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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

ネオワイズ彗星(C/2020 F3) 7/9観望記録

2020年07月09日 | 彗星
ネオワイズ彗星が東の空で見え始めているのに一向に天気が良くなりません。

向こう1週間の天気予報を見ても、天気が良くなる気配がありません。こ~れでは三度目の正直でやってきた北半球の肉眼彗星を見逃してしまいます。

…ということで、待っていても首が長くなるだけなので、02時30分から3時30分に北東の空が晴れる場所に積極的に遠征することに作戦を変更しました。

1回目のチャンスは7月8日の夜にやってきました。

SCWを見ると宮城県栗駒近辺、岩手県南沿岸付近が晴れるようです。

予報図を見ると帯状の雲ラインは北上するようなので観測地は岩手県南沿岸に決定です。遠征計画としてはとりあえず気仙沼に行き、雲の様子を見て雲ラインの北側、晴天ラインまで三陸道を北上することにします。ネオワイズは02時20分過ぎに昇ってくるので、02時までに観測地を決定できなければタイムアウトです。

グーグルマップで観測候補地の目星をつけていざ出発です。出発時刻は22時30分過ぎで~す。

ふぅ~、三陸自動車道の利府・松島近辺はパラパラ雨が降っています。東松島を過ぎたところで雲を通して月明かりが見えて喜んだのもつかの間,急激に霧が出てきました。ふひゃ~、石巻・桃生付近は濃霧でスピードダウンです。

2時間弱で気仙沼に着きました。なんとドン曇りです。迷わず岩手県に向けて即出発です。雲ラインの北上が早まっているのかもしれません。いやな予感です。

結局、大船渡も通過して釜石に来てしまいました。さらに北上したいところですが時間です。候補地の海岸は高い防潮堤があって視界を遮られていたので、国道に戻って探したところ国道沿いの駐車場でいい場所があったのでここで決定です。

南の空から雲が流れて北東に向かっています。北極星も見えないので今日は赤道儀ではなく経緯台での撮影です。

ファーストショット(ネオワイズ彗星はまだ水平線の下です)

2020.7.9 02:18:50 D810A Zoom-NIKKOR*ED 50~300mm ISO1600 8sec F4.5

後で気付いたことですがカメラテストで撮影した画像にネオワイズ彗星が写っていました。
このときのネオワイズ彗星の高度は1.4°です。薄雲で透明度は悪かったのでオドロキです。

2020.7.9 02:26:24 D810A Zoom-NIKKOR*ED 50~300mm ISO1600 15sec F4.5

急速に雲が東の空に流れてきました。そんな中でカメラテストをしているときにモニターに彗星の尾が写っていることに気付きました。

2020.7.9 02:26:58 D810A Zoom-NIKKOR*ED 50~300mm ISO1600 15sec F4.5

なんということでしょう。雲が無ければ彗星の尾から昇ってくるというグレートコメットにだけに与えられた姿を見せてくれる可能性があるようです。これはすごいことです。

雲越しですが全体の姿を見せてくれました。いやまだ全貌ではありません。

2020.7.9 02:28:46 D810A Zoom-NIKKOR*ED 50~300mm ISO1600 10sec F4.5

これは薄明の中での姿です。夜空で見たらどのような姿になるのか想像しただけで心が躍ります。

彗星の高度はわずかに2.6°です。

2020.7.9 02:36:40 D810A Zoom-NIKKOR*ED 50~300mm ISO2000 13sec F4.5

美しい姿に大満足です。

2020.7.9 02:38:24 D810A Zoom-NIKKOR*ED 50~300mm ISO2500 13sec F4.5

300mmで撮影

2020.7.9 02:39:58 D810A Zoom-NIKKOR*ED 50~300mm ISO6400 3sec F4.5

1970年のベネット彗星(1969Y1)を彷彿とさせます。

2020.7.9 02:40:12 D810A Zoom-NIKKOR*ED 50~300mm ISO12800 3sec F4.5

残念なことに雲はどんどん増えていきます。

2020.7.9 02:47:58 D810A Zoom-NIKKOR*ED 50~300mm ISO6400 4sec F4.5

ネオワイズ彗星だけがどの星よりも輝いている不思議な写真

2020.7.9 02:48:36 D810A Zoom-NIKKOR*ED 50~300mm ISO6400 4sec F4.5

本日のラストショット

2020.7.9 02:54:30 D810A Zoom-NIKKOR*ED 50~300mm ISO6400 4sec F4.5

この直後に、ネオワイズ彗星は雲の中に入ってしまいました。ラストショット時の彗星高度は5°、大気減光がある高度でこれほど明るいということは、今後に期待が持てます。

ネオワイズ彗星の地球最接近日は7月23日、距離は0.69auで~す。

本日の観望で確信しました。 北半球についに、グレートコメットがキター!!!!!!

C/2020 F8 スワン彗星 その4

2020年05月09日 | 彗星
スワン彗星の最新情報です。またしても変化がありました。
以下 SpaceWeather.com Friday, May. 8, 2020 版より

「ANOTHER OUTBURST FOR COMET SWAN?」
スワン彗星(C/2020 F8)を肉眼彗星に引き上げたアウトバーストが終わった直後ですが、新たなアウトバーストが始まったようです。南半球の観測者から彗星の明るさがリバウンドしていると報告がありました。

この進展は5月12日の地球最接近時に明らかになります。最接近時の距離は0.52AU(7,800万km)です。乞うご期待を。

〈補足〉
なるほど、V字回復していますね。まさにリバウンドです。にわかダイエットしたときによく見られるカーブです。データー元はCOBSのようなのでCOBSのHPで最新のLight curveを見てみましょう。

ふ~む、諸手を挙げて喜ぶほどの急上昇ではないようですが、肉眼彗星ラインを下回っていないところは評価できますね。この状態をキープすれば最終的には4等級くらいにはなるでしょうか。日本で見えるスワン彗星は夕方も明け方も高度が10°程度なので大気減光により実視等級は1等級ほど下がります。(下記表参照)

大気による減光
高度  減光量(等級)
天頂  0.00等級
50° 0.06等級
40° 0.1等級
30° 0.2等級
25° 0.3等級
15° 0.7等級
10° 1.0等級
 8° 1.2等級
 6° 1.5等級
 4° 2.0等級
 2° 3.1等級

今後新たなアウトバーストを起こして1~2等級くらいまで明るくならないと肉眼では難しいかもしれませんね。→参考過去ブログ「パンスターズ彗星(C/2011 L4) ~初観望編~」

C/2020 F8 スワン彗星 その3

2020年05月08日 | 彗星
スワン彗星に関する記事が載っていました。
以下5月6日付のSpaceWeather.comです。

「WHAT JUST HAPPENED TO COMET SWAN? 」Wednesday, May. 6, 2020
今週確認されたスワン彗星(C / 2020 F8)の突発的なアウトバーストは南半球の観測者を驚かせました。実際に観測者たちは彗星が明るくなっているのを確認し、肉眼で見ることができました。

スワン彗星に何が起きているのでしょう?彗星の核が断片化したのでしょうか。確かに尾の形は分裂した破片によるものにも見えます。

Above: Comet SWAN photographed by Gerald Rhemann of Farm Tivoli, Namibia on May 1st.

しかし、ワシントンDC海軍研究所のカール・バタムズはそうは思っていません。 「アウトバーストは必ずしも断片化を意味するわけではありません。地上ベースの画像はまだ核が崩壊したという証拠を示していません。」と彼は言います。 「この現象はスワン彗星が特に活発で不安定な彗星である可能性を示しています。」

SWAN彗星は、4月11日にオーストラリアのアマチュア天文学者Michael Mattiazzoが太陽観測衛星SOHOに搭載されたSWANカメラ(太陽風観測カメラ)の画像に奇妙な「ブルーム」があることに気付いて発見されたものです。 SWANカメラがスワン彗星を捉えたときが最初のアウトバーストだったのかもしれません。そして、4月下旬に起きた2回目のアウトバーストにより肉眼で見える明るさになったと考えられます。

太陽に初めて近づく彗星は時にこのような振る舞い(断片化や分裂など)をすることがあります。スワン彗星はまさにその部類だと言えます。今後もさらにアウトバーストを起こす可能性があるでしょう。

スワン彗星は5月12日に地球に最接近(0.56u)します。太陽に最も近づくのは5月27日です。太陽からの距離は0.43au、水星軌道の内側です。いずれも南半球で条件良く観測できるでしょう。

「今月下旬に太陽に最も近づくので、今後数週間でアウトバーストが数回起こっても驚くに値しないことだと思います。」とバタムズは述べています。今後の情報をお待ちください。


〈補足〉
ちょっとまった~!
この記事のどこを読んでも、上記の光度曲線が示すスワン彗星の減光理由を説明していませんよね。グレートコメットを喉から手が出るほど待ち望んでいる北半球の人間からすれば、スワン彗星がアトラス彗星と同じような末路をたどるのか、期待値がまだあるのか、そこを書いてもらわないと困りま~す。

C/2019 Y4 アトラス彗星の光度曲線

スワン彗星の光度曲線の下がり方がアトラス彗星の下がり方に酷似しており、まさにデジャブ? 肉眼彗星はまたしてもまぼろし~? となってしまうのか…

参考までにボートルの法則に当てはめると、スワン彗星の限界値は、7+6×0.43=9.58等級です。現在発表されているスワン彗星の絶対等級は、11.3等級 ± 1.0なので…あら、消滅する運命だったのかも、またしても、ぬか喜びか~、残念!

C/2020 F8 スワン彗星 その2

2020年05月04日 | 彗星
Spacewerther.comにスワン彗星のUPDATEが載っていました。

「COMET SWAN UPDATE」 Thursday, Apr. 30, 2020
スワン彗星(C / 2020 F8)が急速に明るくなっています。ニュージーランド・ギズボーン在住のジョン・ドラモンドから「2~3日前に観測したときと比べてスワン彗星の明るさは劇的に増光しており、なんと肉眼で見ることができました。」と報告がありました。ジョンのほかにも、複数の観測者から、現在彗星の等級は5.5等級前後で肉眼で確認できる範囲内にあると報告が寄せられています。

ただし、肉眼で見えると言っても、現在のところはぼんやりとした滲みのようにしか見えません。望遠鏡を使って撮影すると素晴らしい姿を見せてくれます。ジェラルドリーマンがナミビアのチボリで撮影した写真です。

「これは口径30cmの望遠鏡で撮影したスワン彗星です。露出は30分です。」撮影したリーマンが述べています。「わずか40分間撮影した映像で作成したアニメーションを見ると、複雑な波と巻きひげ状の尾が波打つのを見ることができます。 Play the movie.

彗星の尾はとても長いので、リーマンはそれを視野に収めることができませんでした。 「私の写真の視野は約1.2度しかありません。」と彼は言います。 「しかし、私はより広いフィールドを撮影した友人から、尾が約8度伸びていることを聞いています。」ちなみに北斗七星のおわん部分の幅が約10度です。イメージの参考にしてください。

5月12日、スワン彗星は地球に0.56 AUの距離で接近します。0.56 AUという距離はそれほど近いものではありませんが、見る価値のある天体ショーになるかもしれません。現在の傾向が続く場合、スワン彗星は3等級あるいはそれ以上の明るさになると予想されます。3等級はプレアデス星団と同等の明るさです。

しかしながらスワン彗星の多くは不明のままです。観測から得られたスワン彗星の軌道は双曲線軌道です。このことはスワンが初めて太陽を訪れる彗星である可能性を示唆しています。そのような彗星は予測できないことで有名なので、今後何が起こるかは誰にも分かりません。今後の情報をお待ちください。

〈補足〉
ふ~む、明るくなっていますね~。2015年のラブジョイ彗星に似ている感じがします。
→過去ブログ「ラブジョイ彗星(C2014/Q2)1/24観望記録
日本でのスワン彗星観望好機は5/17~5/25頃でベストは5/21かなと考えていますが、いずれも高度が低いので期待薄といった感じです。

余談ですが、5/23にあのアトラス彗星とランデブーをします。

アトラス彗星(C/2019 Y4)の核がもっと大きければ、または崩壊せずサンバーンに耐える核であったら、二大彗星の世紀の共演が見られたかもしれませんね。おしいな~

スワン彗星の尾がこのまま10°をキープしたときの予想図

このような彗星が見られたら最高ですが、過度の期待は禁物ですね。薄~い期待を持って今後の情報をまちましょう。

*星図はステラナビゲーター11にて作成

C/2020 F8 スワン彗星

2020年04月19日 | 彗星
新しく発見されたスワン彗星(C/2020 F8)の記事がSpacewerther.comに載っていましたのでメモしておくことにしましょう。

「INTRODUCING COMET SWAN」Tuesday, Apr. 14, 2020
新しく発見された彗星は、水星軌道の内側に入り5月下旬に太陽に最も接近します。

ここまで聞くとだれもがデジャブの感覚を覚えることと思いますが、現在、同様の軌道で崩壊しながら太陽に近づいているアトラス彗星のことではありません。4月11日に発見された全く新しい彗星です。


Ernesto Guidoが率いるアマチュア天文学者のチームは、オーストラリアにあるインターネット望遠鏡(0.1m)を使用して4月11日に写真を撮りました。 「この彗星の等級は約8等星で、尾はかなり長く約0.5°ほどあります。」とグイド氏は述べています。

スワン彗星は4月11日にSOHOによって発見されたほうき星です。アマチュアの天文学者マイケルマッティアッツォは、SWAN衛星からの画像で彗星に気づき、すぐに報告して他の人が観測を開始できるようにしました。

彗星がSWAN衛星によって確認された事実は重要です。 SWAN衛星は「Solar Wind ANisotropies」の略であるように惑星間空間で水素を検出します。太陽風が水素含有化合物の雲に吹き込むと、装置が撮影できるUV光子が生成されます。

「SWAN衛星が彗星を検出したということは、彗星がかなりの量の水素(または氷になっている水)で生成されていることを意味します。」ワシントンDCの海軍研究所のカールバタムスは説明します。

「現在、彗星が「バースト」モードになっている可能性は非常に高いと言えます。つまり、この小さな彗星の表面でいくつかの大きな噴出が起こり、水素に富んだ揮発性物質のジェットがたくさん放出されているということです。」



もし、このままバーストが続くと、スワン彗星は来月には望遠鏡を使わずに見える、肉眼彗星になる可能性があります。光度曲線は3等級まで明るくなる可能性を示唆しています。しかしながら、アトラス彗星の消滅を正しく予測したBattamsはそれほどの確信を持っていません。

「私は彗星が現在の印象的な外観を維持することには疑いを持っています。たぶん、まもなく消えてしまう可能性の方が高いと考えています。しかし、私たちは彗星を数日間しか観測していないので、今後のことは誰にもわかりません。」と述べています。

この彗星の軌道はまだ予備的です。現在、この彗星は南の空(23h04m、-35°35 ')にあり、北の空に向かっています。 5月には、北半球の望遠鏡の比較的簡単なターゲットになるはずです。

〈補足〉
ふ~む、ふむ、突然現れることを「彗星のように現れる」と例えますが、まさにその通りの現れ方ですね~。近日点距離と近日点通過日がほぼアトラス彗星と同じというのも超オドロキです。

スワン彗星が今後どれくらい明るくなるかはまだ未知数ですが、今後の変貌を見守ることにしましょう。

FRAGMENTS OF COMET ATLAS

2020年04月15日 | 彗星
Spacewerther.comにアトラス彗星の核の崩壊について記事が載っていました。

「アトラス彗星の断片化」 Monday, Apr. 13, 2020
もはや疑いはありません。 ATLAS彗星はバラバラになっています。世界中のアマチュア天文学者がアトラス彗星の崩壊を目撃し始め、分裂している核の写真を撮影しています。
ホセ・デ・ケイロスは4月11日に3枚の写真を撮りました:「これは、スイスのファレラにある天文台Mirasteilasの90 cm望遠鏡を使って撮った写真です。120sec露出の写真を×20枚コンポジットしています。」と述べています。


台湾のLulin 1メートル望遠鏡から撮影された画像も報告されています。台湾国立中央大学のZhong-Yi Linが率いる観測チームは、先行する破片が本体の約3400 km先にあると推定しています。ATLASコメットの崩壊は、その明るさの急激な低下と一致しています。コメット観測データベース(COBS)でも2つの完全な等級の低下を示しています。

これらの傾向は、アトラス彗星が水星の軌道内に入る5月の下旬頃(近日点通過前)に彗星が完全に溶解する可能性があることを示唆しています。
「この彗星崩壊イベントの原因を調査するには、イメージングと分光法の両方で、C / 2019 Y4(ATLAS)の追跡観察が強く推奨されます」とLin氏らは述べています。

〈補足〉
ふ~む、ふむ、断片化していますね~。これまで非重力効果による軌道の変更が観測されているとありましたが、核が分裂するときは相当な勢いのジェットが噴出されているのでしょうね~。今回の崩壊で興味深いのは断片化した核の大きさにそれほどばらつきがないこと、分裂したが本体はすぐには消滅しなかったことです。

レポートにもあるように、いずれ消滅する運命にあるとは思いますが、それまでに小さいながらも夜空を駆け抜ける様子が見られると思います。最新の観測では明るさを少し取り戻したという報告もありますので、まだまだ分かりませんね。今後の推移を見守ることにしましょう。

結局、アトラス彗星(C/2019 Y4)は見えるの?見えないの?

2020年04月10日 | 彗星
「アトラス彗星の今後」4回目のテーマは、今禁断の話題「結局のところアトラス彗星(C/2019 Y4)は見えるの?見えないの?」で~す。

誰もが期待はずれ感を抱いているところですが、アトラス彗星にしてみれば「いや勝手に決めつけて落胆されてもこまります…こっちは太陽にあぶられて今大変なんです。」と言いたいところだと思われます。

現在、核が崩壊(分裂?)してビヨ~ンと伸びた姿が撮影されていますが、まだ消滅はしていないので、アトラス彗星としてはかなり踏ん張っていると言えます。
(4月10日現在の日心距離1.29au 地心距離1.01au)

とはいえ、核が分裂したとなると核の大きさを表す絶対等級もさらに暗くなるので、望遠鏡を使わずに見える肉眼彗星になるかという点では、かなり可能性が低いと思われます。

この後のシナリオとしては
①リニア彗星のようにバラバラに砕け一気に明るさを失う。→肉眼彗星にならない
②消滅する直前まで踏ん張り急激に増光して明るさを失う。→肉眼彗星になるかも?
のどちらかになると予想されます。

*注:リニア彗星(C/1999 S4) ばらばらになって消えたまぼろしの大彗星

肉眼彗星にならないまでも、せめて2013年のパンスターズ彗星(C/2011 L4)やアイソン彗星(C/2012 S1)のような姿を見せてほしいですね。

2013年のパンスターズ彗星(C/2011 L4)

2013.3.15 18:34:26 NIKON D90 ISO800 f200mm F6.3 2sec

消滅する前のアイソン彗星(C/2012 S1)

2013.11.23. 5:15:30 D90 Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm F4.5 ISO1600 30sec(トリミング)

まー、百聞は一見にしかずです。まだアトラス彗星の撮影は行っていませんので、月明かりがなくなる頃に撮影に出かけてみましょう。
それまで踏ん張って残っていてほしいな

アトラス彗星(C/2019 Y4)が昼間見える彗星になる可能性はあるの?

2020年04月09日 | 彗星
さて、「アトラス彗星の今後」3回目のテーマは「アトラス彗星(C/2019 Y4)が昼間見える彗星になる可能性はあるのだろうか?」で~す。

結論からいうと…「ありませ~ん!」です。

実は当初、「こ~れは、ひょっとしたら昼間見える彗星になるかもしれない…」とかなりの期待…というよりは確信を持っていました。そう思わせた根拠は、アトラス彗星(C/2019 Y4)の軌道がマックノート彗星(C/2006 P1)によく似ていたことです。



ご存じのようにマックノート彗星(C/2006 P1)は「2007年の大彗星」と呼ばれた歴史に残る彗星です。近日点通過前後には白昼に肉眼で目撃され、青空の中で尾が写っている写真が撮影されるなど、当時かなり話題になった彗星です。

2007.1.13 NIKON D50 16:52 f200mm F6.3 1/20sec(撮影時マックノート彗星高度2.7°)

マックノート彗星(C/2006 P1) のボートルの限界値は H=7+6×0.17=8.02等級です。発見時の絶対光度10等級だったため、多くの人が近日点を通過する前に太陽の熱で消滅してしまうだろうと考えていました。

ところが、マックノート彗星は近日点に近づくにつれて明るさを増していき、年末に3等級まで明るくなった後は、1月5日には1等、1月6日には0等に達し、その後も彗星は急速に増光して、1月7日には白昼の空での姿が天体望遠鏡で撮影されるようになり、1月8日には-1等、1月10日には-2等、1月12日には-3等に達し、1月12日には初めて白昼の空に肉眼で見えるようになりました。

近日点通過時は-4等級、太陽最接近2日後(1/14)には-5~6等級までに成長し、南半球で壮大な尾を広げた姿を見せました。

発見者のマックノートさんは、後日インタビューで
「発見から1日か2日経つと、彗星の近日点距離が小さいことがわかりましたが、近日点を通過する前に太陽の熱で消滅してしまうだろうと多くの人が思っていました。

観測を継続していた私たちからすれば、かなりいらだちを覚える話でした。彗星が急速に増光していて、太陽に接近しても壊れないくらい核が大きいことを示す結果を得ていたからです。

とはいえ、結局私は彗星の光度に関する専門家ではないので、あまり批判的になってもしかたありません。何しろ彗星は気まぐれですから。

昼間に肉眼で見える可能性など、ほんの少しでも考えた人はいなかったし、そもそも明るくなるとは誰も思っていなかったようです。」と述べています。

マックノート彗星は発見時の絶対等級10等級が、その後6等級に修正され、今回のアトラス彗星も発見時の絶対等級12等級から5.5等級に修正になったことで、軌道も似ていることから、こ~れはマックノート彗星の再来だ~!と喜んだのですが、どーもぬか喜びで終わりそうですね。ざ~んねん!


C/2019 Y4 アトラス彗星はどうなるの?

2020年04月08日 | 彗星
さて、前回「ボートルの法則」をご紹介しましたが、気まぐれなほうき星たちはこの法則をいい意味で裏切ることがあります。

その例が、皆さんの記憶にも新しい「2011年クリスマスのグレートコメット」となった「ラブジョイ彗星(C/2011 W3)」です。

ラブジョイ彗星(C/2011 W3)はクロイツ群に属する彗星で、太陽に83万km(0.00555AU)まで近づくことが分かっていました。計算するとボートルの限界値は、H=7+6×0.0055=7.03となります。

発見時の絶対光度は15等級なので、誰がどう見ても生き残ることのない、いわゆる「運命づけられた彗星(DOOMED COMET)と呼ばれるサングレージング・コメット」のはずでした。

ところがラブジョイ彗星は、太陽観測衛星SOHOやSTEREO-Aで消滅する瞬間を観測していた天文学者をあざ笑うかのように、オタマジャクシのような動きをしながらまさかの太陽大脱出を成功させたのです。

これがどれほどびっくりする出来事だったかを伝える逸話として、NASAが、ある天文学者の「マジ度肝を抜かれた」というコメントを紹介するほどだったそうです。

かくして、ラブジョイ彗星(C/2011 W3)は、生き延びたサングレーザーの初観測例として記録に残ることになりましたが、実際はほとんどが蒸発して核を確認できない状態で尾の残骸だけで形作っている姿でした.。それにもかかわらず、その後最大で-3~-4等級まで明るくなってグレートコメットとなったというのですからまさに恐るべきほうき星です。

過去ブログ→THE AMAZING TAIL OF COMET LOVEJOY COMET LOVEJOY GETS EVEN BETTER ISSから撮影したラブジョイ彗星 ラブジョイ彗星~続報~



生き残った理由として、当初ラヴジョイ彗星の核の大きさは100~200メートルであると予想されていましたが、実際は500メートルほどあったのだろうと考えられています。

さて、話をアトラス彗星に戻しますが、現時点での観測値ではアトラス彗星(C/2019 Y4)が生き延びることは非常に難しいことだと思えます。しかし、減光しているアトラス彗星に今なにが起きているかは誰にも分かりません。地球近傍で突然アウトバーストを起こす可能性もゼロではありません。大きな期待は持てませんが、今後の推移を見守ることにしましょう。

さて、次回は「アトラス彗星(C/2019 Y4)が昼間見える彗星になる可能性はあるのだろうか」で~す。

C/2019 Y4 アトラス彗星

2020年04月07日 | 彗星
久しぶりに肉眼彗星になると今話題のアトラス彗星ですが…

どーも最近増光が鈍ってきて期待外れだとか、すでに崩壊が始まっているなどと落胆の声も聞こえてきていますが、実際のところはどうなのでしょう。そこで晴れスターがアトラス彗星の今後について大胆に予想してみました。(あくまでも独自予想ですので科学的根拠はまったくありませ~ん。)

やれ、マスコミが騒ぐと明るくならないとか、渡部潤一さんがコメントすると何とかだとか、ちまたではいろいろ言われていますが、アイソン彗星ロス症候群を経験した身としては、外野の噂には全く動じません。信じるのはこれまでの経験則と歴史から見えるデータのみです。

これから予想を何回かに分けてお伝えしますが、1回目のテーマは「そもそもアトラス彗星は太陽の熱に耐えられるか?」です。アイソン彗星もそうですが、これまで太陽熱でサンバーンした彗星はたくさんあります。しかもアトラス彗星の近日点距離qは0.253auで、水星軌道(長半径=0.3871au)の内側にかなり入り込みます。こ~れははっきりさせておかなければならない案件です。


彗星が太陽に近づいて崩壊するか否かの境界線を判断する法則として「ボートルの限界」があります。彗星の絶対光度をH(等級)、近日点距離q(au)として公式H=7+6×qに当てはめると分かります。早速計算してみましょう。

アトラス彗星のqは0.253なので計算すると、7+6×0.253=8.518になります。これが限界値です。つまりアトラス彗星の絶対光度が8.5等級より明るければ太陽の熱に耐えて生き残るということになります。

では、アトラス彗星の絶対光度は何等級でしょう?

これがかなり微妙です。発見当時の絶対等級は12等級とかなり小さな破片と思われていました。ところが急激に増光して絶対等級が5.5等級と修正されました。5.5等級なら限界値8.5等級を遙かに上回っているので絶対生き残りますが、当初の観測値12等級では論外のさらに外です。間違いなく消滅します。現在減光しているためアトラスの絶対等級は8.5等級くらいでは?という声も聞こえてきてますので、結論として生き残る可能性はかなりビミョーということになります。

な~んだ、ではアトラス彗星は騒ぐほどのほうき星ではなかったのかーとお嘆きのあなた、ちょっと待ってください。過去には、ボートルの限界値を遙かに下回りながらグレートコメットになったほうき星も実はあります。その実例を紹介しながら次回のブログでさらにアトラス彗星の今後を予想していきしょう。