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電話室便り
ワン・デイ / ONE DAY
2012-12-07 / 映画
蠍座にて。
素敵な1本でした。
ロマンティックで、切なくて。
泣きはしませんでしたが、見終わって 「 あ、良かったな 」 と思えた。
友達同士で始まったエマ ( アン・ハサウェイ ) とデクスター ( ジム・スタージェス
)の二人の関係が、23年後に結ばれるまでを、23回の7月15日だけを繋いで
描き出すというちょっと変わった手法が話題だったようですが、特別新種な感じはしませ
んでしたけど、たった1日を23回でも二人の人生模様の変遷が十分に伝わり、自然に流
れ、年数が重なっていくほどに苦さや渋さ、酸っぱさにしょっぱさが加わって、
二人の 「 貌 かお 」 が出来上がってゆく様にうなづいてしまうのでした。
ラブストーリーっていうことなのですが、この映画は、デクスターの青春映画であり、
彼がどう真実の自分自身になれたか、どう人生の真髄を手に入れたか、の映画です。
裕福な家庭のぼんぼんだったデクスター。育ちの良さからくる天然の明るさと華やかさを
もっています。そんな彼に実は片思いしていたエマでしたが、大学の卒業の日に初めて
会話を交わすことができ、勢いで一夜を共にするはずが運命のいたずらでコトは成らず、
お互いに親友としてそれからの7月15日を過ごしてゆくのでした。
女好きで派手、浮ついていて不安定なデクスターの中にある優しさ、真っ直ぐさ、そして
どうにも逃れられない魅力を理解していたエマのデクスターに対する想い。
この二人の相性が最高なのは観客である私達が一番よくわかっているのですが、
二人の心の中にも、「 彼 ( 彼女 )の赤い糸は、わたし ( 俺 ) に繋がっている 」
ということへの確信がちゃんとあったと思うのです。そのへんの自信は揺るぎないもの
だったはず。そういうことって解っているものだと思う。ただし、真我のレベルで。
自我が邪魔をして、実生活に忙しくしているし、自分のことなんだけど気づけない。
デクスターは、多大な喪失のあと、ようやくエマを本当の意味で手に入れるのです。
エマの与えてくれた豊穣がどれほどのものだったかを理解し、真実の人生を歩み始めるデ
クスターの貌が素晴らしいです。
脇役も芸達者揃いで上手かったですよ。
デクスターの初婚の妻役が特に好きでした。いい感じ、役者さんも、役柄的にも。
そして大好きなパトリシア・クラークソンがデクスターの母親役で登場、得した気分!
本当の自分になることの痛みと素晴らしさを描いて、尚且つ透明感に満ちた作品でした。
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