私の愛聴盤

長きにわたり くり返しくり返し聴いて、

飽きるどころか 聴くたびに新しく、しみじみと心に響く。

そんな ” 愛聴盤 ” を 皆さんも きっといくつもお持ちですよね。

私の愛聴盤のひとつ、

それは、

『 DUKE ELLINGTON & JOHN COLTRANE 』 です。



デューク・エリントン と ジョン・コルトレーン、

ジャズはジャズでも この2人は 世代も違うし、その創りだす音楽世界も

全く違う。

普通にしていたら 接点がない2人の巨人の、

これは ちょっと ありえない顔合わせなのです。

そんな 幸せなセッション、1962年 9月26日にレコーディングされました。

レーベルは IMPULSE( インパルス )です。



なんといっても ” 渋い! ”。

聴いての感想は この一言につきます。

エリントンもコルトレーンも はしゃぎすぎず、華やかすぎず、でしゃばりすぎず・・・

かといって お互いに立てあって、自分を控えて、というのではなく。

抑えた演奏、そう、そんな感じ。

でも 楽で自然なんです。

ですが、エリントンのピアノの音 一粒一粒に 汲めども尽きせぬ豊かさが、

コルトレーンのサックスの ちいさなフレーズの一つ一つに 超絶技巧が、

惜しげもなく そして ” 渋く ” 込められている。

なんというか・・・音に その人生があらわれる・・・・・それを実感させてくれる、

というかんじでしょうか。



1曲目の 「 IN A SENTIMENTAL MOOD 」から 聴く者は 違う世界につれていかれ、

変化に富んだ選曲を味わっているうちに、くよくよした気分も 不機嫌も

気づいたら 消えているのです。



豪快に吹きまくっている 熱いJAZZもいいし、

ピアノ・ベース・ドラムスの 落ち着いたトリオ演奏のJAZZもいい。

ビッグバンドの ノリノリの楽しいのも またよろし。

そして この1枚は、自分のすべてを音楽に捧げた2人の男が残してくれた、

香り高い JAZZのエッセンスそのもの です。



これからも ずーっと 私の ” 愛聴盤 ” 、ですね、きっと。































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ユナイテッド93



11月の2本目はこれです、『 ユナイテッド93 』。

人が 自分の死を確信して 最期に口にする言葉が

「 愛している 」。

家族に、妻に、夫に、恋人に伝える 本当に 最期の言葉・・・・・。

このことを確認できた素晴らしい作品でした。

同時に 人間の持つ 極限状態における勇気の偉大さも。



オープニングのシーンから 美しい映像です。

ハイジャック犯たちの 犯行直前の 祈りのシーン。

清らかですらあります。

彼らは 巨大な権力や資本に使われ 踊らされている 洗脳された” 駒 " の

1つ1つにしかすぎませんが、でも この若者達は アラーの神への絶対の服従を

行動で示したのです。

悲しい。

悲しすぎます。

西洋文明 と イスラム文明、これからも 相容れないものなのでしょうか。




ありきたりの いつもの朝が その後の全世界を変えてしまった 悪夢の朝になって

5年がたちます。

そのとき私は 今はもうない JAZZCLUBのカウンターで お酒をのんでおりました。

常連のお客さんが この事件のニュースをもってあわてて見せにはいってきました。

その場にいた人たちみんな あまりの内容に ( ツインタワーが崩れ落ちていた )

ただ驚くばかり、興奮するばかり、でした。

あれから 5年。



この映画は 5年たった今、観るべき映画だと思います。

人間の持つ 愛と勇気を 再確認し、信じることができます。

運命と死を受け入れて さらに進んでいかなければならない悲しみを

感じることができます。



泣けました。 

感動の1本、ぜひ観てください。







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プラダを着た悪魔


11月に観た映画、2本です。

11月は いつもの半分( ほぼ1週間に1本くらいのペースなのですが、いつもは )。




まず 『 プラダを着た悪魔 』。

フフフッ、こういう映画って たまに観たくなりませんか?

” 蠍座の田中サン ”風にいうと、「 高度な知的緊張感を求められ 」 ない映画。

のんきにシートに座って、コーラとポップコーンを食べながら ・・・ の気分の

楽しいヤツです。 封切りすぐに ファクトリーのユナイテッドシネマにて観ました。



メリル・ストリープの悪魔ぶり、なかなかよかったですよー。

「 that's all 」 ( 以上よ! )。 無理難題の命令をくだしたあと、部下に

対して そういうのです! 「 ええーーっつ!? 」な内容の命令なんだけど

そんな~、ムリです、できましぇーん!! ていう顔で突っ立ている部下をジロッて 

みて、あら あなた まだいたの、ってな感じ。

ファッション界に絶大なる影響力をもつ そんなミランダの下で たくましく美しく

成長してゆくアンディ ( アン・ハサウエイ )の物語。



一流ブランドの洋服やら 靴やら バッグやらが わんさか登場、これも楽しい。

ゴージャスです。 ( ただし 私は その半分位しか知らないけど。 )

まあ 映画ですから 少々過剰に描かれているのでしょうが、

現実のファッション業界って こんなかんじなのでしょうねえ。



物語のクライマックスのあと、主人公アンディが自らの道を選びます。

彼女は 大学を卒業して すぐ の年齢ですから 22~24歳、

もし自分が アンディの立場だったら・・・・・ うーん、どうしただろう。

きっと 調子にのって 悪魔に魂を売っちゃっていたかも・・・・・。

なんてしっかりした女の子なの! と ちょっぴり感心して エンドクレジットを

観終えて 夕暮れの街に出てきたのでした。

気分転換に とてもオススメな1本でしたよ。



追伸

「 一流ファッション誌 ”RANWAY ”のカリスマ編集長 」であるミランダ

のメリル・ストリープが どうみても オバサンファッションにしか見えないのは

私だけでしょーか???






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ロレンス・ダレル、 そして、アレキサンドリアカルテット

次は なにを読もうかなあ

・・・・・と、ふと目に止まったので、なにげなしに読み始めた本でした。

そして あまりのおもしろさに 夢中になり、

あまりの 描写の、選ばれた言葉の美しさに 酔い、

登場人物達の 特異な存在感に魅了され ・・・・・ 。



舞台は 50~60年代の エジプトのアレキサンドリアという街で、

カイロに次ぐ第2の大都市です。

このアレキサンドリアを舞台に描かれた4部作が「 アレキサンドリア カルテット 」。

河出書房刊の 世界文学全集 Ⅱ-25 の ダレル の巻には そのうちの2作の

『 ジュスティーヌ 』 と 『 マウントオリーブ 』 が収まっています。




イスラム圏のエキゾティックな薫りと アラブ文化の濃厚さ 猥雑さ そして

西洋の洗練とが、 織りあわされた豪華な絨毯のように、 もしくは

万華鏡のように 物語が展開されてゆくのです。



ちなみに、

第1部 『 ジュスティーヌ 』。

ジュスティーヌ は さまざまな恋愛をへてきた激しいユダヤ女。

いまはネシムの妻。 ( ネシム : 冷静辣腕の少壮実業家。しかし内気でやさしい夫

でもある。 コプト人。 )


第2部 『 バルタザール 』 。

バルタザールは 中世の神秘説を研究するユダヤ人の医者。愛欲を皮肉に観察する

男色者。


第3部 『 マウントオリーブ 』 。

マウントオリーブは イギリスの駐エジプト大使。 ( レイラ : ネシムたちの母。

マウントオリーブの愛人 )


第4部 『 クレア 』 。

クレアは 聡明でやさしい金髪美人の女流画家。



この4つの物語は 互いに関連しあっていて 同じ事件を それぞれの側から解き明かし

て、” ああ、そういうことだったのね・・・ ”となったり、

” でもやっぱり 謎めいている・・・ ” だったり、4作に共通する癖のある脇役達

もからまって 複雑な魅力を発しています。 


そのうちの2作を たまたま読んじゃって、もうたまらなくあと残りの2作を読み通し

たいっ!!! しかも 常識的な価格で手に入れて!

・・・ というのは、 このロレンス・ダレルという人の作品って 今やとても

手に入りにくいようなんです。 インターネットで調べたところ、

『 バルタザール 』 が なんと 7000yen !!

うーむ。 

考える余地なく これは却下。

絶版になって久しい この傑作 ( 私にとって ) 、復刊を望みますが、無理っぽい。

古本屋めぐりにて ” 遇然 ” めぐりあって、 しかも 1000yen以内で買いたい

のです。 いくら古くて 今は入手困難、っていったって、ねえ、所詮古本。

どうかしらん。 

探している本があるって 古本屋めぐりにも期待がまして 結構幸せですが

今回は どうかしらん。 長丁場になりそうな予感です。



河出書房刊の このダレルは 105yen でした。

本との巡り合いというのも 不思議なものですね。


 





    

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