風邪の日に届いたもの



風邪をこじらせてフラフラな時に届いた宅配便。

学生時代からの友人からのその包には、体を温めてくれるもの2種、気持ちをほっと

させてくれるもの1つ が入っていました。

体を温めてくれるもの、それは、有機栽培のお米の甘酒のレトルトパックと、

かわいいパッケージ入りの即席葛湯。

気持ちをほっとさせてくれるものは、菜の花の油で作られている小さな蝋燭でした。

甘酒も葛湯も、最も簡単にいただくことができるようになっている。

風邪で何をやるのにも普段の何倍もエネルギーが入用だったから、なんと有難かった

ことか! お湯を注ぐだけ、ですもの。

ふうーふうーいって、飲みました。

お腹の当たりからじわーっと温まり、メッセージ無しの小包だったけど、急いで送って

くれた友人の気遣いがストレートに伝わって・・・・嬉しかったのでした。

贈り物は、かくあるべし。

そろそろ、菜の花蝋燭を、ゆっくりと眺めたいですよ。

なおこちゃん、ありがとう!


写真は、葛湯のパッケージ。

「 オトギクズユ 」 という商品名で、「 桃太郎 」と 「 金太郎 」 の切り絵の

ような絵がかかれているのでした。
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掲載誌のお知らせ



ただいま発売中の 『 ことりっぷ 札幌・小樽 』 に当店を載せてくださいました。

札幌、小樽方面へお越しの際などに。

美味しいお店も盛りだくさん。

小型で携帯しやすいガイドブックだと思います。

本屋さんでチラリ立ち読みも。

ああ、旅、いいですね。
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ヒュズン、メランコリー、トリステス



オルハン・パムク著 『 イスタンブール 思い出とこの町 』 を読んでいます。

著者は、生まれてからずっとイスタンブールの生家の大きなアパートに住み続けてい

て、異国情緒を主体に描かれがちなこの大都市を、”憂愁 = ヒュズン ” ” 憂鬱

= メランコリー ” ” 悲しみ = トリステス ” に満ち溢れるモノクロームの町

である、と書くのです。

今、三分の一くらい読んだところ。

著者の人生は始まったばかりで、イスタンブールの、過去の栄華が朽ち果てた有様に

独自の美を感じ取り、愛し始めていています。ふるさとの街の思い出が続きます。

オルハン・パムクの語り。

初めての作家の語り口は、すぐには馴染めない愉しさがあるのです。

じっくりいきます。
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ちから の 字



4歳の半ば位だったと思いますが、カタコトにひらがなを読むことがたまにある

ようになって、ポスター仕様の 『 あいうえおひょう 』 を買って、壁に貼って

おきました。 4歳代では、そう熱心ではなかったのですが、読む時に見て確かめてい

たこの 『 あいうえおひょう 』 、最近、字を書くという作業が全く自然に始まり、

今度は 熱心に見ては、力いっぱい鉛筆を握りしめて、紙に書き付けております。

先週末に、わたしが家に帰りつくと、誇らしげに見せてくれたのが、今日の写真です。


にちようび → 2ちようび  なんてご愛嬌。なかなかいいぞ。

そして、密かに ” かいぞくせんたいごうかじ ” って。 本人は密かに書いたわけ

ではないでしょうが、私は、よーく眺めてみると、

「 いました!いました! かいぞくせんたいゴーカイジャーがっ ! 」

と、なんだか いいもの発見したような気になって微笑んでしまいます。

読み書きは小学校に入ってからで全く問題なし、といたってのんきな親ですが、

自然な流れで字というものに興味が芽生えるのだなあ、と、人の成長過程に感心。


それにしましても、この時期の幼子の 字。

大人には絶対に出せない味があり、野性味があり、字というものに対する馴れ合いが

全くない新鮮さに溢れていて、宝物ですね。





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ねこやなぎ



店の窓辺に、猫柳ふた枝ガラス瓶にさしております。

かすかな春の訪れの兆しという感じで、いつもこの時期に買ってしまいます。

だけれども、この猫ちゃんたち、もう2週間以上瓶の中にて過ごしていて、

切った幹と、一本の枝から黄緑色のきれいな新芽が伸びてきていてるのです。

猫ちゃんたちは、気づいたら半分くらいの数になっちゃっているんですが、

猫柳って、この先どう扱ったら良いのでしょうか?

もうおしまいにしていいのかなあ。

それとも、水栽培よろしく水を取り替えつつ、新芽を育てるものなのか?

どなたか、教えてくださいな。

猫の数からいったら、もうそろそろいいかなあ・・・・とも思うのです。

どうなのでしょうかねえ・・・・・。
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日が長くなりました



気がつくと、夕暮れの時刻が延びていました。

息子を保育園に迎えに行くために早上がりして、地下鉄駅から路上に出たら、

少し前にはもう真っ暗でしたのに、ふと顔を上げると、まだ明るいのです!!

寒い寒いと、この1ヶ月くらい、うんと縮こまって、体もぎゅっと固くして、

滑って転ばないように、北風がコートの中に入り込まないように、緊張して路面を

目を凝らして歩いていたのです。

今年の冬は冷え込みが容赦なく続きましたね。

札幌は、それでも雪はそれほどでもありませんでしたが、岩見沢をはじめ、例年の

何倍も雪の降り積もった地域も多く、お住まいの方は本当に大変でしたでしょう。

でも。

もうすぐ、なんですよね。

寒くても、地球は回転し、季節が巡っているのです。

日が長くなっているんです!!!

クロネコヤマトの集荷のお兄さんとも、この変化を喜び合いました。

春の初めのお花でも買って、春らしいお菓子なんぞもいただいて、装いはまだまだ

油断は禁物ですが、なんだか、自分とその小さな環境にふんわりとしたエアーを

注入したい気分です。

冬来りなば、春遠からじ ・・・・・ 。

先日、風邪をこじらせてしまい、ちょっと苦しい日々を過ごしました。

でも、もう大丈夫です。 反省と気づきの時間をもらった、ということでしょうか。



さあ、今年の冬もフィナーレに向かってじわりじわりと攻め ( 笑 ) をときはじめ

ましたよ。 皆様、春の準備、進めましょう、ねえ。



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ペレのあたらしいふく



驚きの物語。

ペレは、見たところ、5〜せいぜい6歳にしか見えません。

まだぷっくりとしたほっぺの赤い、田舎に暮らす、健康的で素直な、普通の男の子。






  ペレは、こひつじを 1ぴき もっていました。そのこひつじを、ペレは じぶんで

  せわし、じぶんだけのものにしていました。



  こひつじは そだち、ペレも おおきくなりました。

  こひつじのけは、それはそれは ながくなりましたが、

  ペレのうわぎは、みじかくなるばかりでした。



  あるひ、ペレは はさみを もちだし、

  こひつじのけを みんな かりとりました。






さあ、物語が動き始めます。

現代消費社会に生まれ生きる私達、いいえ、少なくとも私にとって、ここからのペレ

の行動と、対峙する大人たちの対応のしかたには、もう感動を通り超えて、

ほとんど ” 驚異 ” に近いものです。

人と人のつながりの大切さ、温かさ、などというものをも軽く超えるショックです。

さて、ペレは、どのようにお話をすすめていくのでしょう。




まず、ペレは、かりとった羊毛を、おばあちゃんのところへと持ち込み、梳いてもらえな

いか? お願いします。

おばあちゃんは、承知しますが、その間の人参畑の草取りが条件です。




ペレは草取りをし、毛を梳いてもらえました。

ペレは、梳いた毛を、次に、もう一人のおばあちゃんのところへと持ち込み、

毛を糸に紡いでくれまいか? と頼みます。

もうひとりのおばあちゃんもやってくれますが、そのあいだの牛の番が条件です。




ペレは牛の番をし、紡がれた糸を手に入れます。

糸を持って、次にペレは、ペンキ屋のおじさんのところへといきます。

糸を染める染め粉を分けてもらうために。 ( このあたりが、ベスコフのお話作家と

しての素晴らしいところ! ちょこっと寄り道・曲がり道を用意してますね。 )

ペンキ屋は言います。


 「 ばかだね。ペンキとそめこは ちがうんだよ。 うちには そめこはないよ。

 でも、もし おまえが、ふねで ざっかやまで いって、このぎんかで、テレピンゆを

 1びん かってきてくれるなら、おつりで、おまえのそめこを かってもいい

 よ。 」





さあ、ペレはさっそくぎっちらことボートを漕いで雑貨屋へ。 あたりまえにボートも

漕いでしまう就学前の男の子って! まあ、田舎では当たり前のことか。

そして、テレピン油と、自分用の青い染め粉を買うことができました。

手に入れた青い染め粉でペレは自分で糸を染めるのです。糸は濃い青に染まります。





それからペレは、お母さんのところに行き、自分で染めた濃い青の糸で生地を織って

ほしいと頼みます。お母さんは、もちろん織ってあげるけれど、そのあいだ、妹を

見ていてくれるなら、と。

ペレは、妹におかゆのような、スープのようなものを、妹を膝にだっこしながら上手に

スプーンで食べさせます。お母さんはペレの青い生地を織り上げます。





そしていよいよオリジナル生地を手に、ペレは仕立屋さんのおじさんのところへやって

きました。仕立て屋のおじさんは、



 「 なにをいいだすんだ、しょうのないこだよ 」 と、したてやは いいましたが、

 すぐに、「 うん よしよし、もし おまえが、おじさんのうちの ほしくさを あ

  つめ、たきぎを はこびいれ、ぶたに えさをやってくれるなら ぬってやる

  よ 」 


そう言うのです。

ペレは、もちろんやり遂げましたよ。干し草集め、豚の餌やり、たきぎの運び入れ。

仕立屋さんは、土曜の夕方きっかりに、ペレの注文服を仕立て上げました。





   にちようのあさ、ペレは あたらしいふくを きて、こひつじのところへ 

   いきました。 「 あたらしいふくを ありがとう ! 」

「ベーエーエー」と、こひつじは なきましたが、まるで わらっているようでした。





ふうーっ。

どうでしょうか。

ペレのこの一連の行動に深く驚き、感動するのは、私だけでしょうか。

ペレ、凄いっ!! 

洋服って、実はこのように出来上がってくるのでしたね。

とても解りやすく教えてくれます。

それは、究極のシンプルさ。自分のひつじの毛で、自分の洋服をつくるわけです。

完成させるにあたっては、たくさんの大人たちの手を借りなければなりません。

ペレは、ひとつひとつ順番をおって頼みにゆきます。

その時々の大人たちの、依頼主である幼い子供に対する対応のしかたのまっとうさはど

うでしょう。ベスコフは、とても簡潔な文章で伝えます、ペレに、読者に。

仕事を依頼するにあたっては、対価が必要であることを。

当たり前にきちんと伝えるのです。 相手は子供、お金ではありません、勿論。 

対等の価値のある仕事と交換するのです。

初版1912年というこの絵本、ちょうど100年前の子供たちには、一体ペレの

このお話は、どのように読まれ受け止められたのでしょう。



ペレに言ってあげたいです。


「 ペレ、きみはホントに素晴らしい! おばさんは、ものすごく感心してしまいまし

たよ。大きくなった自分用に、自分でぴったりの大きさの服を作り上げたんだものねえ

とってもステキな青い服、よーく似合ってますよ!! プロに依頼するときは、きちん

と帽子を脱いじゃったりして、なんて礼儀正しいのだろうね。またまた感動。

出来上がった服を着て、最後にきみは、毛を刈り取らせてくれた自分の羊に、ありがと

う、と。いやあ、参りました、降参です。きみにとっては、そこが一番大切な部分

だったんだね。 おばあちゃん2人、お母さん・お父さん、仕立屋さん一家も、

この最後のページで、そんなきみを温かくみていましたよ。

これからも、みんなの協力をえて、生きる力溢れる男の子に成長していってね。」



ペレ、なんて言うかしら?

「 えっ、そんな、何驚いてるの? フツーだよ、こんなのはさっ! 」

そんな返事が返ってくるかもなあ。




ベスコフの素晴らしい絵とお話。

100年前のスウェーデンの自然と暮らしの細々を、本当に楽しく豊かに見せてくれ

ます。彼女の絵本、福音館から出版されている大型の作品がおすすめです。

お話もけっこう波乱にとみ、読み聞かせごたえ充分。

みなさんの感想、いかがでしょうか。





『 ペレのあたらしいふく 』
作者 / エルザ・ベスコフ
訳者 / 小野寺百合子
出版社 / 福音館
NDC 949













 








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