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2024年見たい天体現象「月と惑星の接近(5月~8月編)」

2023年12月23日 | 「見たい天体現象」
2024年見たい天体現象の第4弾は「月と惑星の接近(5月~8月編)」です。
今回も盛りだくさんなので、どうぞごゆるりとご覧くださ~い。


5月4日「二十六夜月と土星の接近」
 
 夜明け前の東の空で見えるようになった土星が二十六夜月と接近する。土星と月の離角は3°(サムアップした親指1.5本分)ほどである。この時期の白道は傾きが小さいので空が白み始める頃でも土星と月の高度は約15°と低い。環が細くなった土星を望遠鏡で観望するにはまだ厳しい条件だ。
撮影記録→photo photo photo


5月5日「有明の月と火星の接近」

 夜明け前の東空で有明の月と火星が接近する。火星と月の離角は約4°なので大接近と言えるほど近づいてはいないが、この11時間40分後には月が火星を覆い隠す「火星食」が起きる。火星が月縁に潜入する時刻が白昼(12時13分)なので光度1.1等の火星を見るには望遠鏡が必要だ。その前に肉眼で見ることができる夜明け前の接近は見ておきたいイベントだ。
撮影記録→photo photo photo


5月5日「白昼の火星食」

 こちらは仙台における火星食イベントデータである。現象時刻は地域によって違うので天文情報誌等を参考にしてほしい。この時の火星の視直径は4″8 と小さいが火星が全て隠れるまでは約10秒ほどかかる。その様子を望遠鏡で見たいところだが火星の光度が1.1等なので気象条件によっては見えないことがある。それ以前に輝面比0.12の月を青空で見つけることがかなり難しいことではある。


5月6日「二十八夜月と水星の接近」

 5月10日に2回目の西方最大離角を迎える水星と有明の月が接近する。水星の高度は日の出の時刻でも10°と低く、しかも光度は0.8等級なので水星と月の接近が見られる時間は水星出から20分程度だろう。水星はほぼ同じ高度で推移するので光度がマイナス等級になる5月下旬の方が観望には適している。


6月3日「有明の月と火星の接近」

 1か月前の火星食の時は夜明け前の離角が 4°だったが、今回はその半分の約 2°なので接近している様子を楽しめる近さだ。この時期の火星は南半球を地球に向けている。火星歴では12月の下旬頃、南半球は夏至を過ぎてダストストームが起こりやすい時期になっている。大砂嵐は発生しているのだろうか?2億7千万km彼方の火星にそんな思いを馳せて眺めてみるのもいいだろう。



6月5日「新月前日の月と木星、水星の競演」

 この日の月は「2024年細い有明の月ランキング」では第13位だが、「2024年撮影条件良い順ランキング・有明の月編」で第2位なので新月前日の月としては見つけやすい日と言える。さらにこちらがメインイベントとも言えるが、木星と水星が離角37′(満月1個分)で大接近する。両惑星とも高度は低く、日の出直前のため条件はキビシイがダメ元でも観望にチャレンジしたいイベントだ。
撮影記録→photo photo photo


6月6日 番外編「新月(月齢28.6)」

 こちらは「番外編 新月」の第2弾だ。日の出35分前の月高度が約1°と条件は悪いが、西に約5°ほど離れたところに-2等級の木星があるので月の位置を特定しやすい条件ではある。カメラで撮影した画像を天体ソフトで処理して浮かび上がるかチャレンジしてみたいイベントだ。


6月28日「下弦前日の月と土星の接近」

 この日の月と土星の離角は最接近時刻の23時17分で0.8°まで近づくのでかなりの接近と言える。土星の高度が高くなる2時00分頃には離角が1.5°と開いてくるが、注目したいポイントはこの日が2024年で土星の環の傾きが一番小さく(中央経度が2.39°に )なる日ということだ。天気が良ければ、高度が低い時に眼視で月と土星の接近を、高度が高くなった時に望遠鏡で串団子の土星を見ることができる。1日で2度楽しめる土星イベントデーになるだろう。
撮影記録→photo photo photo


7月3日「有明の月とプレアデス星団、木星、火星の競演」

 有明の月がプレアデス星団と接近する。月の下には木星、アルデバランが輝いていて、少し離れたところで火星も輝きを放っている。梅雨の最中なので見られるかはお天気次第だが梅雨の晴れ間は意外にキレイな星空が見えるのでお天気の神様の機嫌がいいことを願いたい。
撮影記録→photo photo photo photo


7月7日「二日月と水星、金星の接近」

 5月まで明けの明星として東の空に見えていた金星が6月4日の外合を過ぎて宵の明星として西の空で輝き始める。まだ日没後の高度は低いが月齢1.5の二日月と水星、金星の接近は見ておきたいイベントだ。マジックアワーの空で二日月と二つの内惑星が並ぶことはそうそうある事ではないのでお気に入りの場所で星景フォトとして記録しておきたい眺めだ。


7月8日「三日月と水星の接近」

 7月22日に今年2回目の東方最大離角を迎える水星が月齢2.5の三日月と接近する。2024年は夕方見える水星の観望好機が春分の頃と7月半ばだけなのでこれが三日月と接近する水星を見るラストチャンスとなる。3月11日の三日月と水星の接近は離角が15°だったが7月8日は離角が6°なのでキレイな眺めとなるだろう。地球照の見える三日月と水星のコラボを記録しておきたいイベントだ。


7月25日「月と土星の接近」

 これは「白昼の土星食」が見られる7月25日未明の土星と月の様子である。この時間の離角は約2°だが月出直後の7月24日22時頃の離角は約10°もある。月出直後と夜明け前の離角を比較することで月の公転速度を実感することができるだろう。土星が眼視で見えなくなる薄明時の離角は1.5°と離れているが、土星食が起きるのが早朝(6時30分頃)なので望遠鏡で土星を追尾したまま観望すると月への潜入を容易に見ることができるだろう。


7月25日「白昼の土星食」

 天文事象としては「白昼の土星食」だが月への潜入時刻が6時30分頃なので「早朝の土星食」と言った方がイメージしやすい。潜入時の月高度は約25°と低いが輝面比が大きいので青空の中で月を探す手間がないのはありがたい。土星の視直径は18″もあるので潜入・出現が完了するまで約40秒ほどかかる。その様子を連続撮影したいところだが時期的に梅雨末期か梅雨明けしてるかで天候状況は大きく変わる。早い梅雨明けになることを期待したい。


7月30日「有明の月とプレアデス星団、木星、火星、アルデバランの競演

  7月3日に引き続き7月30日もプレアデス星団と有明の月が接近する。時間の経過とともに月はプレアデス星団へと近づくので夜明け前には離角1°30′まで接近する。2024年はプレアデス星団と白道が重なっているので7月以降は毎月接近を見ることができる。12月14日未明にはプレアデス星団食(月齢13)もあるので楽しみだ。


7月31日「二十六夜月と木星、火星、アルデバランの競演」

 7月31日未明に二十六夜月と木星、火星が東の空でトライアングルを描く。近くでは火星とほぼ同じ明るさのアルデバランが輝いているのでその色と明るさの対比も楽しみたい。火星は日を追うごとに木星へと近づいていき、8月15日には離角18′まで接近する。こちらも見逃せないイベントだ。


8月5日「月齢1の月と金星の接近」

 8月5日の夕方に月齢1.0の月と金星が接近する。この日の月は「2024年新月の翌日に見える細い月ランキング」の第1位で「2024年撮影条件良い順ランキング・新月翌日編」では第4位と条件も悪くないので夕方見える月としては2024年で最も見たい細月だ。輝面比はわずかに0.86%である。日没30分後の月高度は1.2°と低いが東に6° 離れたところに-3.9等級の金星が輝いている。それを手がかりにすることで月の位置が特定できるので条件としては申し分ない。晴れスタ的には観望したい一推しのイベントだ。


8月6日「究極に細い三日月と金星の接近」

 月齢2.0(輝面比0.04)の三日月が日没直後の西空で金星と接近する。グラデーションがキレイな空に浮かぶ究極に細い三日月と金星が並んでいる様子はいつ見ても美しい。2024年の金星は6月までは明けの明星として、7月以降は宵の明星として輝くが11月まで高度が上がらないので見えている時間は少ない。意識しないと見逃しがちな金星なので接近イベントはぜひ見たいところだ。


8月28日「下弦翌々日の月と木星、火星の接近」

 7月31日と同じように東の空で月と木星、火星がトライアングルを描くが、よく見ると火星と木星の位置が逆転していることが分かる。8月15日の接近後は火星と木星は(見かけ上で)離れる動きをしており、このあと木星は急速に高度を上げるので観望がしやすくなる。2024年の木星の衝は12月8日になっている。

*上記のシミュレーション画像はステラナビゲーター11で作成しています。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ich)
2023-12-25 08:51:57
晴れスターさん
 来年5〜8月の月と惑星の接近情報ありがとうございます。火星食と土星食は青空の中なのでかなり難しいでしょうね。三日前の月と木星の接近は、はっとするほどきれいでした。今年の月と惑星の接近は、これが最後ですね。新年は8日明け方の月と金星とアンタレスが、接近初めになりますか。
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月と惑星の接近 (晴れスター)
2023-12-25 17:01:18
ichさん
 木星と月の接近キレイでしたね!来年は1月8日~10日の3日連続で月と惑星、アンタレスの接近が見られるので楽しみですね。
 話は変わりますが、こぐま座流星群のダストトレイル接近予報時刻に通常より多い出現数が確認されたそうです。天気が悪かったので観望には出かけなかったのですがATOMCam2の記録動画を見るといくつか写っていました。出かけないときに限って流れるのは突発出現のあるあるですね~。動画はただいま編集中なので近日アップする予定です。
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