晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

ISS超拡大眼視ミッション season2「3rdトライアル編 」

2022年11月23日 | ISS(国際宇宙ステーション)
2022年11月23日 プレスリリース

「11月17日に、ISS超拡大眼視ミッションを実施した」
「お!博士、お久しぶりですね~。お元気でしたか?」
 (*今回は昨今の事情を考慮してオンラインで取材している。)
「博士、ずいぶん、ご無沙汰だったので、このイベントやめたのかと案じてました~」
「何度も言うようだが、これはイベントではない。最終目標が…」

「あ、そのくだりはいいです~。それより、前回のプレスリリースは2021年11月23日だったのでピッタリ1年ぶりですね。これは七夕みたいに年中行事的な日取りにしたということですか~。(笑)」

「このミッションの最終ステージは倍率200倍でISSを目視することである。今回はそのプレ・ステージとなる187倍でシステムを検証する重要なトライアルだ。」

「あ、ハイ、そうなんですね~、えーと、それで、結果はどうでしたか~。」
「この世の出来事すべてのことに価値があり、どんなことにも無駄ということはない。」

「あれ~、ひょっとして成果なしの、いわゆるシッパイですか~。」
「いや、今回は…… ……」

「ん!? 博士! もしも~し、 音声が届いていませんよ~。 もしも~し…」
「……」


音声が途切れたようなので博士に代わって報告しよう!

 今回のコースは下図のように南西方向から垂直に上昇する眼視ミッションにはこれ以上ないほどの最適なコースである。今回、倍率を187倍に引き上げたことで前回のトライアル125倍(視野角0.48°、28.8′)からさらに視野が狭くなり、視野角0.32°(19.2′)となる。

 数値的には大差ないように思えるが、このシステムで木星を導入したときにその視野の狭さと見かけ上の木星の大きさに、これで手動追尾できるのか?という思いが電光石火のごとく頭にささってきた。



 試しに上空を飛ぶ夜間飛行のジェット機を追尾してみたが、これは、でかい!… それもそのはず、1万メートル上空の飛行機を187倍で見るということは50~60mまで近づいてジェット機を見るのと同じである。400km上空のISSでは、計算上だが2.2kmの距離から秒速7kmで移動する大きさ100mの飛行体を見るということになる。

 この狭視野でISS追尾を成功させるには、いかにして早く低高度でISSを視野に入れるかということに尽きる。あとは垂直上昇であれば、なんとか追尾できる… とこの時は思っていたのだが、

 さて、時間です。ISSがまもなく地平線上に現われます。実際に見えるのは高度が10度に達するころなので、あと2分ほどあります。では、30cmドブを高度10°付近まで下げようと、望遠鏡に手をかけたとき、あろうことか双眼装置に左手がぶつかってしまった! 

 なんたる不覚! 木星でチェックしたところファインダーと望遠鏡視野に誤差が生じています。あちゃ~、やってしもうた… もう修正の時間はありません。ISSがまもなく見えます。なんとかファインダーのズレを脳内修正して3度目の待ち伏せで導入成功!高度は20度付近… 

 高度20度付近でのISSまでの距離は約1000kmです。見えているのは闇夜の動物の目のように光るオレンジ色の2つの光点、たぶん太陽電池パネルです。よし、このまま追尾すれば…と思ったのですが、高度が上がるにつれて移動速度が加速度的に速くなり、まだ高度が30度にも達していない時点で追い切れなくなってロスト!

 あちゃ~、再導入を何度しても双眼装置視野に入ってきません… やはりファインダーのズレで正確さを欠いています。2度ほど視野内にISSが入りましたが流星のような速さで視野を飛びだしていきました。

 格闘すること約1分… ISSは高度60度で地球の影に入り、追尾不能となりました。ふう~、…ということで今回はどのように見えたかを記録した「まとめ図」はなしです。記録用にセットしていたカメラもタイムラプスの不具合で動いてなかったので画像は何もありません。以上で~す。(^^ゞ

〈今回のシステム〉
・WHITEY DOB 30 + Powermate2× + 双眼装置 + EF16mm、倍率187倍


〈過去ブログ〉
ISS超拡大眼視ミッション・シーズン2「2ndトライアル編 」 2021.11.23
ISS超拡大眼視ミッション・シーズン2 「リボーン編 」 2021.10.11


〈追記〉
「後日、博士に話を聞いたところ、今回のトライアルを通して新しい補助システムのアイデアが浮かんだとつぶやいていました。」
「博士のことなので、たぶんハイテクではなくローテクなシロモノだとは思いますが、なにかおもしろい装置を出してくるかもしれませんね。気がかりなのは、シーズン2に入るまで新しいアイデアを10年ほど暖めていたので、そこだけはスピードアップしてほしいですね。博士の次のプレスリリースを楽しみながら待つことにしましょう!」