レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

カンに障る、シャクに障る

2024-01-14 10:12:37 |   ことばや名前
YouTubeの「まんがアニメの苦手な絵柄」というテーマの動画に、「フルバの絵はカンに障る」とコメントした。すると「シャクに障るじゃね?」というレスがついた。
 癇に障る、癪に障る、確かに字は似ているし、意味もまあ近い。
(「癇癪」という言葉もある)
 「カンに障る」ほうが感情的で理屈じゃない。
 思いつく例文を挙げてみる・
 
・同じくらいの時期に出たマンガ旧約聖書でも、里中版はあちこちあるのに、あずみ版は一部書店にしか置いてないことはシャクにさわる。
・「女性自身」にあずみさんが連載した時は、単行本なんて出るアテがないので我慢して買っていた。しかしその後けっこう有名な作家が連載した時には単行本が出ていてシャクにさわった。
新刊として買ったばかりの本をブックオフで見た時はシャクにさわる。
 
・動画についたコメントを読んでいて、まったく見当違いなことをいつも書いている輩がいるのはカンにさわってしかたがない。
・タイトルの中には間違えやすいものもあるが、『ベルサイユのばら』くらいは難しくもあるまい、ベルバラと書かれると、内容をろくに知らずに偏見だけで言ってる感じで無性にカンに障る。
 
 
 たとえば、ブリッコを不愉快に思っているとする。
 そのクネクネした態度、ベタついた口調にイラっとするのは「カンに障る」だろう、シャクはちょっと違う。
 しかし、そのブリッコがみょ~にチヤホヤされていて不快ならば、どちらかと言えば「シャクに障る」が合うのではなかろうか?
(私自身は近くにブリッコがいたことはない、いたらたぶんイラつくと思うが)
 
「カンに障る」は(たいてい)実害がない。感覚的で、理屈で説明しにくい。「生理的に嫌い」に近い? 「イラっとする」の言い替えとして使える。
「シャクに障る」は、ほかと比べての嫉妬が多い?言い替えるなら「悔しい」か?
 
 「歴史上の美女といえばクレオパトラが必ず出てくるが、美貌の信憑性の高い敵方姉弟が押しのけられていることはシャクに障る」
「山崎晴哉の『総司!』という小説は実につまらなかったが、総司をしきりに美剣士美剣士と書いていたこともカンに障った」
 これらは、まあどちらもアリだけど。
 
絵が嫌いだと言う時に「シャク」は合わないな。
 
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