レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

イケメンと好男子

2020-02-17 12:57:57 |   ことばや名前
 佐藤愛子さんのエッセイはかなり読んでいる。数年前、いやもう十年以上経っているだろうか、集英社文庫から「自讃」(自選でないところが愉快)エッセイ集が出た時にも読んだがほとんと記憶にあるものだった。
 
『愛子の詰め合わせ』という冊子、雑誌の体裁でのエッセイのアンソロジー、一昨年出たものを買ったきりだったが、ようやく読んだ。
 その一節:
 好男子という言葉は死語になった。今はイケ面という。この言葉を私は好きでないが、しかしその軽薄な調子とぴったり合う顔が多いことに気がつくと、「なるほど、うまい」と感心してしまう。
 
 引用終わり。これは2009年のものである。それからもう10年以上経過して、「イケメン」もいっそう定着していて忌々しい限りである。

 先日、mixiで紹介されていた記事で、某男優がドラマの演技力で注目されているそうで、この人がイケメンかそうでないかの議論まで出てきているという。
 あのな。イケメンの「メン」がmen.なのか、面なのか、それさえあやふやな状態でそんなこと言ってても意味ないだろう。写真からすると、美男というわけではなさそうである。美男ではないけど、演技・演出で素敵に見える、ということならばそれは結構なことであろう。
 もっとも、「イケてる」(裕次郎の時代の「イカす」と同根だろう)が、必ずしも容姿じたいの良さを意味するというわけでもないけど。
 「魅力ある」というふうに解釈すると、「美形」の何倍も主観の要素が強くなってきて話が終わりそうにない。
 話をややこしくしないためには、ある程度の客観性が求められる「美男」「ハンサム」が復活してもよさそうなものだと思う次第である。

 ところで、「好男子」という言葉は、性格や態度がしゃきっとしているようなイメージを感じる。軟弱そうでは似合わない言葉である。

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