出合いました。






この3月に、私は、ドボルザークの室内楽に出会いました。

日が傾いてくる少し前からレコードに針を落とします。

連続して聴いています。



弦楽5重奏曲Aマイナー, OP.1

ヴァイオリン・チェロ・ピアノ3重奏曲Gマイナー, OP.26

弦楽6重奏曲Aメジャー, OP. 48

ヴァイオリン・チェロ・ピアノ3重奏曲Fマイナー, op.65 ( Beginning )

ヴァイオリン・チェロ・ピアノ3重奏曲Fマイナー, op.65 ( Concluded )

2つのワルツ, op.97

弦楽5重奏曲Eフラットメジャー, op.97 ( Beginning )

弦楽5重奏曲Eフラットメジャー, op.97 ( Concluded )



以上が3枚のレコードに収められていて、アメリカの VOX という廉価版中心のレーヴェル

の、ドボルザークのチェンバーミュージックボックスセットの中のヴォリュームⅤ。

素晴らしい。

うっとりです。

どうやら、私は、スラブ圏の、暗鬱でウェットで、哀愁たっぷりの情緒が好みのようです。

写真家も、ブラッサイ、スデック、ケルテスが大好き・・・・・。






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生きた矢







あなたの子どもは




        カーリル・ギブラン

            霜田静夫訳



あなたの子どもはあなたの子どもではない。

子どもは 「 生命 」 の渇望からの子どもである。

子どもはあなたを通ってくる。

しかしあなたからではない。

子どもはあなたと共にある。

しかし子どもはあなたのものではない。



あなたは子どもに愛を与えることができる。

しかし考えを与えることはできない。

子どもは自分の考えをもっているのだから。

あなたは子どもの体を動かしてやれる。

しかし子どもの心は動かせない。



子どもは明日の家に生きている。

あなたはそれを訪ねることも、夢みることもできない。

あなたは子どもを好くようになれるであろう。

けれども子どもがあなたを好くようにならせようとはしなさるな。

人生は後に退き昨日にとどまるものではないのだから。



あなたは弓である。

そしてあなたの子どもらは

生きた矢としてあなたの手から放たれる。



弓ひくあなたの手にこそ喜びあれと。







今日は、息子の通う保育園の、卒園式の日。

いつもはジャージとエプロンの先生方も、今日は全員スーツ姿で、

卒園児の旅立ちをお祝いです。

おめでとう、 おめでとう、 いつまでも、 好きだよ、 青バッチさん、ありがとう。

お父さんお母さん方も、正装で、控え室での思いはどんなでしょうか・・・・・。

私までが、なんだか胸熱くなります。



どんどん伸びていってしまう 子どもたち!

誰にも止められない。

それならば、

さあ、どんなに遠くまででも飛んでおいき、と、

せいぜい、力の限り、弓ひく母さんでありたい、そう決心するのです。





















        




          

             









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おたすけこびと






去年の12月のある月曜日、

私と息子は、駅前の紀伊国屋書店の2階の、お日様の光のたっぷり入る

絵本コーナーにおりました。

棚からこの本を見つけたのは息子の方でした。

どれどれ、と、2人で開いてみた瞬間、2人ともに 「 おっ! 」 。

息子が一瞬早く 「 まーちゃん、この本 ” くださいな ” して!! 」

そして、即続いて私が、「 よし!今日はコレだね! 」

あとはろくすっぽ中身は見ないで、レジに直行。

家に着いて、改めてとくと眺め、我らの勘が大当たりだったことを確信。

『 おたすけこびと 』 は、全く新しい ” はたらくクルマ ” の絵本でした。

続々と登場し、目を見張る大活躍をする超大型重量車両がすごい!!

パワーショベルでしょー、ホイールローダーでしょー、

コンクリートミキサー車にコンクリートポンプ車、ブルドーザーにオフロードダンプトラッ

クでしょー、高所作業車にクレーン車、ウィングトラック、そして、何と!

ヘリコプターまでも!!!

私でさえわくわくしちゃう、工事現場のスター選手達が続々と登場。

そして、これらを見事操縦するのは、なななんと、

それはカワイイこびと達なんですよ!

彼らが巨大な特殊車両を使って、一体何をするのか?

これがまた驚きの楽しさ!!!

何と、お誕生ケーキを焼くのです!


ある日、おたすけこびとの事務所 ( ? ) に1本の電話が入ります。

「 はい、しょうちしました 」 ノートをひろげ、にこやかに応対するこびとさん。

さあ、しごとだ!

わあーーーっと、いっせいに駆け出してきたこびと達、そして重量車両軍団。

依頼の仕事現場は、キッチン。

ホイールローダーが掬い上げた小麦粉をダンプトラックが積んで、ボウルにザザーッ。

巨大クレーンで卵を吊り上げ、パワーショベルががっぷりとくわえた卵の殻を、

先端突起の振動ブレイカーで 「 トトトト パリン! 」 と割ってボウルの中に落とす。

巨大 ( こびとにとっては、ですが )かき混ぜ器を取り付けたショベルカー2台が、

グルングルンと混ぜ合わせ、そして、消防の特殊化学車が、混ぜあがったスポンジ種を

ホースで焼き型に流し込む。

型をオーブンに入れて、スタートボタンを押したら、さあ、ひとやすみ。

ここでのこびと達のコーヒーブレイクも楽しいよー!!

移動ドリンク車がちゃーんと到着していて、頭巾をきちっとむすんだこびと達が中にいて、

現場のこびと達に飲み物を渡すんです。

みんなかわいいヘルメットを脱いで、

それぞれ飲み物をおいしそうに飲んでいたり、ギターを弾いて歌っていたり、

おしゃべりしていたり、昼寝をしていたりしてるんです。

シポンジ台が焼けたと同時にお仕事再開。

オールテレーンクレーン2台で型から外し、次に登場するはコンクリートミキサー車と

コンクリートポンプ車だー。

ミキサー車で作られていたのは、ホイップクリーム!!!

それをポンプ車がじゅわわわわあーーーっと焼けたスポンジ台の表面に流しだし、

スクレーパーを装備したショベルカーが平らに伸ばす。

ポンプ車は引き続きポイップクリームをデコレーションし、ショベルカーは、届いた苺を

飾りつけ ( こびと2人でのこぎりを引いて苺のヘタをとってるのー!! )。

そしてハイライト、

” ババババババババ ” ヘリコプターがロープで吊って、空中搬入してきたものは、

「 おたんじょうび おめでとう 」 のクッキープレートだーっ!!!

真ん中に無事セットして、さあ ” できあがり ” 。

そして ・・・・・・ 。



この絵本の新しさ、楽しさは、一体どこからきているのだろう?



超重量特殊車両  vs  かわいいこびと達

工事現場  vs  ファンタジー

精巧な車両メカニックのイラスト  vs  ふんわりスイーツ



という、意外性溢れる設定のおもしろさに まず、わくわくさせられます。

そして、絵本全体の濁りのなさもとてもいい。

なんといっても、この本、空間の ” 白 ” が効いているのです。

その結果、車両の「 コマツ 」 イエロー、こびと達の衣服の赤・青・黄色・緑が、

クリアーで明るい世界を表現し、

ちょっと震える味のある線で細部まで書き込まれたイラストが、温かさを感じさせ、同時に

マニアックな興味の扉をも開いている。

大勢のこびと達のなかから、様々なポーズをするこびとをいくつも見つけたり ( ころび

こびと、旗振りこびと、お掃除こびと、e.t.c. e.t.c. ・・・・ )、各車両のメカや

機能を観察したり。

そして、極めつけは、こびと達の、スピード感のある仕事振り、ですね。

その、見事な段取り、鮮やかな手際。

あんなカワイイお顔と体で、まーあまあ、驚くべき仕事人集団なのです、彼らは。


以上のような考察 ( おとな読みはいやだネー、全く ) が、まあ、この本の魅力の理由

のほんの一部、ではありましょう。



作者 なかがわ ちひろ氏も、イラストの コヨセ ジュンジ氏も、

私は全く存じ上げないお二人でしたが、このような作品に出会うと、うーん、やられたな

あ、と感じずにはいられません。

1冊の絵本の全ての要素について、最高レベルで表現することに成功していて、

しかも、ユーモアがあり、そして、かわいい、のです。


男のおとなも、女のおとなも、男のこどもも、女のこどもも、みんなをワクワクさせて

くれるこびとさんの次なる依頼主は、どうやら、サンタクロースらしい。

シリーズ2冊目、『 おたすけこびとのクリスマス 』、

今年の暮れは、迷わず、

「 これ、くださいな!! 」 で、レジ直行だー!!


























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みんなの みんなの ジョア






定休日明けの火曜日から金曜日までの4日間、

ここ、中央区は南1の西6・東急ハンズ界隈を営業しているヤクルトレディー、

通称 「 ヤクルトのおばさん 」 から 1本買ってます。

おばさんの動くお店である手押し車の小さな冷蔵ボックスには、いつも程よく冷えた、

いろいろなヤクルト製品が詰まっています。

そのなかから、私は、『 ジョア 』 。

もう、かれこれ8~9年になっちやうんだなあ、やれやれ。

味は、つい1年前くらいまでは、レモン味一辺倒でした。

全種類試したわけじゃあないけれど、私にはレモン味が一番おいしいっってことが

わかっていたからです。

ところが、原材料であるレモン、そして、オレンジ味のもとのオレンジの価格高騰により

この2つの味のジョアに関しては、定価95円を維持することができなくなったそうで、

なんと、レモン&オレンジの2つの柑橘味は廃盤になってしまいました。

ええーーん、えーん。

その悲しい報告を、すまなそうにしてくれたヤクルトのおばさんは、なーんにも悪くはない

のに、私ったら、一瞬は、

「 もう結構ながく買い続けたし、私のレモン味がなくなるのなら、いっそこの辺で

一区切りにして、もうやめよっかなー 」 などという思いが頭をよぎりもしたのですが、

翌日、おばさんが、

「 レモン味は、今月でおしまいなんだけどね、新しく、白ぶどう味が登場するんで、

どうでしょう? レモン味がないならもうやめる、ってお客さんが4人もいて・・・・

おばさん、悲しくって・・・・ 」 と、恐る恐る上目遣いに私を伺うのでした。

「 ( まさか、アンタまでやめたりしないよね・・・ ) 」 っていう目。

おちょうしもののアタシは、

「 もちろん、やめたりなんか・・・しませんです・・ハイ。 白ぶどう味かあー、楽しみ

ですねー 」 なんちゃって。

というわけで、現在に至り、白ぶどう味できているのでした。

まあ、週4回、つまり、4本程度だし、腸にとってもよい飲み物なわけであるしな。

平月はそういうペースなのですが、敵もさるもの、年末・ゴールデンウィーク・お盆休み

の連休には、決まってセット販売の営業があり、だいたい1000円くらいの、ちょっぴり

お徳なまとめ買いを勧めてくるんですな。

でもって、お人よしの断り下手なアタクシは、おばさんから、例の上目遣い気味でもって

各セット内容を印刷したチラシを手渡され、

「 あー、じゃあ、この 『 おなかニコニコセット 』 にします。 」と、つい言っちゃう。

「 お届けは、いつにしましょ? 」

「 えーと、じゃあ、〇日の金曜にお願いします・・・・ 」

そして、おばさんは、にっこにこ、深く頭を下げてくれて、「 毎度あり~!! 」と。

そうはいっても、

店に1本届けてくれるヤクルトレディーおばさん ( 私もおばさんだけれども ) に、

95円をお渡ししながらの、ちょっとした会話って、

季節の移り変わりに沿っていて、 やれ、風邪が治らん、やれこの暑さは一体どうだ、

やれ息子に一度会いたいわあ、だのと、お互いに言いやっこ。

本当に、何気ない、さもない会話なのですが、社会人としての自分の一角を作ってくれてい

るなあと、そう思うようになりました。


最近、息子もこの ” 飲むヨーグルト ”系のものが大好物になっちゃってまして、

「 チューチュー ( ストローでちゅーちゅー吸って飲むから )飲むー!!! 」と

私が持ち帰り、冷蔵庫に入れておくジョアを大喜びで、それはそれは幸せそうに、

ちゅーちゅーします。

彼がいちご味が好きなので、たまにはいちご味を購入するのですが、

先日、定時に登場したおばさんに、

「 今日はいちごがいいんですが・・・・ 」 と、変更を申し入れたところ、

「 えっ! あっ!!っと、    ちょっと待って! ないかも・・・ 」 と、あわてて

ボックスを開けてみたところ、1本残ってたー!! おばさん、ほーっ。

「 いやねえ、今朝ねえ、おばさん、いちご味20本仕入れてきたんだけど、

ホラ、今日はお雛様でしょー、あっという間に売れちゃったのよお 。」 と。

へえー、お雛祭ということで、「 今日はピンク色のジョアにしちゃおっ! 」っていう訳

かあー。 女子ってカワユイなあ。

「 そうそう、今日はお雛祭でしたね。うふふ、そうだった! 」

「 そうなのよー、 じゃあ、ありがとうございましたー。 」


というような感じで1日がスタートする、私のウィークデイなのです。

ジョアがなくなったら、体の調子が崩れちまうってことは全くなく、なんで買っているのか

よくはわからないのですが、たぶん、商品1本1本を手渡しされることによる、この、

ヤクルトレディーとの情、

みたいなもんだわねえ・・・・・、たぶん。



















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