雨 と 洗濯 と さぶちゃん と





その朝、私は目覚めた時からすでに くたびれていた。

前日の休日、 起きている時間の全てを、チカラ ( 息子: 2歳7ヶ月 ) の世話

で終わったようなものだったから。

いやいや、夜中の1時と3時にも起こされたから、寝ている時間も、だ。

” 魔の二歳児 ” とは、まさに今この時期!!

全てに 「 ノー! 」 「 いやいやっ!! 」 。

休日は、家族3人で街にでるのだが、玄関を出るまでにすでにすったもんだと

おちびと格闘。 私は体力の40%を使ってしまっていた。

なんとか出発できたはいいけど、次は、抱っことおんぶ攻撃。

結局、出発して、帰宅するまでの8割がた 抱っこ&おんぶだった!

しかも、父さん抱っこでは 「 だめ! いや! 」 とのたまうのだもの、

駅前の紀伊国屋書店に着いた頃には、私の体力、さらに45%消耗。

帰りの道のりを考えるだけで、残りの体力15%では全く足りないのは、火を見る

より明らかで、後は気力しか残っていないけど、

「 どーかなー? 」「 むじゅかしいなあー 」( 2歳児語 ) だよ、全く。

帰り道はじゃあ、タクシーに乗りましょう、と、ちょっとホッとしようとしたとこ

ろ、なななんとっ!! 「 いやだっ のりたくないっ!! 」

あぜんとして、しばし放心の後、運転手さんにあやまって下車。

暴れる息子を歩道に放置して帰りたくなった一瞬でした。 ため息。

そして明けた翌朝。

ギシギシいう腰をさすりながら 息子を保育園につれていって、

夫が歯医者さんへ、と、早くに出発してしまうと、

かなり かなり 久しぶりの、たった1人きり状態ではありませんか。

朝からどんよりと曇り空、そして、ポツポツと雨が降ってきた。

さあ、朝の食器洗いに お弁当つめ、そして 洗濯だー、わっせわっせ。

こんな静かなひと時を、ゆったりとお茶でも飲みながら味わえたなら、それも

いい。 でも、外の雨を気にしながら、大車輪で家事 ( 基本最低限 ) を

こなさなければならぬ、というのも、それはそれで、いい。

一人っきりなんだもん、だって。 

短時間でも、” 孤独 ” というのは、かなりの癒し、魂のクリーニング。

洗濯機を回し始めたとき、ふと、実家から借りてきたCDを聴いてみたくなった。

今回借りてきたのは、ふふふ。


スティング    NOTHING LIKE THE SUN

ニーナ・シモン  ソウルの世界 ~ ニーナとピアノ

菅原洋一     菅原洋一全曲集 1

見砂直照と東京キューバンボーイズ ラストコンサート

決定版!民謡全曲集 <上>

北島三郎     オリジナルベスト12


我ながら すごいセレクトである。 また、これら6枚が平然と並んでいる

わたしの実家の無節操ぶりにも驚きだ。菅原さん以下4枚は、

一体私、いつ聴くの? と、自問しつつも、なんとなく心惹かれて借りてきちゃっ

たのでしたが、思いがけず、案外早く、その時がやって来た!

そして、CDラジカセに1枚セット。

スタートボタン ON。



♪ 正しい者が 勝たいでなるか

  それがこの世の 真理じゃないか ♪


さぶちゃんのはりはりしつつも暖かで、おおらかな歌声がびびーん!と流れ始め、

部屋の空気は、一気に活気付いた。


『 男の劇場 』 『 まつり 』 『 風雪ながれ旅 』 『 なみだ船 』

『 函館の女 』 『 仁義 』 『 与作 』 『 兄弟仁義 』 『 歩 』

『 関東流れ唄 』 『 終着駅は始発駅 』 『 帰ろかな 』
 

と、全12曲を聴き終えた時、ほぼ仕事もかたずき、後は洗濯物を干して、

身支度整えて、いざ出勤、というところまで漕ぎつけて、迷うことなく、再度スタ

ートボタンを押す。

はあ~っ!!!  いいねえ~っ!!

いよっ!! さぶちゃんっ!! 男だねえ~っ!!!!

もう、最高でした、北島三郎。

昭和を歌い、上京した仲間を歌い、将棋指し、じょんがら弾き、やくざ、やん衆

そして、きこりになり、さぶちゃんと共に男ロマンの心意気に熱くなり。

玄関を出て、ドアの鍵を閉めたころには、すっかり昨日からの心身のモヤも晴れ、

その日のテーマソングは、『 函館の女 』 であったのは言うまでもない。

なんとスカッとしたことか!!

小雨降る中、私は足取りも、心も軽く、改めて、音楽のもつ力の素晴らしさに

驚くのでした。

ああ、さぶちゃん、ありがとう!!





 





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NAKED CITY



私は、日本から出たことがありません。

なので、外国の街を実際には知らない。 

でも、なんとなくそれぞれの国や街のイメージを持っていて、

「 パリっぽい 」 とか、「 イギリスらしいな 」 とか、「 ロシアの貧しい

農家のテーブル風 ( 通じる相手にしか言わないホメ言葉です ) だね。」 とか

言ったり思ったりを日常的にしているわけです。

そのイメージは、古くは、子供の頃の絵本やお話の挿絵から、少し成長してからは

絵画や小説、そして、二十歳の前後から今までには、写真集と映画、雑誌などから

少しずつ紡いで織ってきたものでしょう。

初期の頃のパスキューアイランドでは、写真集をたくさん扱っていました。

写真の歴史上の重要なフォトグラファー達の名前とその代表作は

ほとんどその時期に覚え、商品であるところの入荷したての写真集を夢中で眺めた

日々。フォトグラファーの目と共に、世界中を旅をしたともいえるような、

そして、変わり続ける無常のこの世の、でも確かにあったその一瞬を、

「 ほら、このとおり 」 と印画紙に焼き付ける、写真という手段の力と美と

残酷さに感動し、驚き続けた、私の成長史のなかでも特別な一時期でした。

特に深く感じ入ったフォトグラファーが何人もいました。 そして、

” 私の ” ニューヨーク シティーのイメージを決定づけたのは、

アンドレアス・ファイニンガー、ベレニス・アボット、ウィージー、そして、

ウィリアム・クラインといったお方達。

中でも、ウィージー。 活躍したのは、1940年代で、殺人現場に誰よりも

速く駆けつけては、大型フラッシュのついたスピードグラフィックでバシャリッ!

「 死体のウィージー 」 と呼ばれた彼 ( 本名は アーサー・フェリグ )の

写真集  『 NAKED CITY ( 裸の街 ) 』 は強烈でした。

死体とおまわりさんと見物人たちの写真はもちろん、酔っ払い、ヤクザ、貧民、

金持ち、フリークス、陽気なゲイ達、レズビアン達、年寄り、デブ、やせ、白人、

黒人、移民達、男達、女達、子供達、恋人達、猫達、犬達、ひよこ達、マリア様、

イエス様、犯罪人、歌手、踊り子、乞食、消防士、自動車、リアカー、バス、

トラック、劇場、場末の酒場、アパート、夜と昼、・・・・・・。

「 これが、わが街、ニューヨークはマンハッタンのホントの姿なんですぜ! 」

そんな写真集。 ざらざらの紙に印刷され、アメリカのペーパーバック仕様の

製本が、ウィージーという人とその写真にぴーったりで、彼がどんなにこの街を

愛しているかを伝えて十分な、最高な1冊です。

猛暑のニューヨーク、夜。

古ぼけたオンボロアパート ( でも、日本人から見るとレンガづくりで窓が縦に

長くてステキで、暖房の鋳物鉄のあのパイプがあって、日本の住宅事情から比べ

たら粗末な部屋ってったってうんと広くてカッコイイ、) の避難階段や裏に面し

たバルコニーにマットを敷いて、きょうだい4人と猫1匹がぎゅうぎゅうに寄り

添って眠っている写真や、だるまさんのようなお腹のおじさんがパンツ一丁で丸く

なって眠りこけている写真 ( 要は、部屋の中が暑すぎるから外にベットをこし

らえて、というスタイル! )や、

猛暑の昼間、消火栓を勝手に開けて、物凄い勢いで噴出する水のシャワーにあたっ

て大人も子どもも ( みんな水着きてるのっ!! ) おおはしゃぎ、の写真に、

この街の ( お金持ちじゃない )人たちって、なんて頭が良くて合理的で楽しく

やっているのかしらー!! 好きだわあ!! っていう、本当にいい写真なの。

この写真集の中の写真は、どれも生っぽくて、おかしみのようなものがにじみ出て

いて、死体ですらコメディっていう様相を呈しているくらいなんだけれど、

( つまり、ウィージーがそういう人だということですね、 ) 長年この街に

住んでいたある日本人男性は、「 この写真集そのもの、ほとんど変わっていなか

った。 」って言ってました。

先週、蠍座で今連続上映しているクラシック名画の中の1本、

『 裸の街 』 を観てきました。

この作品は、現在の刑事モノ映画のスタイルの原型だそうで、確かに、捜査本部

と刑事達の地道な聞き込みや、犯人を追い詰めてゆくクライマックスの迫力は、

捕り物帳の魅力満点のおもしろさでした。

そして、この 『 裸の街 』 の画期的な点は、オールロケで撮ったという事。

セットではなくて、全てマンハッタンで、本物の人と街の中で、エキストラなし

で撮影されたということでしょう。

観ていてすぐに、「 なんか観た事あるシーンだなあ、なんだか嗅いだことのある

匂い・・・・タイトルも同じ・・・・うーむ・・・ 」 と感じ、

「 あの写真集が動いている! 」 と感じ、二重に面白かった映画でした。

その後、調べたところ、やっぱり!!

映画 『 裸の街 』 のタイトルは、1946年にこの映画のプロデューサーの

マーク・ヘリングが、写真集 『 裸の街 』 のタイトルに心惹かれて、

何ヶ月かの交渉を経て、ウィージーから3000ドルで使用権を買ってつけたもの

だったのでした。 さらに。

ウィージーをフィルムのコンサルタント、また、スティルのフォトグラファーと

して迎え入れて撮影した作品だったのです。

やっぱりっ!!

どうりでっ!!

納得しました。 うん。 ウィージーの写真の動画版!

避難階段も、消火栓シャワーも、出店も駅も新聞小僧も、みんな いた!!

カメラが見えないようにして撮影された、本物の街と街の人達だった。

21世紀を迎えて、あの9・11の悲劇を経て、

この街は、どうかなあ。 でも、芯や根っこは、やっぱり同じかなあ。

初めていく外国の街は、ウィージーの愛したこの街だな。

なんとなく、でも、きっぱりと、そう決めているのです、私。






















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ルーミーのこと






一人暮らしをしていた時期、部屋にいる時のほとんどを、

パジャマのズボンで過ごしておりました。

まあ、その時期は、一人なのをいいことに、ホントに気ままで、

無制限に仕事をしていたり、無制限に夜遊びをしていたり、でしたので、

部屋にいる、っていったって、夜中か、午前中の数時間という具合でした。

夏はTシャツとか タンクトップとか 半袖のシャツを、

冬はウールのなんかかんかを上に着て、下は年中パジャマのズボン・・・・・。

当時の私は、パジャマは白、と決めていて、コットン100%もしくは

麻100%のもので、色は白、を何組かで毎日をやってましたね。

日中は、シャツとスラックスに革の靴というスタイルで、と、これまた当時は

そう決めていましたので、部屋に帰ってくるなりぜーんぶ脱ぎ払って、

うんとラクチンな格好になりたい、というのはもうその反動そのものですよね。

その開放感といったら!!

程よくルーミーで、綿のさくさくと、麻のてれてれ、の肌触りのあるパジャマの

ズボンをはいて、狭い部屋で一人っきりを満喫です。

ジャージーも、スウェットパンツも好きじゃなかった。

布帛の感じが好みだったんです。

このような個人的な思い入れがあって、オリジナルのルームパンツを作るに至った

わけなのでした。

大抵の方がはきやすくて、うんとリラックスできて、オシャレ感もあるズボン。

ウエストは、紐調節。 

素材は、綿か麻。 

色と柄は、いろいろで楽しく。

お家に帰り着いて、すぐはきかえられるのなら ( 私の理想! ) それもいいし、

お風呂上りに、とか、子供を寝かしつけてから、でもいい。

貴重なお休み前の時間を、ラクチンなズボンで体も心も開放して過ごせたら・・・

もちろん、寝るときにはいてもいいわけです。

それから、旅行の時も。

宿泊先のお部屋でのリラックスタイムにもうってつけです。

ちょっと欲しいかも・・・と思った方は、パスキューアイランドへどうぞ。

その時その時で、いろんな色と柄のルームパンツを展開しています。

ぜひ見にいらしてください。

ちなみに内輪では、このルームパンツのことを、「 ルーミー 」 と呼んでいま

す。 ” 大きさに余裕がある = Roomy ( ルーミー ) ” をひっかけて

そういう愛称になりました。

先ほどの一人暮らし時代の私のパジャマは、当然ですが、上と下の下のみが

ずいぶんと早くくたびれてしまいましたので、もしもその時期にこのルーミーが

売っていたならば、即購入、でありましたろうに。





パスキューアイランド オリジナル ルームパンツ

サイズは 1・2・3 ( 1はSサイズ、2はM、3はL です )

4200円より

















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私のお鼻は セレブリティ





春先にひいた風邪でした。

1度はほとんど治ったように思っていましたが、なんのなんの。

全然治っていなかった。

のどの痛みが残っているなあ、ごっくんがけっこう辛いかも・・・

そのうち、咳が出始めて、背中の表面にひりひりとした薄皮みたいなのが

張り付いて、全身が張っってきて、ああ~、またしても、風邪の中にドボン。

こんなに、冷えに対して心配りして、食事も普通通りちゃんと摂り、

真っ当な生活を心がけておりましたのに、風邪にやられ続けて今日まできました。

3ヶ月は平気で風邪ひき状態!!

いままでの人生でこんなことありえないのです。

長くかかって1週間~10日、それでもそんなのめったになかったよなあ。

頑固に居座る、しかも良くなる気配がまるでない今年の風邪に、ほとほと嫌気が

さし、良くする事が出来ない自分の身体に自信をなくし、

もう2009年は折り返し地点を曲がりました。

よーく考えてみますと、息子の保育園入園以降、新生活の体制づくりで結構

忙しかったし、いまだに夜中に1~2度泣く息子に起こされて、分断された睡眠

だし、5月6月は寒かったし・・・・・と、まあ、

少々グチっぽくなっちゃってますが、身体の疲れが残ったままなのが主な原因

かしら・・・・というところです。

どんなに自分ではちゃんと養生しているつもりでも、風邪をはじめとする病気と

いうものは、罹ってしまうことがあるんだ。

治りずらーい風邪もあるし、治したいけれどままならない時もあるんだ。

今回のこの長患い ( ? ) のおかげで、このようなシンプルな事柄が体で理解

できたのは、本当によかったとおもいました。

だって、そうじゃないと、人間、傲慢になって、エラくなっちゃうもんね。

真の理由っていうのはあるのでしょうが、自分でも、お医者さんにも

すぐにはわからないんだなあ。

そんな、” しょうがない事 ” にたいして、厳しく臨むよりかは、

そんなこともアリだよね、って、優しく見逃すというか、許すというような接し方

ができる事のほうがいいなあ、そう学びました。

なんたって、やぎ座のA型、へんにまじめなとこがあるものですからねえ。

そうそう、それで、長い長い前置きはここまでで、

今回の風邪では、鼻水も膨大な量が出まして( オエッ!! ) 、

そのような症状の為の、特別なティッシュペーパーを買いました。

『 鼻セレブ 』 という奇妙な名前のついた商品がそれです。

「 ダブル保湿 」 & 「 天然由来スクワラン 」 という、それが一体どんなもの

なのかは全くわからなくて、説明もされていない、「 しっとりやわらかな鼻ざわ

り 」 の鼻紙なの。「 さあ、あなたも今日からワンランク上の『 鼻セレブ 』 で

す。 」・・・・・ ふーむ、こんな私だが、鼻だけでもセレブリティになれるの

だったら、よっしゃっ、これ買うたろ!

こうして、1箱ではたりずに、2箱目。

ドラッグストアで、赤札 259円ぽっちなのに、すんごーく贅沢しちゃってる

感覚って一体なんなのでしょうか? 鼻水以外では決して使わないし。

こんなところに正直な生活感覚がでてしまうのですね。

鼻すらセレブ入りは難しいかも。

でも、おかげで、鼻のかみすぎによる赤いヒリヒリは、全くありません。









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