毎週の出来事をお伝えします
電話室便り
Shimmy Books
今年1月のある火曜日、西13丁目にある 『 喫茶 つばらつばら 』 店主の舞さんが
いつものようにふわりと来店されました。つばらさんは、珈琲を中心とした正統派の
喫茶店ですが、素敵な企画展も積極的にやっているのです。
舞さんがお持ちになった2月の企画展のフライヤーをお預かりすることになりました。
タイトルは、
『 シミー書房の本 展 「 冬はウロで、本を 」 』。
シミー書房? 存じ上げないけど ・・・・ 札幌の方達? どんな活動を?
そんな頼りない私に、
「 シミー書房さんは、ご夫婦で本を作っていらっしゃるんです、まさよさんはきっと
好きだと思う。」 と舞さんがその時そう言って、小さな本を見せてくれました。
ぺん画の挿絵とおはなしで、ふくろうが登場します。おおかみも。
「 へぇ、グレーラビットのおはなしにもフクロウが出てきてね、フクロウは肉食でも
あるので、グレーラビット達は、ふくろうに相談事があるときは、白いハンカチを振って
身の安全を確保して・・・・・・・・。 」 そんなことを口走りながらパラリとページ
をめくり、読み始めると、頭のはしっこで 「 んっ? 」 とアンテナに確かな微反応が。
シミー書房のふくろうとおおかみのおはなしは、わかりやすい言葉で綴られた文章なの
だけど大人向けみたいだ、なんとなく私が馴染めるものだ、一瞬間の脳の反応を言葉に
するのは難しいですが、惹かれたのです。
営業中でしたので読みふけるわけにもいかず、一旦舞さんに本を戻しましたが、
それが全ての始まりでした。
2月になって、『 シミー書房の本 展 「 冬はウロで、本を 」 』 がいよいよ始まって、
つばらつばらのカウンターで、 あの時の小さな本を、続きを、改めて読みました。
他の巻も。でも1~2冊読んでもう十分でした。
一瞬間の私のあの時の脳と心の微反応が確かだったことが判ったから。
『 しらくも村にくらして 』
『 マラルメ郵便局 』
『 カゲロウ診療所 』
『 農夫イシコロ 』
『 しらくも村のものがたり 』 は、この4巻があり、茶色・葡萄色・茄子紺・草色の
函にそれぞれ3冊ずつ3つのおはなしが入っています。私が初めて手にした小さな本は、
この中の 『 マラルメ郵便局 』 の中の 「 ウロホテル 」 というおはなしだったのです。
そして、この全12冊の本は、アンカット本、つまりページの天辺と地辺がカットされて
いない綴じ方になっていて、自分でカットしながらページを開いていくのですよ。
なんともいえない喜びと高揚。速やかに全巻買い求めましたとも!
そして、一冊ずつ薄いステンレス定規で ( ペーパーナイフ持ってなかった ) 1ページ
また1ページ切り開きながら読み進むと、当然終わりがやってくるわけで、
もったいなくて読み進みたくない、でももっと読みたいっ、のせめぎ合い。
本当に驚きました。
少しの媚びもないその内容の感度の高さ、物語世界を完璧に伝える挿絵のただならぬ魅力、
こんな幸福なコンビネーションで作られている本、しかもこの札幌で!
読み終わってしまって 「 ほ ・・・ 」 と、
深く長い余韻に、文字通り ” 浸った ” のでした。
近年希なる出会いに、興奮が止みませんでした。
しらくも村には、水辺や丘や、小麦畑や、果樹園や森や草や花、虫の声鳥の声、月の光、
風のそよぎがあり、商店街にパン屋さん、ゴンゾウラ写真館、マラルメ郵便局、雑魚亭、
ズク沼のほとりにはカゲロウ診療所があり。
住人達は、みんなそれぞれの流儀で、それぞれの仕事と暮らしとを営んでいる。
それだけを描いた12話。
ただそれだけなのに、その豊かさ、愉しさ、安らかさ、真っ当さはどうでしょう。
岡部亮氏のペン画が、新明史子氏の紡ぎ出す ” しらくもワールド ” のディーテイルを
まじめにコミカルになんといっても軽やかに描き、私達をしらくも村へと誘います。
郵便局長カザシモ氏とフランス文学を語りながら、氏の淹れるコーヒーの香りに寛ぎたい、
雑魚亭の本日の雑魚の料理と果実酒に舌つづみを打ち、カゲロウ先生のピアノを聴きたい、
まるい月夜にピクニックに行く仲間になりたい、
農夫イシコロ氏の家に、海辺の友からの手紙を配達したい、e.t.c. e.t.c. 、
そう望むのは私だけでしょうか?
ここにあるのは、ただそれだけの、生きる歓びそのものなのです。
ページから匂いまで伝わってくる、作者お二人のそれは見事なクリエイティビティ!!
あぁ、もう長くなってきました。
いくらでも書けるのですから、もうこの辺でやめておくとしましょう。
しらくも村のことを知りたくなった皆様、パスキューアイランドにいらしてください。
この冬、取り扱わせていただくことになりました。幸せです。
「 日々の暮らしのささやかなよろこびになれる本 」
を目指す、とおっしゃるシミー書房 新明 史子 x 岡部 亮 両氏の、素晴らしい装丁
と詩情を、お手にとって見ていただけます。
冬ごもりの贈りものにも、自信を持っておすすめいたします。
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金曜日はパンの日。
吐く息が白い、そして凍える北風に肩をすぼめる季節の到来。
いよいよ冬です、まちがいなく。
紅葉もみんな落ちて、黒いアスファルトに雪と一緒に固まっています。
おぉ寒っ! みなさまご機嫌いかがでしょう。
風邪などひいてはいませんか?
私はおかげさまで、今のところ大丈夫、元気です。
この間の月曜日のお休みの日は、とても珍しく家族3人で映画を観ました。
シネマフロンティアにて 『 永遠の門 』です。画家フィンセント・ファン・ゴッホ
の、アルル時代から最期に至るまでを、ゴッホ自身の視線としてのカメラワークで
内面を伝えようとした新しい表現に満ちたすばらしい映画でした。
12月にはまたゴッホについてのドキュメンタリー映画が公開予定だそうで、
また息子と一緒に観ることが出来るといいなぁ、と思ってますが・・・。
明日の金曜日は、パスキューアイランド・パンの日です。
グラハム粉のプチパンのみ、のパンの日なのですが、なかなか好評!
寒くて足元が滑って歩きにくいことこの上ないのですけれど、
暖かいスープのお伴にどうぞ買いにいらしてください。
グラハム粉のプチパン
1個 150yen
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ジャズライブ ありがとうございました。
夕方5時にはもう外は真っ暗、ポツポツと雨も降り出した昨夜でしたが、
今年の最終ジャスライブはそんな悪天候の中をご参加くださったみなさま
とともに、充実したひとときとなりました。
ありがとうございました。
さっそく昨夜の演奏曲目をご紹介いたします。
・Bemsya Swing
・The Man I Love
・Everythings happens to me
・Touch of your lips
・Autumn Leaves
・Where or When ( Encore )
以上の、アンコールを含め6曲でした。
1曲目 「 ベムシャ スゥイング 」 は、メロディが発展していく通常の曲とはひと味違い、
メインテーマが音階を変化させながら繰り返し続くだけ。
不思議な味わいは、この曲を作曲したピアニスト、セロニアス・モンクの
特別な作風です。モンクの曲はどれも独特で、しかも一度聴いたら忘れられない
メロディばかりなのです。「 ベムシャ スゥイング 」 も、演奏者は様々な解釈で
スローに、とか、静やかに、とか、重々しく、とかいろいろで、聞き比べが楽しい!
昨夜の大関・小林組は、テナーサックスとベースという共に低音が得意の楽器ならではの
お腹に響く太い音でしかも軽快。ライブのオープニングに最高のノリの良い演奏でした。
2曲目 「 ザ マン アイ ラヴ 」。直訳すると ” 私の彼氏 ” でしょうか。
ビリー・ホリディの歌うこの曲が私にとっては最初の 「 ザ マン アイ ラヴ 」 です。
それから、エラ・フィッジェラルド、コールマン・ホーキンスのテナー演奏も素晴らしい。
ヴォーカル版と器楽版、ガーシュイン作曲のこの曲にはたくさんの名演奏がありますね。
3曲目は 「 エブリシング ハップンス トゥ ミー 」。
4曲目は 「 タッチ オブ ユア リップス 」。
2曲目、3曲目、4曲目と、バラードの演奏はどんどん発展していき、テナーサックス
から4曲目はソプラノサックスになり、寂しさを含んだ音の味わいは増していきます。
ベースの鳴りとサックスの鳴りが交差する、実にいい演奏だったと思います。
5曲目は 「 枯葉 」 です。
私は内心 「 待ってました!! 」 という気持ちでおりました。
毎年11月のライブの最後の曲は 「 枯葉 」。毎回、今年もこの曲をみなさまと一緒に
聴けた~イェーイッ! と、今年の 「 枯葉 」 はどんな演奏かな、とが入り交じります。
そして、2019年の 「 枯葉 」 は、軽快な、スカッとした枯葉でした。
「 枯葉 」 、ジャズの名演奏がこの曲ほどたくさんなされてきて、生み出され続けている
曲もないでしょう。昨夜の演奏も、がっつりと音が緻密に太く織り出され、ソロの勢いも
素晴らしく。聴き応え十分で締めくくられましたね!
おまけの6曲目は 「 いつか どこかで 」。
ローレンツ・ハート作曲、リチャード・ロジャース作詞のロマンティックな曲を、
枯葉の熱演後のテナーサックスで、かすれた渋いソロ演奏でした。
テナーサックス、ベース、ともに今回も本当に素晴らしい音!!
艶やかで太く、その ” 鳴り ” は、聴いていてやみつきになります。
もっと聴きたい、次はどんな? と引きこまれるのです。演奏者の技術的な素晴らしさ、
長年の鍛錬のなせる技がその理由の第一番目ですが、二番目には、当店のライブは、
アンプを通さない、本当の生演奏だから、ということだと思います。
ライブハウス、ホールでの演奏は、小さなところでもアンプを通して音を遠くまで
届けるしくみです。純粋な生の音のライブは、たぶん当店以外はないに等しいかと。
そして、店内は、楢材の床板、什器の棚板も楢の木。木の箱で、昨夜のような雨降り
ですと、湿気がそこに加わり、生の音の響きが更によいものになるわけです。
ご参加のみなさま、いかがでしたか?
生演奏は、時に心だけでなく体にもエネルギーを注いでくれます。
小一時間の非日常をぜひ体験してください ( 特に雨の日 )。
2019年、私どもの小さなジャズライブにおつきあいくださいまして、本当に
ありがとうございました。感謝の気持ちで一杯です。
そして、次のライブは、2020年1月13日 ( 月 )。
来年のスケジュール表に、さっそく赤丸つけをよろしくおねがいいたします!
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