりです。

しんしんと降り続いて、このままで行っちゃうと明日はまたまた真っ白の

世界にしばし逆戻りかもしれませんねぇ・・・

真っ白い雪の毛布に包まれているかもしれない明日なのですが、

こんがりと焼けた丸いパンを山盛りにして、いつも通りにみなさまのご来店を

お待ちしております!!

 

 

グラハム粉の丸いプチパン

1個 150yen

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福田元美 2024年早春の新作カード揃いました!

 

ぽかぽかと春めいて気持ち良~く伸びをしていると一転、

夕暮れと共に温度は急降下、ぎゅっと体は固まって緊張と守りの体制に逆戻り。

気温の乱高下に振り回され気味の今年の早春2月ですねぇ。

 ” 春爛漫 ” を待ち望みつつも、その前段階の

” なんとなーく春かな・・ ” とか、

” ほんのりと春かも・・ ” とか、

” うっすらと春なのね・・ ” くらいの早春感が今時期にはちょうどいいんだけれ

どな~~ って思っていたら、届きました!

福田元美さんからの新作イラストカード5柄です。

控えめなのだけれど、でももう冬は終わりましたとしっかりと伝わる新鮮な

エネルギーのイラストに気分をあげてもらいましょうか!

 

『 あっちに行こ! シロクマ 』

雪が解けていろんなものが顔を出し始めます。外に出ると、あっちにいいもの

あるよ!と弾む足取りのシロクマさんたち。10cm は弾んでますよね!

 

『 さやえんどうをかかげるねこ 』

春といえばサヤ豆。あの緑!あのパリッの食感!あの甘味!

ねこさんが私たちを代表して、そんなさやえんどうを讃えるの図、でしょうか・笑

 

『 穴からねこ 』

絶妙なねこの表情!うまい~~!

 

『 すみれ2024 』

細い茎に小さな5枚の花びら、ふわりと咲いているすみれ。

きゅっと巻いてこれから目覚めるつぼみ、ふくふくと柔らかな丸みの

葉っぱ。色を塗って送りたくなりますね。まさに早春。

 

『 すすきのビル 』

札幌っ子のソウルフードならぬソールビルディング( ?そんなのアリ? )

「 すすきのビル 」。もとみさん、描いてくれてありがとう!!

この一枚、観光のお客様にも人気出ますよー!

 

 

以上、福田元美・最新ワークスの5柄です。

” 新しさ ” には、予想以上のパワーがあります。

さり気ないもの、さり気ないこと、日常の中の小さな ” 新しさ ” を意識して

取り入れて、楽しく力強く春へのマーチに乗っていきましょう。

風邪なんか寄せ付けないワクワクパワーですもの、効きますよー!

 

 

 

福田元美 motopostcards

1まい 150yen

 

 

 

 

 

 

 

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コット、はじめての夏 / The Quiet Girl

 

 

サツゲキにて。

1981年夏、アイルランドの田舎の農場で、両親と姉たち、兄と弟たちと暮らす9歳の

コットが過ごした一夏の日々を描いています。

飲んだくれでギャンブル依存で農場の仕事をほぼ放棄している父親と、貧しいために

心も生活も維持できなくなっている母親、当然子ども達にも暗い影響が出ています。

家でも学校でもみじめで、お腹がぺこぺこで、孤独なコット。

英題の『 The Quiet Girl 』の通り、コットは静かな少女ですが、このような環境では

ますます口を閉ざして、たった一人野っぱらの草の中に身を横たえて家族から離れて

いたり、ベッドの下に隠れるようにしていたり・・・誰もコットに気を掛けることは

ありませんし、コットは悲しみや寂しさなどの感情を自分の内側に秘め続けています。

さらにもう一人出産予定の母親が、家事と子ども達の世話を少しでも軽減するために、

夏休み中コットをいとこ夫婦に預けることになりました。

コットの家からさらに車で3時間という自然に囲まれた農場を営むアイリーンとショ

ーン夫妻は優しく暖かくコットを迎え入れるのでした。

 

コット役のキャサリン・クリンチ!

彼女の存在が全てに息を吹き込み、彼女がいるただそれだけで、この作品全てに生命

がいき渡る、信じることが出来る。

縮こまって怯えていたコットが、夫妻の愛情 ( 夫ショーンの朴訥な優しさよ!)

接するうちに、少しずつ手足を伸ばし、心を開き、本来の声を言葉を取り戻してゆく

日々を、見事な演技で表現しきっていて驚きます。

内に秘めた繊細な感情を湛えるブルーグレイの瞳と、艶やかなダーブラウの長い

髪の、内気な少女コットそのもののキャサリンが本当に素晴らしい!

 

夏休みが終わり、家に戻ることになるコットとショーンの抱擁シーンは忘れがたく、

この後コットがどうなっていくのか、余韻を残すのでした。

 

 

春めいたこの2~3日、今年は雪解けが早そうですね。気温の上下はまだまだ続き

ますので、用心しつつも気持ちは春に向けて何となく明るくなってきましたよ。

明日金曜日は、パスキューアイランド・パン販売の日。

ザックザクに融けかけの雪道、足元はかなり悪いので、どうぞお気を付けていらし

てください。

明日も、こんがりと焼けた丸いパンを山盛りにして、みなさまのご来店を

お待ちしております!!

 

 

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愛だよ、愛!

 

世の中は、いろいろな才能や技能を持っている一人一人が集まって出来ていて、

数え切れない一人一人スペシャリスツが世の中っていうやつを動かしているのだ

けれど、数え切れない種類のスペシャル才能・技能、その中で、自分の内側で

培養した愛を放流したり、循環させるという技能保持者がひっそりと活動して

いるのでした。

彼らは実に地味で、目立つパフォーマンスを決してしないようなのです。

何故かというと、自覚してやっていないからでしょうね。無意識。

気付いたら技能が発動していた・・・という感じ。

無意識の愛のバイオテクノロジストの彼、彼女たちから流れてきた純度100%

の楽しさ嬉しさは、目に見えるわけではないですね。

でも感染していくようです。

先週の日曜日に、私も感染してしまいました。

感染したら、ぐっと元気になっていくし、私から誰か別の人やものや物事など

に染っていって、イイ感じが巡っていきますね。

めちゃくちゃ昔のCMに 「 愛だろ、愛! 」 っていうのがあったなあ。

ビートルズも歌ってますね 「 All You Need is LOVE 」ってさ。

ほんとにそう。

そう思う。

 

 

 

明日金曜日は、パスキューアイランド・パン販売の日。

地味で頑固なげんこつパンに、愛を感じて( 美味しいってことね! ) 元気に

なっていただけると嬉しいです。感染は成功です・笑

明日も、こんがりと焼けた丸いパンを山盛りにして、みなさまのご来店を

お待ちしております!!

 

 

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ポトフ 美食家と料理人 / La Passion de Dodin Bouffant

 

お正月休みにシアターキノにて。

とても美しい作品でした。

 

19世紀末、フランス。

副題の通り、美食家ドダンと天才料理人ウージェニーは、仕事と人生が分かちがたく

結ばれていて、二人も分かちがたく結ばれているのでした。その二人が共に暮ら

いる森の中のシャトーの大きな厨房から物語は始まります。

敷地内の豊かな自然、その自然からの贈りものである収穫物をふんだんに使って

ウージェニーの調理シーンが何といっても圧巻でしょう。

瞬きするのも忘れてしまっていたと思う。

周到に準備された極上の食材が、スピーディに、リズミカルに、丹念に、手間と手順

を重ねて輝くひと皿へと仕上げていく調理人の手元を、全編自然の光で、何と!

ワンカットで撮影されているのです。

19世紀末、産業革命以降のヨーロッパでは機械化電化が急速に波及していた時期に

そのシャトーには電気はきていても、使われている電化製品は照明器具くらい ( オイ

ルランプとキャンドルがメインの灯り ) で、全てが手と体と素朴な道具で切り盛りさ

れていて、当たり前ですが電磁波ほぼ0。

暮らしの中で生み出されてきた理にかなった道具類は美しく、使う手や動作がまた

美しく、石造りのシャトーの空間の佇まいも美しく・・・・・

ましてや厨房、大型の幾口かのコンロ台やオーブンの燃料は薪、庭にすぐに出ること

出来る光溢れる厨房では、使い込まれた木製ヘラ類、銀のスプーン類、レードル類、

ナイフ類、笊類、漉し器にまな板、磨き上げられた銅の鍋類、当時の陶器の器類、

そして上等のリネン類を、ウージェニーと、の指示通りに的確に動く助手のヴィオ

レットが当たり前に使いこなしている様に感嘆、ため息・・・!

挿入音楽一切なし、映像と共に深く印象に残るのは、調理で発せられる音の数々。

火と水と、新鮮なバターと新鮮な素材と、道具と調理人が奏でる音、

シャッシャッ、ジャーーッ、トントントントン、シュッシュッ、e.t.c. e.t.c.

石の床を靴( 木靴? ) が忙しくも優雅に移動するときの音、綿や麻の作業用のドレ

ス ( 上質オーガニック、ナチュラルな染料、襞を寄せたクラシカルなデザイン! )

の衣擦れ音、こつこつこつ、カタカタかた、サワッサワッ、シュッ、シュッ・・・・・

 

ドダンの美食仲間を招いての午餐会のためのこれらフルコース料理が次々と2階

の一室のテーブルに運ばれて、お客たち ( 4人みな男性 ) に、料理とそれに合

わせたワインの説明をするドダンの得意な様子、そして至福のひとときを享受し

満喫し尽くす美食おじさん達の満足のため息がもれる様子に、一緒にため息・・・

 

私は、この映画はここまでで完了でよいのではないだろうか、と思います。

映画が始まり、美しい映像に夢中になりつつも、頭の中で同時にいくつかの謎が

浮かびながらの鑑賞でした。

ドダンとウージェニー、このお二人は一体どうやってこのようなシャトーに住まっ

いるのだろう?

収入源はなんだろう?

美食家という職業が当時は存在したのだろうか?

彼らの社会的な地位のようなものって、どのような? もしかしてドダンは貴族の

家系なのかな?敷地内の畑や森の管理をして、小作人がいて、収穫物を得ている?

美食家という種族がこのような田舎にもいるのだろうか?田舎暮らしだけれど、

都会 ( パリとか ) との繋がりはどのように?二人の活動とは?

化学的な論理を摂り入れた最新のデザート料理を仕上げたりするドダンは、軽やか

な思考の男だと思うのだけれど、長年ウージェニーに求婚し続けるのは何故だろう?

料理への情熱とお互いへの尊敬と愛情で深く結ばれている二人。結婚にこだわる

その理由・・・?

ウージェニーが突然 ( 観ている側にとっては )病に倒れますが、しかも死に至る

病なのですが、最高最上の環境で、料理という手法で様々なものたち( 材料 ) の

命を美味なる料理へと形を変えて繋いでいく天職を、天才で表現できているそんな

人が、一体どうして病気になどなるのだろうか??過労?ストレス?ないでしょ?

何度もしたけれどこれで最後、という求婚で、ドダンがウージェニーのためだけに

自ら料理した素晴らしいフルコース料理を全部平らげているウージェニーは重病?

ドダンにとって、自分は 「 料理人?妻? 」 と最後に問うウージェニー、どっち

でもよくないですか? どっちも、でよくないでしょうか??問いの意味合いを

うまく理解しきれないのでした。

 

などなど・・・・・

背景がまるでわからなくて、上記の厨房シーンや美食フルコースシーン、そして

二人の結婚を祝う、森の平地にて長ーーーいテーブルでのパーティのシーン、の

見事さ素晴らしさ対して、物語が後付けぎみに思えてしまうのです、私には。

説得されないままに観終えてしまいました、悲しい・・・。

どうしたらいい?トラン・アン・ユン( 本作の監督 )?

 

そこで、鑑賞後パンフレットを購入したというおふみさんにパンフレットをお借り

したので、読んでみます。あーあ、そういうことでしたか!そういう背景があった

のでしたか!なるほど、となるといいな。

でも、パンフレットを読まなければわからないまま、というのは、映画として

やっぱりどうかなあ・・・もやもや・・・どうなの?トラン・アン・ユン??

たぶんこの映画を鑑賞するには、私には素直な感性のようなものが足りなさす

ているように思えます。理屈っぽいといいましょうか・・・。

 

 

 

明日金曜日は、パスキューアイランド・パン販売の日。

1月、2月、観たい映画が次々と!

映画館に行ける札幌在住、やっぱりここは頑張って行かなくてはネッ。

 

明日も、こんがりと焼けた丸いパンを山盛りにして、みなさまのご来店を

お待ちしております!!

 

 

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