バードマン / BIRDMAN




どんなタイプの作品なのか、 どのようなストーリーなのか、敢えて知ろうとぜずに

なるべく情報を入れずに観ることにしたいのです。

映画館で本編の前に上映する予告編が実はとても好きなのですが、100%観ないだろ

う、という映画に限って好きなのでして、コレは必ずや観よう、観たい、という作品に

ついては、チラシや雑誌の映画欄で知り、チェックした後は、もういきなり大スクリー

ンに直行したいもの。作品全体の雰囲気とか、音楽とか、色調など、予告編ムーヴィで

プチ体験することなしに臨むと、鮮度もパワーもビンビンで、傑作も佳作も珠玉作も並

作も、それなりのエッジの効いた感動を与えてくれるように感じます。

ということで、予備情報無しでワクワクしてファクトリーユナイテッドシネマへ。

『 バードマン 』、最高に素敵な映画でした!!

ダメな過去の自分から、本当になりたい自分へと変身するためのプロセスが見事に描か

れている、とてもスピリチュアルな作品。

スピリチュアルな、霊的な進化、まあもっと普通にいうと、ドツボから抜け出して、

元々持ち続けていた自分の本当の夢を実現するってことでしょうか。

俗っぽい自己啓発本的に捉えられがちなテーマなのですが、ハリウッド流感動てんこ盛

りの多くの作品とはっきりと一線を画する理由は ( 観ればわかるの一言なんだけ

ど )、この作品のテーマである ” 再生とそのプロセス ” を非常に高度に昇華させ

ているという点、そしてその表現の斬新さでしょう。

マンハッタンで、ショービジネスの表と裏で、人生の栄光と没落で、夫婦・親子・恋

人・夢・才能・再起・崖っぷちで、風刺で、皮肉で、そして 希望で、ごったまぜの

カオス状況を作り上げ、その上で、これらを全て計算づくの強弱をつけながら立体的

に組立てまとめあげる構成の見事さは、まさに映像の芸術。

ひどく辛口 ( 主人公役のマイケル・キートンの撮り方ったら!キツい、辛い、身も

蓋もない・・・ )。シュールでダイナミック ( 観ればわかる )、ゲラゲラ笑える

んだけど、とってもブラック。そして、全編を貫く力強く超クールなビート ( 敢えて

書かない、観ればわかる )。

幻想と妄想と喧騒と失意に身動き取れないほど絡みつかれている落ちぶれたかつての

大スター、リーガンが、自分の心の中に棲む魔物の如き ” バードマン ” と対決し

決別するまでの七転八倒の日々。

よくぞ投げ出さず、諦めず、逃げ出さずに堪え切った、と感動します。

「 俺はこれに俺の全てを賭けてるんだっ! 」 人生で、しかもボロボロの落ち目の時

に本気でこのセリフが吐けたなら、もうそこで下げ止まり、あとは上がっていくだけな

のではないでしょうか。この崖っぷちぎりぎりの恐怖に打ち勝つことが自分の人生を

心から愛するための通過儀礼なのだとしたら ( たぶんそう )、私はどうだろう?と

思いを馳せずにはいられないのです。

一度では決して覚えられない名前の監督アレハンドロ・G・イニャリトゥ、自分の脳内

宇宙をよくぞここまで映像化したもんだ!!! 驚愕!

エドワード・ノートンにも久しぶりに会えました。彼も今回のお目当てでした。


” 無知がもたらす予期せぬ奇跡 ” は、” 必死さがもたらす必然の奇跡 ” とも

言えるのではないかしら・・・。








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1日2個のパン屋さん



実は、当店では、ひっそりとパンも売っています。

なぜ ” ひっそりと ” かといいますと、1日に2個しか焼けないからなのです。

種類も3種類だけです。



「 カンパーニュ 」 1000yen

全粒粉40%・強力粉60%・水・塩 の天然酵母パン。

厚く香ばしい皮ともっちりしっとりした中身で、小麦の味とほのかな酸味が楽しめま

す。


「 レーズン 」  1200yen

全粒粉30%・強力粉60%・レーズン10%・水・塩・イースト のパン。

レーズンの甘酸っぱさを生かすため、天然酵母ではなく微量のイーストを使用。全面

びっしりとレーズンが入っていて、少しトーストしてバターをのせると絶品です。



「 ライ麦 」  1200yen

ライ麦40%( うち20%は粗挽きライ麦 )・40%強力粉・20%全粒粉・水・

塩 の天然酵母パン。

甘味と酸味、香りが濃厚なライ麦ならでは、の黒いパンです。ブルーチーズを塗ってワ

インのお供に。翌日以降さらに味が落ち着き熟成します。



この3種類。

いずれも10時間寝かせて発酵させているどっしりとしたハード系パンです。

ご希望日の2日前までに電話にてご注文ください ( 011-221-8998 )。

仕込んで当日の朝に焼き上げます。


日本一小さなベーカリー( 笑 )ですが、パン好き、粉物好きの皆様から絶賛いただい

ておりますよー。









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博士と彼女のセオリー / THE THEORY of EVERYTHING



須貝ディノスにて。


重度の難病で余命宣告まで受けている夫、乳飲み子、幼児、のお世話と家事全部を抱え

ていてあんなに家中整っているハズがないっ!!

手のかからない子供達だった?手がかからないと言ったって限度があるじゃろが?!

赤ん坊だっているのにさあ。

夫は着替えをするにももの凄く大変であると思うのだが、家中スッキリと片付け終わっ

ていて、夫もスッキリとしたパジャマに着替え終えていて、妻もスッキリと素敵なナイ

トドレス姿で寝室に入ってきて、二人で就寝前に見つめ合う余裕があるだなんて信じら

れん!! スッキリにも限度があるじゃろが!! 

夫の研究成果が認められ、学生時代からの仲間とともに自宅でお祝いパーティを催すの

であったが、大人は階下で食べて飲んで、子供達は二階の子供部屋に収められ静かに

寝ている? でもほらほら、赤ちゃんが出てきちゃったよう! ああ!危なーーい

っ!!!よちよち歩きの赤ん坊がいるんですよ! いくら転落止めの柵を置いているか

らといってもですねえ、柵に手をかけ、体重をかけちゃうと、ホラッ後一歩で柵もろと

も階段から落っこちちゃうよっ!!! ってハラハラしてしまうじゃろが!

いいよなー英国ならではなのかなあーそれとも天才物理学者の特別なのかなあー?

芝生の広い庭、家族で園遊会、スッキリとした( くどいっ ) しかもクラシカルで

シックで緑に囲まれ静けさに満ち満ちている邸宅住まいという暮らしの環境・・・・・

英国では特別上流ってわけではないのだろうが、日本の半端な住環境からしてみると、

このような素晴らしい環境だったことも博士の偉大なる業績に貢献してはいなかっただ

ろうか、いやいや絶対に大いに貢献してるってばー。

1989年の 『 マイレフトフット 』 のダニエル・デイ・ルイスのあの役作りと演技

に衝撃と感銘を受けたのだったが、この度のエディ・レッドメイン君も相当頑張ったと

は認めてあげる、ただダニエルの後だったものだからそんなには感動しなかったけど、

アカデミー賞主演男優賞受賞ですって? ベネディクト・カンバーバッチより良かった

ってわけーー???? いんや、そんなことはないじゃろがっ!!



観ながら、己の子育て奮闘史との勝手な比較によるひがみと妄想が暴走。映画本筋とは

かなりハズレてます。本筋の感想はこれといってないなあ。スミマセン・・・。




















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イミテーション・ゲーム / The Imitation Game



シネマフロンティアにて。

観終わって混雑しているビルを出て、陽の光に当たって外の空気を吸い上げての第一声

「 面白かった! 素晴らしかった!!! 」

あまりの感動でそれ以上の言葉が思いつかないくらい興奮しておりました。

驚きに満ち満ちた作品です。

その後の人類の暮らしを、歴史を塗り替えた、といっても過言ではない功績が50年以

上も英国政府の極秘として闇の中にあったことに驚き、初めて知るアラン・チューリン

グという天才の存在に驚き、映画的に描かれているとはいえ彼の運命、そしてその人生

の光と影と、演じたベネディクト・カンバーバッチの入魂の演技の見事さに驚き、幾重

にも層を成すドラマ構成の見事さに驚き ・・・・・。


1951年、ケンブリッジ大学の教授であったアラン・チューリングの自宅に泥棒が入

り、捜査にあたった刑事が被害者であるチューリングの不可解な対応に違和感を感じ、取

り調べを始める場面から始まります。

平凡な刑事ではありましたが、彼の刑事的な直感は正解だったのです。

俺たちは何か物凄い秘密と直面している。

それは、信じられないほど巨大な ” 秘密 ” でした、また、息が止まるほど切ない

大切な愛の思い出でした。

チューリングは、取調室で核心に迫ろうとする刑事と対峙しながら、唐突に彼の人工頭

脳の研究論文の中の 「 イミテーションゲーム 」 についての説明をはじめます。

そして、透き通るような瞳で遠くを見ながら問うのです、


「 私は犯罪者か?それとも英雄か? 」 と。


この独白ともつかない言葉の意味すること。つまり平凡な私たちの代表である一刑事が

感じ取ったほんの微かな違和感の正体を明かすチューリングの回想が始まり、驚愕の事

実に基づく物語が明かされるのです。

何といってもベネディクト・カンバーバッチです。

解読不可能とされ、誰も着手できなかったドイツ海軍の暗号機「 エニグマ・ENIGMA

( ミステリアスな・難解な・なぞなぞ・パズリング・パラドックス という意味の英

単語 )」の解読に持てる天才を全て注ぎ込んでゆく自信と情熱、決意と確信、突出し

た頭脳の日常性の不安定さ、奇人的な過多エネルギーと複雑さ。

アラン・チューリングという天才数学者の休むことのない心と、秘密を背負いながら生

きざるを得なかった運命の掟の残酷さと哀しみを演じて、唯ただもう、素晴らしい。

私は久しぶりに、震えるほど感動しました。

そして、少年時代のアラン役の男の子、彼がカンバーバッチに並ぶ素晴らしさ!!!

あの複雑で深い深い目の演技は特筆ものです。



★★★★★の1本、是非。

















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