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電話室便り
おつきさま、こんばんは!
2011-09-14 / 本
おとついの月曜日、
私はとっても素敵な絵本に出会いました。
書店の棚でふと目に留まった一冊。
「 市川里美の新刊? 」
作者に惹かれて手にとって、サーっと立ち見立ち読み、パタリと閉じたと同時に
「 買う! 」 と。
作者、市川里美さんは、1971年からパリに移り住み活躍を続けている絵本作家であり
画家です。私が高校1年か2年の時に自分で最初に買った絵本、『 春のうたがきこえ
る』 で作者・市川里美さんの名前を知りました。
その後もう一冊 『 四季の子供たち 』 を買っています。
季節の移ろいと 自然の美しさと 子供たちは、三位一体・・・・・ フランスの
穏やかな暮らしと子供時代の輝きが、彼女の優しく繊細な絵筆によって、大きな憧れ
と一緒に私になかに強く残りました。
時は流れ、久々の市川里美さん、なのでしたが、
『 おつきさま、こんばんは! 』 、私の今年の最高です。
★★★★★ にさらに★加えてもいい!! というくらいに。
素晴らしい!!! パーフェクトですね。
満月の夜、静かな夜中、人形たちとお月さまとの微笑ましいやりとりのお話。
ペルー、日本、ロシア、アフリカ、フランス、イギリス、スウェーデン、イタリア、
アメリカの、お国柄を伝える人形たちがそれぞれに、自分たちの愛された思い出と共に
お月さまへの思いをささやく、そしてそれをお月さまが聞いていて・・・・・。
もの言わぬ人形たち、運命を受け入れることしかできない人形たちのささやきには、
無垢であるということの全てがつまっているように思います。
そして、一心に満月を仰ぎ見る人形たちの愛らしさ、愛の思い出の切なさ、その夢と
希望の誇り高さに驚かされ、深く、深く感動させられるのです。
さらには、月光を描く市川里美の筆の確かさ!煌々として神秘的で優しさに満ちている。
あいにく十二日の月曜日の中秋の名月は雨で全くだめだった札幌ですが、
この一冊に出会えて、それは素敵なお月見ができました。
ぜひ、本屋さんで手にとってみてください。
愛するお人形がいたかつての子供、愛する人形とともに成長している子供たちの親となっ
た、そう、私たち大人の為の、極上のファンタジーでもあるのです。
『 おつきさま、こんばんは! 』
ISBN 978-4-06-132474-9
作者 市川 里美
出版社 講談社
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