20年遅れ



一年中温かな南の地方ではなく、

冬には、息をするとキーンと小鼻がくっつくくらい凍てつき、

夏は一気に木々の緑色が濃さを増すような、メリハリのきいた北国の

自然を自覚して愛するようになったのは、実は子供を産んでからなのです。

三角山をはじめ、西の山並みの大きな自然、子供達が遊ぶいくつもの児童公園

の芝生や樹木、通勤コースに建ち並ぶ家々のお庭や、ななかまど、桜、といった街路樹、

空模様、空気の匂い、温度 ・・・・。

特別な環境などではない、ごくありふれた町のさりげない自然の繰り返しを、子供との

暮らしでひとつずつ味わい直してきたように思います。

なにせ、風邪をひかせないように、季節の変化や温度調節にきめ細かくならざるを得ない

わけですし、できるだけ快適に思いっきり外遊びしてもらうためには、周りの自然からの

サインはとても頼りになることが身をもって解るようになったのです。

桜の花びらが散りきるころには、半ズボンの準備が必要、とか、

暗くなるのが早くなってきたなら味噌汁には豆味噌も混ぜよう、とか、

根雪がほとんど消えそうなギリギリには、病院の敷地内の裏庭に蕗の薹を採りに、とか、

紅葉シーズンのトリを銀杏がつとめて、神社の境内の大銀杏の木のため息のでるような

黄色を眺められる頃には、去年よりワンサイズ上の長袖Tシャツとももひき、ソックスも

準備万端にしておかなくては 、

・・・・・・・ などなど、いくつもの目安を手に入れました。


勝手気ままな独身時代は、ファッションビルの空調の効いた窓なしハロゲン灯の空間に

長時間いても平気だったし、外食も多くて市場に今何が並んでいるかなんて

あんまり興味が無かったわけで、若かったから、単純で、不自然な生活でも気付かずに

へいちゃらでした。

あの頃も楽しかったのでしたが、

今の暮らしの方がよほど豊かだと思える自分もいいな、と。

時々ふと、

私は何事も、人様より20年は遅れているなあ。

それでも20年経って気付いたんだから、まあ、いいか、って思うんです。

へへへ、これからのお楽しみがたっくさんなわけですよネ。





『 ブルーグラス 』
持ち重りのする、しっかりと材料を使って作られているガラスのコップ
です。スモーキーなブルーの色調がとてもいいんだなあ。
歯磨きコップにどうでしょう。
日々の暮らしにこそ、良質なお気に入りを。
970yen
80x80mm/220ml








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