出逢いの時

出逢いには 二通りありますね。

いきなり、なんの前触れもなしに出逢ってしまい、 そして恋におちる。

ずーっと知ってはいたけれど、ある瞬間相手を初めて認識し、そして恋におちる。

この二つ、です。

今回の私の場合は後者です。

お相手は、アメリカ人。

スタン・ゲッツ というサキソフォニスト ・・・・・。



3日前のこと。

ちょうど お日様が沈み始めた頃でした。

大島 弓子風にいうと ” 魔の時間 ”。

私は ソファの横と 台の上の 二箇所のランプの明かりを点けて キャンドルをつけて

リビングルームを私好みの「 間接照明の間 」 に仕立て、

息子におっぱいを与え終え、さあ、7時のラジオニュースまでどうしようかなあ

CDでも聴いちゃおうかなあ・・・( そうそう!CDラジカセ買ったのー!! )と、

何気無しに 手前にあったスタン・ゲッツの1954年のライブ盤をセット。

満腹になって私の膝の上でくつろぐ( ? )息子のよだれを拭きつつ聴き始めました。

何度か聴いていたはずのそのCDは その時初めて私の耳に流れ込んできたのです。

手足をパタパタさせて遊んでいる息子が落ちないよう腕で抱えるようにしていっしょに

あやしていつつ、心と耳は スタン・ゲッツの奏でる音、そして歌うフレーズの只中へ。

そのCDはもちろんスタン・ゲッツの演奏は今まで何十回も聴いていた。

素晴らしい! と 何度も拍手していた。

けれど、その夕暮れ、初めて本当に スタン・ゲッツというプレイヤーに出逢って

そして彼の音楽を感じたのです。

” わかる ” とでもいうのでしょうか。

そう、そうですね、スタン・ゲッツの音楽が文字通り ” わかった ” んです。

彼のテナーサックスがどんなに歌っているかが。

彼のフレーズがどんなに軽やかに駆け上るかが。

何でもない演奏。 奇を衒わず、正当に吹いて、それでいて凄みがあり、心に沁みる。

暮れなずむ部屋で、ぼわんとした静かな灯りのなかで、赤ん坊と二人きりで。

ニュースを聞くのをパスして 深くスウィートなゲッツのJAZZを。

ぐーっと内臓の深いところまで染み渡らせて。

ちょっと至福の一時、でした。

CD一枚を聴き終え、この魔法のかかったような素敵なひとときに浸って・・・・・。



そして、一息つき、

よしっ!っと 息子をベッドに戻し、

台所仕事に、私も戻りました。


ああ。 本当に素晴らしい時だった!

素晴らしい出逢いの時だった!    

 



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すいか たべた

スイカを食べない夏なんて 夏じゃない、

とは思っていました。 私も。



子供のころから、夏のお楽しみの一つは 大きな丸ごとのスイカ。

選ばれた、きっと甘いはずの、まん丸スイカが用意されていて、

そして、みんなで遊んで騒いで、心の中で「 まだかなあ 」 と気になっていて、

「 まだかなあ 」 があと2回くらい浮かんで、そうして、絶妙のタイミングで

母からの「 スイカ切ったよ~食べなさ―い 」との号令のもと、

「 わーい!! 待ってたよー! 」とばかりに子供達、大人達、みんなしてガブリ。

種をぺっ、ぺっと飛ばしたり、早食い競争してみたり、限界に挑戦とばかりに

きりぎりすになって皮すれすれまで食べ尽くしたり、塩をかけてみたり ・・・・・。

真夏にスイカを食べる、という行事が楽しかったのですねえ。

スイカって、だから みんなして 元気よく 勢いよくたべるもので、

そのスピード感のせいで あんまりちゃんと ” スイカ ” というくだものについては

感じたこと、なかったのです。

それでも スイカはスイカ、ですから なんの不満はなかったのです。



で、時は流れて ・・・・・。



2007年になり、私はベビーカーを押す身になっていて、

その日も 暑い昼下がりに 用事をようやく済ませての帰り道。

かんかん照りにベビーカーのひさしを下げおろしつつ ハンドルを押して黙々と

歩いてました。 暑ーい! のどが渇いたー!、と。

そして 頭の中は きのう買ってきて冷蔵庫で冷えている すいか のことでいっぱい。

すいか・すいか・すいか。

スイカ・スイカ・スイカ。

ようやく家にたどりつき、寝てしまった息子をそうっとベッドに運び、

手を洗って なぜかきょろきょろ右左誰もいないのを確認して、

静かに冷蔵庫を開けて。

六分の一切れをお皿の上へ。

ラップをとって。

スプーンでざくっと大きくひとすくい。



パクリッ シャブリッ ショリリ。

はーーー っ。

おいしいーーー。



半分食べたところでは もう汗がひいていて、

口中冷たく甘いスイカ水で満たされ 洗われて。

いやーびっくりしました。

スイカって こんなに美味しかったっけ。

全部食べきるころには 後味もひんやりとしてすっきりとしたスイカ味。

スイカの後味って こんなにきれいだったっけ。



西日前の翳った部屋にて たった一人で食べた 一切れのスイカ。

まさに 私が初めてスイカとしっかりと通じた瞬間でした!

スイカって こんなフルーツ! だったんだー。 

以来、” 昼間に静かに食べるのが 大人の正しいスイカの食し方 ”、などと。



そんなことで。

ことしは 私の ” スイカ ルネッサンス年 ” になりました。

それにしましても、” スイカ ”という呼び名、どこから来たのでしょうねえ。

漢字では ” 西瓜 ”ですしねえ。

英語では ” WATERMELON " でしょ。

でも まさにピッタリだな、 ス・イ・カ 。 
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暑中お見舞い 申し上げます

今日は 少し肌寒い水曜日です。

7月。 子供の頃は、夏休みを指折り数えてた時期です。

学校嫌いだった私は 長期休みがもう待ち遠しくて、待ち遠しくて!

いとこ達とのお泊り会、ラジオ体操、絵日記、花火、宿題 ( 少し )・・・・・

えーと、あとは何でしたっけ、、思い返してみると、何てことない夏の日々。

そして 盆踊りが始まる頃には、そろそろ天国の夏休みも終焉が近く、

あとは 重症の新学期病 ( 再スタートした学校生活に馴染めない憂鬱を自分で

このような病名にしたわけです ) に陥って、それでものろのろとなんとかやって・・・

それからずいぶんと歳をとりましたが、” 新学期病 ” は消滅したかわりに

長期休暇もなくなっちゃった。

人生うまくいきません。

長期休暇というものは 人らしい生活には

必要不可欠! の思いは変わらないのにねえ。

今や ” 忙し病 ” にやられている。

あーあ、4週間は休みがとれる ( とれる、どころか ” 義務 ” なのですって! )

フィンランドはいいなあ。 大人で3~4週間、子供はなんと6~8週間も!!。

国民みんな、国をあげて、夏休み!!!

すばらしいですねえ。



子供の頃は 長いお休み中に出すお便り、といえば 年賀状で、

暑中お見舞いをだした記憶はないのですが、

暑中お見舞いの方が 年賀状より ちょっとだけ嬉しいかも。

年賀状よりも儀礼っぽくないから、でしょうか。

暑中お見舞いをきちんと出してくれる、その人に、なんだかとても暮らし上手、

楽しみ上手、そんな印象をもってしまいます。



パスキューでも そろそろ そんな、 季節を楽しむ 上手さん達が立ち寄られて

季節のポストカードをあれこれ選んでいかれる。

間に合ったかな? 2007年の夏カードが揃いました。

オリジナルの写真のカード、福田 元美さんのイラストカード、

KIGOさんの デジタルカード。

お好みのカードを選んで、暑中お見舞いの準備をするところから

私達 ” 忙し病 ” の大人の夏がはじまります。

少しは休みがとれる人も、うーん今年は ( 今年も )ちょっとムリねえ、の人も、

1枚の 夏らしい柄のカードに思いを託して、

熱い夏を無事乗り切れるよう励ましあいましょう!



今年も 猛暑、ときいていますが、いかがかな。









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フラガール

先週の日曜日、蠍座にて観てまいりました、『 フラガール 』 。

シアターKINOでやっていたのを見逃していたので 蠍座でかかるのを

待っていた1本でした。

まさに ” 泣けて笑えて ” の 上出来の作品でした。



思うに 炭鉱閉山ものって ( イギリス映画の 『 ブラス! 』 とか 『 リトル

ダンサー』 とか 『 フルモンティー 』 とか  ) ドラマがたくさん。

一致団結や、 新旧や、 貧乏や、 田舎町、があって、

そして 夢や、仲間、 誇りがあって、

なんやかんやと 感動のフィナーレにつながる要素がたっくさんで、

もう ぐーっと胸が熱くなるんです。

この 『 フラガール 』 も まさに 正統派・炭鉱閉山もの でした。

途中、何度も何度もハンカチで涙をふいて・・・・・。

映画が終わったら ちょっとまぶたがはれぼったくなっておりました。



松雪 泰子の、 東京から呼ばれたプロのフラダンサーが適役!

そして 脇を固める 岸部 一徳、 富司 純子がうまかったし、そうそう、あの

豊川 悦司も自慢のヘアーを ( ちょっとだけ、だけど ) 田舎のにいちゃん風にして

脱・トヨエツ ( ちょっとだけ、だけど ) して頑張ってたし。

もう、ラストは 感動!感動! 圧巻のダンスシーン!!!

うまいっ!です。 この映画。 そして 気持ちよくのせられて、満足できた。



それにしても ほんとうに凄いなあ、と感じるのは、

この「 常磐ハワイアンセンター 」が現在も存続している、ということ。

名称を「 スパリゾートハワイアンズ 」 に変更して、立派に繁盛している!

主人公まどかは 70代になっていて、いまもこの 「 スパリゾートハワイアンズ 」

で、フラダンサーの育成にあたっている、と。

素晴らしいではありませんか!!

かの昔、子供のころに 「 ばらとハワイランド 」 というところに連れて行って

もらった思い出がありますが、今思うと、きっとこの映画の 「 常磐ハワイセンター 」

の成功で 日本各地に ” ハワイ ” が出現していて、北海道のばらとにも出来ちゃっ

たんでしょう、そう、その 「 ばらとハワイランド 」 なんて、とっくのとうに

なくなっていますし、、、、、40年の永きにわたっての ” ハワイ ”の維持が

どれほど大変なことか。 オリジナル、発祥の地、というものはかくもしっかりとした

理念をもっているもの、という証拠、でしょうか。



『 スウィングガールズ 』 と同様、『 フラガール 』 でも方言 ( 東北地方の )

がすごく効いていて、笑 & 感動をさらに高めていたことも記しておきます。

誰にも 「 良かったよー!! 観てみて! 」 って伝えたくなる作品でした。






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花嫁

快晴の土曜日。

彼女は ジューンブライドで

光の中に 静かに 静かに 佇んでいた、その一瞬だけ。

光と溶け合うかのように。

眩しい外の光景に なにを見ていたのか

なにを思っていたのか。

真っ直ぐ前を向いている、 その表情は。



すっと伸びた背筋をたどってゆくと、

すっきりと結い上げた襟足、

そして一輪の薔薇の髪飾り・・・・・。

その、光の国の扉をあけて、すーっと光と同化して、溶けていってしまいそう。



写真は不思議だ。

本人が自覚しているよりずっとずっと表われてしまう。

年齢以上に大人であること。

とてもしっかり屋さんであること。

意志が強いこと。

そして、 とても 美しいこと。



カラー写真、デジタル写真全盛の今、

人生の華、花嫁姿を、 

白黒のフィルムで、

6X6の中盤カメラで、撮りました。

1枚ずつ 丁寧にプリントし、

2007年 6月5日の昼下がりの、

彼女のいた瞬間を 永遠に、その中に 封じ込めて。



撮影者は 彼女の叔父、大関 智也。

数ある彼のポートレイト作品の中の

傑作の一つ、だと思う。


改めて、

恵子ちゃん オメデトウ!

さらにしあわせになってね。













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