レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

ドイツミステリ数冊、三人の太った女、みゅんみゅんパンツ

2015-11-28 08:27:57 | 
ベルンハルト・ヤウマン『死を招く料理店』 扶桑社

 ドイツの推理作家が、ローマの料理店(トラットリア 「リストランテ」よりはくだけた店)で、作品の舞台に使って宣伝することを条件に食べさせてもらう契約をする、そしてその作中の出来事が現実化してしまうという事態になる。

 世界各国を「メシウマ国」と「メシマズ国」に分ける場合、イタリアは前者にはいり、ドイツはおおむね後者に数えられるだろう(日本は美味いほうだと思うね)。そして多くのドイツ人観光客がイタリアにおしかけているという状況など考慮すると、こういう話には屈折した心理が反映されているのだろうかと思ってしまう。


イングリート・ノル『趣味は殺人』 集英社文庫

 独身50代の女ローゼマリーは友人の勧めで行った講座で、少し年下のハンサムな講師にすっかり熱をあげてしまう。彼の家の庭に忍び込んでのぞいていると、彼がアル中の妻と争って、撃ってしまうのを目撃してしまう。この後、次々と殺人が繰り返されてしまう顛末は、頭抱えたくなるような苛立つスリルと滑稽さがあり、結末も、・・・いいのかこれで?

 同じ作家の『女薬剤師』は、地元図書館の棚にあって読んだことがあるはずなのに、まったく覚えておらず、この機会に再読。
 薬剤師のヘラが入院中に、同室者にこれまでのことを語るという形で、その聞き手が上述のローゼマリー。彼女の過去を知っていると苦笑する部分大いにあり。 しっかり もののヘラは「だめんず」なのか、これまたイライラさせてくれる。


ペトラ・ハメスファール『記憶を埋める女』

 これまた地元図書館の棚にあるので、とっくに読んだことがあるはず、しかし全く覚えていなかった。
 25歳の既婚女性コーラが、見ず知らずの男を刺殺した。被害者を知っていたのかどうか、供述は変わっていく。
 彼女の過去をたどると、病弱な妹がいて母は妹ににかかりきりであった。こういうことはあるけど、この場合、狂信的なほどの信仰まで結びついているから私にはこの母親は許しがたいものに思える。



『ジゴロとジゴレット  モーム傑作選』

 新潮文庫の新刊。
 『アンティーブの三人の太った女』、別荘でダイエットに励む40代女たち、しかし客として招かれたスリムな寡婦はそんなことおかまいなしに食べまくる、イライラが募っていく三人・・・。これに共感できない人は孤独な少数派の幸せ者であろう。笑える。
 『征服されざる者』 大戦中、占領下のフランスで酔って若い娘を暴行して身ごもらせたドイツ兵。彼女に本気で心を惹かれるが、彼女は頑なに拒絶し続ける。メディア並に凄惨な復讐。


穂村弘『にょにょにょっ記』

 『にょっ記』『にょにょっ記』に続くエッセイ。挿絵の、公平に見てぜんぜん可憐じゃないカワウソ(?)も味わいがあって本の魅力になっている。
 特に印象深い話題二つ。
・見知らぬ女子高生たちが、パンツは捨てる直前の「みゅんみゅんしているのが」気持ちいいと話していた。自分(穂村)はそういうのを外国旅行の際に選んで持っていき、使って捨てて荷物を減らす、帰りにはその空いたスペースにお土産がはいっている。
 --「みゅんみゅん」という言葉はやたらと新鮮である。
・音楽室には音楽家の肖像が飾ってある。しかし、体育館にジョーダンやコマネチが、家庭科室に小林カツ代が、美術室に ピカソの肖像があることはないのに、なぜ音楽室だけなのだろう?
 --なるほど、それは考えたことなかった。美術室に関しては、画家本人の顔を飾るよりは作品(複製)を展示するほうが意義があるだろうと思うけど、決定的な答にはなっていないな。
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