goo blog サービス終了のお知らせ 

晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

国際宇宙ステーション 軌道離脱計画(2030-2031)

2022年02月22日 | 宇宙開発
2022年1月、NASAがISS Transition Report(ISS移行計画レポート)を発表した。


 今回発表された報告書は2018年3月30日に発表された報告書のアップデート版ですが、目次を見ると興味深い項目が目白押しだったのでDeepL翻訳ツールを使って和訳してみました。

     国際宇宙ステーション移行報告書
 2017年NASA移行認可法(P.L.115-10)第303(c)(2)項 準拠
          2022年1月

〈目次〉
1.0 国際宇宙ステーション 次の10年
2.0 国際宇宙ステーション移行計画
2.1 ISS移行予算計画
2.2 ISSの技術的健全性と軌道離脱計画
3.0 次の10年の目標
3.1 深宇宙探査を可能にする
3.2 人類に貢献する研究の実施
3.3 米国の商業宇宙産業の育成
3.4 国際協力の主導と実現
3.5 人類に感動を与える

今回のブログはかなりマニアックなつぶやきなので みなさんどーぞスルーしてくださいね~。

1.0 国際宇宙ステーション 次の10年
 ISSは現在、研究の進展、商業的価値、グローバルなパートナーシップなど、最も実りある最後の10年を迎えている。ISSの最初の10年は組み立てに専念し、次の10年は研究と技術開発に専念してこれらの活動を宇宙で最も効果的に行う方法を学んだ。第3のステージはNASAが以下のことを検証するための10年になる。深宇宙探査をサポートするための探査技術や有人技術研究、医療と環境の面で継続的な利益還元を行い人類への恩恵をすすめる。LEO(地球ー低軌道)における米国のリーダーシップを発揮し続け、国際的なパートナーシップを構築してLEOにおける商業的な未来のための基礎を築く。

ーふむふむ、最後の10年は要約するとこれまでの成果の継続、深宇宙探査技術の開発、商業利用への基礎づくりの3つですね。NASAは次の5つのミッションをこの10年間のゴールとしているようです。
 - 深宇宙探査の実現
 - 人類に貢献する研究の実施
 - 米国の商業宇宙産業の育成
 - 国際協力の主導と実現
 - 人類にインスピレーションを与える
 上記5つのミッションで実践戦略として興味深かったのは、NASAは太陽系外への有人探査ミッション準備のために商業宇宙ステーション(CLDs)を支援すること、CLDsの滞在時間を民間企業から購入して宇宙飛行士の訓練、新型宇宙船の技術実証、生物学や物理学の試験・検証を行うと記述しているところです。NASAが月・火星だけでなく太陽系外有人探査も視野に入れてたとは…知らなかったのでオドロキです。本気かどうかは分からないけど…

2.0 国際宇宙ステーション移行計画
 現在NASAは米国の民間企業に宇宙ステーションを配備・運用するための能力と運用経験を開発する時間を与えている。 2020年1月にはISS前方ノード2ポートの使用を許可する契約をアクシオン・スペースと締結した。アクシオン・スペースは2020年代半ばにノード2に商業用モジュールを配備する予定になっている。NASAはすでにスペースX及びボーイングと商業クルー輸送契約(CCtCap)を締結しているが、今後オープンコンペを行ってアクシオン・スペース、ブルー・オリジン、ナノラックス、ノースロップ・グラマンの中の1つ(または複数)と事業契約を結び宇宙ステーションの運用を民間へ移行していく。

ーふ~む、ふむ、スペースXは数々の実績がありますがボーイング社のスターライナーはいまだにISSにたどり着けてないのが気になりますね~。アクシオン・スペース社はISSに接続する形で、他の3社は独立したステーションを配備する計画のようですがあと5~6年でホントに配備することができるのでしょうか、そう簡単では無いと思いますが…

さて、本題です。NASAはどのようにISSを廃棄するのか? 読み解いてみましょう。
2.2 ISSの技術的健全性と軌道離脱計画
 NASAとISS国際パートナーは、ISSの安全な運用に引き続き注意を払っている。ISSの技術的寿命は、モジュールを含む1次構造によって制限されている。ラジエーター、トラス構造、電力、環境制御、生命維持装置、通信システム、その他のシステムは、すべて軌道上で修理または交換が可能になっている。1次構造の寿命は ドッキング/アンドッキングなどの動的負荷や軌道上の熱サイクルに影響される。ISS国際パートナーはそれぞれ自国のモジュールとその寿命延長分析を行う責任があるが、NASA、カナダ宇宙庁(CSA)、欧州宇宙機関(ESA)、日本 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、すでに2028年までの運用延長分析を完了している。ロスコスモスは2024年までの運用延長分析を完了し、現在2030年までの運用延長分析に取り組んでいる。

ーおっと、途中ですが気になる記述があるのでここでひとこと…。 ISSの技術的健全性について「国際パートナーは責任をもって自国モジュールの寿命延長分析を行う」とあるが、それに対し、NASA、CSA、ESA、JAXAは2028年までのいわゆる延長保証宣言をしているがこの時点でロシアは2025年以降の延長保証宣言をしてないようですね。ロシアモジュールの空気漏れの状況次第では計画の前倒しがあるのか気になるところです。閑話休題、報告書に戻りましょう。



 この図は、ISSの寿命終了時までの軌道高度、3つの貨物補給船ドッキング時期、貨物補給船による軌道離脱マヌーバ開始時期、ファイナルクルー滞在時期、ISSが軌道に戻れなくなるポイント・オブ・ノーリターン高度を示している。
 ISS 軌道離脱に先立ち、ISS の運用高度を徐々に下げるためのマヌーバを開始するが、太陽活動が活発なほど地球大気が膨張して効力を受けることになるので、その開始時期は今後の太陽活動に依存する。軌道離脱マヌーバは3台のプログレス貨物船で行う計画だがノースロップ・グラマン社のシグナスもその1部となり得るか検討している。
 最終的には、南太平洋無人地帯(SPOUA)のポイント・ニモ周辺でISSの再突入燃焼を実施して安全な大気圏突入を確保する。

ーう~む、ついにISS廃棄計画の詳細がでてしまいましたね~。見たくなかった感じもありますが…仕方ないですね。これを見ると太陽活動状況によって軌道離脱マヌーバ開始時期は違いますが、高度が350kmになる2029年12月頃から本格的な軌道離脱シーケンスが始まるようです。
 高度が320kmまで下がる2030年5月頃にプログレスによる第1回軌道離脱マヌーバを行い、その後2回目と3回目のマヌーバを7月、9月頃に行ってファイナルクルーが離脱、その後はISSオペレータが最後の軌道追い込みを行って2030年10月頃にポイント・オブ・ノーリターン(高度280km)を通過。そこから急速に高度を落として大気圏突入となりますが、このタイムラインを見ると2030年12月には落下させる計画のように見えます。

 これまで長い間ISS拡大撮影を続けていた身としては悲しいことですが、これがISSを撮影する最後の機会となります。そして2030年3月以降は高度が340km~280kmというこれまで経験したことのない低高度のISSが撮影できます。(これまでの撮影低高度記録は348kmです。ブログ→ISS拡大撮影ミッション~HTV編~2009.9.26)これほどの低高度ISSを撮影できる機会は二度と無いので世界中のISSウオッチャーが注目するでしょうね。どれほどの高解像度で撮れるのか興味津々ですが、心情的にはその日がずっと来ないでほしいような… 金星級の明るさで高速飛行するISSはなにがなんでも見たいような… 複雑な気持ちです。

 さて、こちらは前澤友作氏のYouTubeチャンネルで公開されているISS内部の様子です。ISSのロシアモジュールからツアーを始めて、ソユーズのコックピット、さらには最新モジュール・ナウカの中まで撮影しています。NASAモジュールの方もかなり踏み込んで撮影しておりISSマニアにとっては垂涎モノです。もちろん日本のモジュール「きぼう」も撮影してますが、その上部に接続している「船内保管室」を撮影しているのがいいですね。土井宇宙飛行士がスペースシャトルでISSへ届けた日本初(Made in japan)の有人宇宙船ですからね~。「船内保管室」の壁になんと「Welcome to the highest place of Japan over Mt.Fuji.」と書いたテープが貼ってあるのですが、そのこと今まで知りませんでした。粋です! ESAのコロンバスモジュールも撮影していてレアな映像が満載です。

【完全保存版】ISSをツアーしてみた! 【COLLECTOR’S EDITION】A Tour of the ISS!


 さて、仙台は今日も雪が降っていて、昨年は2月から始めていたISS拡大撮影が今年は全くできていません。まだしばらくは雪空が続きそうなので気長に待つしかありませんね。はやく春が来てほしいものです。


〈関連ブログ〉
ISS(国際宇宙ステーション)2030年まで運用継続! 2022.2.5
ISS多目的実験モジュール「ナウカ(NAUKA)」 2021.7.10

ポラリス・ドーン・ミッション(民間人初の宇宙遊泳)

2022年02月15日 | 宇宙開発
すごいニュースが飛び込んできた。
昨年9月にスペースXで全民間人宇宙飛行を成功させたShift4Payments創設者兼CEOの
ジャレッド・アイザックマンが新たな宇宙飛行計画を2月14日に発表した。

その内容は2022年度の後半期に全民間人宇宙飛行による船外宇宙遊泳を行うというものだ。

民間人初の宇宙遊泳 は、スペースアドベンチャー社が2023年6月に計画しているソユーズMS25によるISS
ツアーのオプションとして行われる予定だった(そのツアー客が前澤友作氏という噂がある)が
それに先駆けて2022年度中に民間人初の宇宙遊泳が行われることが確定した。

今回使われる宇宙船はスペースX社のクルードラゴンである。宇宙船がレジリアンスであるかは
発表されてないが、いずれにせよ船外活動を行える仕様に変えたものになると思われる。

宇宙遊泳に使用する宇宙服もスペースX社のオリジナル船外宇宙服となる。これはスペースX社が
将来の火星ミッションに向けて1000体以上作成することになるであろう船外宇宙服の第1号となる。

ジャレッド・アイザックマンはこのミッションを実施するためにスペースX社と多額の契約を
交わしているがその金額については明らかにしていない。

ジャレッド・アイザックマンはミッションの目的を「人類による宇宙探査を加速するため」と
述べているが、このミッションで民間企業による宇宙への進出が急速に早まることは確実である。

さらに驚くべきは、今回のポラリス・ドーン・ミッションは壮大なミッションの1回目であり、
2回目では、今後の宇宙飛行に向けてスペースリンクを使用した宇宙通信の確率と科学探査の
さらなる追求を目指しているという。

そして3回目は spaceXスターシップ(乗員と貨物を月・火星・深宇宙へと輸送する人類初の宇宙船)
の最初の有人宇宙飛行になると明言している。イーロンマスクはジャレッド・アイザックマンが差し
出した手を選んだようだ。


話題を今回のポラリス・ドーン・ミッションに戻そう。

今回のミッションのクルーは以下の4名である。

ミッション司令官、ジャレッド・ルーク・アイザックマン
Shift4のCEOである彼は7000時間以上の飛行経験をもつ熟練パイロットでもある。またブラックダイヤモンド・ジェット・チームの一員として自らジェット機を操縦して100以上の航空ショーに参加している。航空ショーのパフォーマンスはチャリティーに捧げており、2008年と2009年の世界一周飛行では、メイク・ア・ウィッシュ財団への寄付と認知度を高めるためにいくつかの世界記録を保持している。また2011年にアイザックマンは世界最大の民間航空会社となるドラーケンインターナショナルを共同設立し、アメリカ軍のパイロットを養成している。

ミッションパイロット、スコット・キッド・ポティート
彼は退役したアメリカ空軍中佐で、第64攻撃飛行隊長、アメリカ空軍サンダーバード4番機デモパイロット、アメリカ空軍兵器学校卒業生、運用試験評価パイロット、飛行試験官など、さまざまな役割を20年間務めている。空軍退役後はDraken Internationalのビジネス開発ディレクターやShift4(NYSE:FOUR)の戦略担当副社長などさまざまな職務を務め、Inspiration4(世界初の民間人による宇宙ミッション)ではミッション・ディレクターを務めた。

ミッションスペシャリスト、サラ・ギリス
サラ・ギリスはSpaceX社のリード・スペース・オペレーション・エンジニアで、同社の宇宙飛行士トレーニングプログラムの監督を担当している。また、NASAの最初のミッションであるDemo-2およびCrew-1の宇宙飛行士を準備し、最近では、軌道に乗った初の民間人クルーであるInspiration4宇宙飛行士を直接訓練した。サラは経験豊富なミッション・コントロール・オペレーターであり、ナビゲーション・オフィサーとして国際宇宙ステーションへの貨物補給ミッションのリアルタイム・オペレーションをサポートし、ドラゴンの有人宇宙飛行ミッションではクルー・コミュニケーターとして活躍している。2015年、コロラド大学ボルダー校で工学とダンスを学びながら、サラはスペースX社でインターンシップを始め、ドラゴン宇宙船内部のヒューマンインザループ試験に従事した後、宇宙飛行士訓練プログラムにフルタイムで移行した。コロラド州ボルダー出身のサラは、熱心なハイカー、クライマー、冒険家でもある。

ミッションスペシャリスト&メディカルオフィサー、アンナ・メノン
アンナ・メノンはSpaceXのリード・スペース・オペレーション・エンジニアで、クルー運用の開発を管理し、ミッション・ディレクターとクルー・コミュニケーターとしてミッション・コントロールに携わっている。SpaceXでの在職中、彼女はドラゴンのクルー機能の実装を主導し、クルーコミュニケーターオペレーターの役割の確立に貢献し、火災やキャビンの減圧などの車両の緊急事態への重要な運用対応を開発した。アンナは、Demo-2、Crew-1、CRS-22、CRS-23といった複数のドラゴンミッションでミッションコントロールを担当し、SpaceX入社以前は、NASAで7年間、国際宇宙ステーションの生物医学フライトコントローラーとして勤務していた。この職務では、ミッションコントロールから宇宙ステーションのクルーをサポートし、国際的なパートナーのエンジニアと医療ケアの統合を支援し、エクスペディション47/48のすべての生物医学業務の計画と実行を主導した。テキサスクリスチャン大学で数学とスペイン語の学士号を、デューク大学で生物医学工学の修士号を取得している。


今回のクルーを見ると民間人宇宙飛行とは言え、今後、スペースX社による商業宇宙飛行を担って行くであろうクルーたちが人選されていることが分かる。

今回のミッションでは、これまでのドラゴンミッションよりも高く飛んで、これまでに飛んだ最高の地球軌道に到達すると発表されている。

具体的な軌道高度は示されていないがヴァン・アレン放射線帯の一部を周回し、宇宙飛行と宇宙放射線が人間にどんな影響を及ぼすかを調べる計画があるそうだ。そのほかにも将来の長期宇宙飛行に備えて様々な健康影響調査が予定されているようだ。

また、月、火星へのミッションに必要な宇宙通信システム「スターリンクレーザーベース通信」を初めて行うとアナウンスされている。

今回の宇宙飛行は形式的にはジャレッド・アイザックマンとスペースX社による商業宇宙飛行であるが、その内容は少し前のNASAを凌駕するほどのミッション内容となっている。

今回のミッション計画をみて、ついに民間企業の宇宙進出もここまで来たか…と驚きを感じざるを得なかった。

2021年は宇宙旅行元年であったが、2022年はのちに宇宙創出元年と位置づけられる宇宙開発史のターニングポイントとなることだろう。

(関連ブログ)
2021年は宇宙旅行元年! 2021.2.6
インスピレーション4ミッション リフトオフ成功! 2021.9.16
インスピレーション4ミッション~DAY2~ 2021.9.18
インスピレーション4ミッション~無事帰還~ 2021.9.19

ISS(国際宇宙ステーション)2030年まで運用継続!

2022年02月05日 | 宇宙開発
バイデン・ハリス政権が2030年までの国際宇宙ステーション運用延長を正式に発表した。

ISS 2030: NASA Extends Operations of the International Space Station


当初の計画では2020年までの予定だった運用が2024年までは延長されていたが、今回の発表
で2030年まで運用を延長すること、そして2031年1月に廃棄することが決定事項となった。

2030年までの10年間は微小重力空間を利用した研究のさらなる推進と商業宇宙ステーション
運用へのシームレスな移行期間となるようだ。

商業宇宙ステーションについては2016年にビゲロウ・エアロスペースが拡張型活動モジュール
(BEAM)をISSにドッキングさせてテストを行っていたが、ビゲロウは2021年12月にBEAMの
所有権をNASAに譲渡し現在は運用を停止している。

今後はNASAの承認を得たアクシオム・スペース社が本格的な商業宇宙ステーションを建造して
ISSへドッキングさせていく予定だ。計画では2024年からISS上で組み立てを行い、遅くとも
2030年にはISSから分離して単独の宇宙ステーションとなる。

アクシオム・スペース社は第1回目の商業宇宙観光ミッションを2022年3月31日にスペースX
(レジリエンス)で実施する。将来的には年に2回のペースでISSへの宇宙観光ツアーを計画し
ており、2回目のツアーとなるAxiom-2を2022年12月に、3回目のツアーAxiom-3を2023年6月
に予定している。そのどちらかにトム・クルーズが搭乗する可能性があるようだ。(当初の計
画では第1回目のツアーに搭乗する予定だったらしいが…)


さて、ついに運用終了時期が決まってしまったISSだが、振り返ってみると1998年11月に組み立
てが始まり、完成したのが2011年5月なので完成から10年、製造開始から数えると23年の月日が
過ぎていることになる。


完成までの過程を見ると実に複雑な工程だったのだなぁとあらためて感じるとともにこれを廃棄
してしまうのはとても惜しい気がしてならない。耐用年数を越えたモノはリスクを伴うので仕方
ないことだが、胸が痛くなる思いだ。

と言っても運用終了までまだ8年もあるのでこれからも安全な航行を続けて有終の美を飾ること
を切に願っている。

月の石

2022年01月21日 | 宇宙開発
大崎生涯学習センターで開催されている「月の石展」に行ってきました~

 展示されているのはアポロ15号が採取した月の石とルナ計画で採取された月の砂ですが…
今回の展示で特筆すべきはルナ計画で採取に成功した月の砂が全てがそろっていることです。

こちらが展示ブース。左側にルナが地球に持ち帰った月の砂が、右側に月の石が鎮座しています。


 これがルナが持ち帰ったサンプル群、一見するとサンプルケースの中に入っている棒状のものが月の石のように見えますが、そこに付着している小さなつぶつぶがお目当ての月の砂です。


 サンプルの左側に拡大レンズが設置してあるのでその位置から見ると月の砂が大きく見えます…と言いたいところですが、実際は黒ゴマ状の粒が付着しているのが分かる程度です。


 ソ連がサンプルリターン・ミッションとして月に送り込んだルナは6機、成功した3機が着陸した地点は下記のとおり。

 ルナ20号が回収したのは豊かの海と危機の海の間にあるアポロニウス高地の砂。分析の結果、70%が白色の斜長石であることが分かっています。


ルナ計画ミニ知識〈主な功績とエピソードメモ〉φ(..)
ルナ 2号1959.9.12 人類初の月面到達宇宙機
ルナ 3号1959.10.4 世界で初めて月の裏側撮影
ルナ 9号1966.1.31 人類初の月面軟着陸、月面上で撮影成功
ルナ10号1966.3.31 世界で初めて月周回軌道投入に成功
ルナ15号1969.7.13 アポロ11号に先駆けて月の石を回収することを目的としてアポロ11号の3日前にリフトオフ、アポロ11号と同じ日に月面に着陸してサンプルを回収する予定だったが月面に衝突して失敗。
ルナ16号1970.9.12 世界で初めて無人探査機で月の石を回収することに成功
ルナ17号1970.11.10 世界初の月面車(ルノホート1号)による月面調査成功 史上初めて他天体に到達した遠隔操作可能なロボットとなる。月面上の11日間にあたる11か月間調査を続けた。
ルナ18号1971.9.7 豊かの海に軟着陸後通信途絶、サンプルリターン失敗
ルナ21号1973.1.8 ルノホート2号、月面調査成功  1993.10ルノホート2号とルナ21号$68,500で売却、購入者はリチャード ギャリオット 2008.10.12にsoyuzでISSへ(6人目の宇宙旅行者)
ルナ23号1974.10.28 サンプルリターン失敗、危機の海にて横転
ルナ24号1976.8.9 ラスト・ルナミッション サンプルリターン成功 コスモアイル羽咋にルナ24号バックアップの実物展示


 次はいよいよ月の石です。


これがアポロ15号が持ち帰った月の石、99.445グラム


正面から撮影した写真


裏面には切断面があります。


切断面のクローズアップ


右45度から撮影したクローズアップ写真


右45度から見た全体像


月の石の実物を見るのは初めてなので何とも言えませんが想像してたのとは違う結晶構造です。

 アクリル越しですが写真とは違って目の前で見る月の石は実に迫力があって神々しさを感じました。
こんなに近距離で月の石を見る機会は二度とないと思われるのでしっかり目に焼き付けてきました。

この展示を運営されている「パレットおおさき」の皆様には心から感謝です。おかげさまで素晴らしい時間を過ごすことができました~。ありがとうございました。

展示室の入り口には各種の宇宙船の模型が展示されてます。


こちらもなかなか見ごたえありますよ~。








大気圏再突入直前のDRAGON CRS-23 DEBについて

2021年11月24日 | 宇宙開発
ISS 補給船ドラゴン(CRS-23)を打ち上げたファルコン9ロケットの第2段ロケットが
11月18日19時37分(JST)に大気圏に再突入して南アフリカ沖に落下した。

 CRS-23 DEB は落下直前の17時11分に日本上空を通過していたのだが、日本上空を通過
することに気付いたのが18時過ぎだったため惜しくも見ることはできなかった。

 その通過予報図をよく見るといろいろと気付くことがある。

 一つは移動速度の速さである。通過図を見ると南西仰角40°から天頂を通過して北東の
仰角30°までの通過時間がわずかに1分である。この速さはISSと比較しておよそ2倍である。

 これまで何度か落下直前の人工衛星を見て漠然と移動速度がかなり速いと思っていたが、
ISSの約2倍の速さだったということに至極納得した。

 もうひとつ気付いたことは地球の影に入る時刻の早さである。CRS-23 DEB は17時11分に地球の影に入って見えなくなっているが、この日の17時11分の太陽高度はまだ-10°なので航海薄明も終わっていない。この時間の空は2等星が見え始めるころでまだ薄明るい。それにもかかわらず地球の影に入ってしまう軌道の低さはあらためて尋常ではないと実感した。

 落下直前の人工衛星ウオッチングはなかなかスリリングでISS観望とは違ったワクワク感がある。またひとつ楽しみを見つけてしまった。ネット上には落下直前のサテライト情報がたくさんあるので知りたい情報が簡単に手に入ってしまう。困ったもんだ…。


〈関連ブログ〉
大気圏再突入直前のCZ-7ロケットボディ 目撃記録 
まもなく落下か?CZ-7 ロケットボディ目撃記録
長征5号Bロケット・コアボディ 目撃記録 

ISS宇宙映画クランクイン!

2021年10月08日 | 宇宙開発
女優ユリア・ペレシルドさんによるISSでの映画撮影が順調にスタートしたようです。

 ISSで元気な姿を見せているユリア・ペレシルドさんですが髪の毛がすごいことになっていますね~。これって映画撮影用の髪型なのでしょうか?いくら無重力と言ってもここまで垂直に髪の毛が上がることはないですよね~。

→ツイッター動画

 ソユーズハッチオープン後にISSに入ってきたユリア・ペレシルドさんを見るとナチュラル無重力ヘアになっているわけで、これがフツーですよね~。
Soyuz MS-19 hatch opening



…ということはやっぱり垂直上昇ヘアは映画撮影用かユリア・ペレシルドさんのお気に入り髪型ということなのでしょうか?
 撮影はロシアモジュールで行われているようでロシア人宇宙飛行士2人も出演しているそうです。

インスピレーション4ミッション~無事帰還~

2021年09月19日 | 宇宙開発
米国東部時刻午後07時06分、予定どおりの時刻にフロリダ沖大西洋に無事着水しました。


クルードラゴンは回収船に引き上げられて…


スタッフがハッチオープンの準備をします。



最初に降りてきたのはヘイリーさんです。すこぶる元気のようですね。

人類初の民間人だけの宇宙旅行が見事成功です!

 宇宙で過ごした3日間の様子は随時公開されることでしょう。どんな3日間を過ごしたのか?
映像の公開を待つことにしましょう。 

インスピレーション4ミッション~DAY2~

2021年09月18日 | 宇宙開発
高度580km上空のドラゴンからインスピレーション4ミッションの様子が続々と届いています。

セントジュード病院のトレーナーを着ているヘイリーさんは、病院に入院している子供たちと
チャットで通信して宇宙での様子を伝えたようです。


ヘイリーさんがキューポラから見える地球を紹介しました~。

YouTube→Space Talk with Inspiration4 Crew + St. Jude Patients | St. Jude & Inspiration4

宇宙酔い心配していたクリス・センブロスキーさんも元気なようで良かったです。みなさん宇宙旅行を思う存分楽しんでいるようですね。YouTubeでキューポラの様子が見られます。

YouTube→Inspiration4's on-orbit tour of SpaceX Crew Dragon incl. cupola, art & ukulele

 宇宙での食事も楽しんでいるようですよ。

Inspiration4がクルーの宇宙食リストをツイートしたときこんなやりとりがありました~。

Inspiration4 @Inspiration4×
「私たちが今、宇宙で冷たいピザを食べてるなんて信じられる?ありえないことでしょう。」
これは宇宙旅行を楽しんでいるインスピレーション4クルーの宇宙食リストです。
午前7:44 · 2021年9月18日

Elon Musk @elonmusk(イーロンマスク)
返信先: @inspiration4xさん
「すみません、確かに船内は寒いですね! 次回までにフードウォーマーと無料のwifiを
ドラゴンで利用できるようにします。」
午前8:17 · 2021年9月18日·Twitter for iPhone

Inspiration4 @inspiration4x
返信先: @elonmuskさん
「私たちのクルーが宇宙でピザを食べる宇宙飛行士の道を開いたことを光栄に思います。」
午前8:21 · 2021年9月18日·Twitter Web App

 さすがイーロンマスク!反応が早いですね~。これからドラゴンには居住用のグッズが
たくさん取り付けられて快適に過ごすことができるようになるでしょう。


クルードラゴン「レジリエンス」の帰還予定日時は9月19日08時06分(日本時間)です。
ドラゴンはすでに2回の軌道離脱用スラスター噴射を終えて高度365km軌道に降りているようです。
フロリダ沖大西洋に着水するときの時間は午後07時06分のようだけど明るさはどうなのかな?

インスピレーション4ミッション リフトオフ成功!

2021年09月16日 | 宇宙開発
快挙です!
民間企業が開発したロケットで民間人だけを載せた宇宙旅行がついに実現しました!!! 

 今回の宇宙船は野口宇宙飛行士が乗ったクルードラゴン「レジリエンス」のドッキング装置を外して360°宇宙を見渡せる観察窓「キューポラ」を取り付けた観光仕様クルードラゴンです。

 今回のツアー実現には、Shift4ペイメントの共同創設者兼CEOであるジャレッド・アイザックマンがイーロン・マスクと会った時に別れ際に「実は民間人だけを乗せて宇宙旅行をすることを考えているんだ…」と話したところ「じゃぁ、きみが一番最初にやってみる?」と言われて話がすぐに決まったという経緯があるそうです。

 イーロン・マスクは「人類は多惑星種にならなければならない」と豪語して火星移住用のロケットを建造中ですが、ジャレッド・アイザックマンの熱い思いが無ければこんなに早く商業宇宙旅行が実現することはなかったことでしょう。今回のフライトが民間宇宙旅行を加速させるブースターになったことは間違いないですね。

 さて、今回のツアーはISSには寄港せず3日間地球周回軌道を回ります。高度はISS軌道より150kmも高い570kmの軌道です。ハッブル宇宙望遠鏡(高度540km)の修理に行ったスペースシャトル乗員が体験した高度よりも高いところです。(これまでの地球周回高度記録は1966年ジェミニ11号の高度1374km、他アポロ宇宙船の乗員)

 高度540kmから3日間も地球を眺められるので感動的な宇宙体験になると思いますが、個人的には健康面での懸念を感じています。本来クルードラゴンやソユーズはISSへ人員を輸送するタクシーフライトの意味合いを持っているのでリフトオフからドッキングまでの時短化がかなり進んでいます。

 ソユーズに比べかなり広い空間を持っているクルードラゴンですが大人4名がこの空間で3日間を過ごすにはそれなりの苦労が伴うと思います。訓練を重ねた宇宙飛行士でも宇宙酔いには苦労するようですのでメンタル面も含めてどのように克服したかが今後の宇宙旅行に向けての参考事項になると思います。

今回のクルーは以下の4名
 ミッションコマンダー、ジャレッド・アイザックマン(38歳)
 メディカルオフィサー、ヘイリー・アルセノー(29歳)
 ミッションスペシャリスト、クリス・センブロスキー(42歳)
 ミッションパイロット、シアン・プロクター博士(51歳)
 
 コマンダーのジャレッド・アイザックマンはShift4ペイメントのCEOであるがアクロバットチームに所属するほどのパイロットであり南極大陸に出かけるまでの冒険家でもある。今回のミッションで費用を全額負担することに対して、自分はラッキーな人生だったため今の自分があるが誰もが希望が持てる人生を送ってほしいという願いを込めて「希望」を象徴するシートにジュード小児研究病院で医師助手を務めているヘイリー・アルセノーさんを招待したと語っている。

 ヘイリー・アルセノーさんは10歳の時に骨肉腫を患いジュード病院で治療を受けて完治した女性である。退院するときに将来はジュード病院で看護師として働くことを決意したそうだがその夢を実現して今幸せな人生を送っている。左足には埋め込み型義足を装着している。彼女は「人生で美しいのは予測がつかないこと。だから希望が持てる」と言っている。彼女の人生を物語っている言葉だ。

 残りの2席は「寛大」「繁栄」を象徴するシートだがジャレッドはジュード小児研究病院に送る2億ドルの寄付金を集めるためジュード病院に寄付をすることを条件に宇宙旅行参加者を募集した。

 応募者の中から「繁栄」のシートに選ばれたのが地球科学者のシアン・プロクター博士である。彼女はNASAの宇宙飛行士最終選考に残ったが惜しくも選ばれなかった黒人女性だ。今回のフライトで4人目の黒人女性宇宙飛行士になる。彼女の父は独学で微積分・物理・化学を学び19歳という若さでNASAに就職し、グアムの宇宙ステーション追跡センターに勤めてアポロ11号帰還の際に行方不明になたアポロを唯一追跡して着水地点を計算した人物である。後日ニールアームストロングから感謝の気持ちを込めた直筆サインをもらったが、シアン・プロクター博士は今回そのサインを私物として持ち込んでいる。

 「寛大」のシートに座るのは空軍に勤めていたことのあるクリス・センブロスキーさん。小さい頃から宇宙に興味を持っていた男性で見た感じは失礼な言い方だがどこにでもいる親父という風貌をしている。この方が宇宙に行けるのなら自分も行けるよね~と思わせるキャラクターでまさに「寛大」のシートにぴったりだと感じた。ただ、遠心分離機?の訓練で6Gを体験したときに嘔吐をしていたので宇宙酔いに苦しんでいるのでは…と個人的に心配している。酔い止めの薬が効くことを願っている。


ミッションコマンダー、ジャレッド・アイザックマンさん(左)とミッションスペシャリスト、クリス・センブロスキーさん(右)

今回はNASAミッションではないのでスペースXのロゴの方にサインしてます。

ミッションパイロット、シアン・プロクター博士(左)とメディカルオフィサー、ヘイリー・アルセノーさん(右)

今回のフライトのもう一人(一匹?)のクルー「ジュードさん」

ミッションZero-Gインジケーター:ジュード小児研究病院の医療介護犬ゴールデン・レトリバー
「ジュード」のシートはありませ~ん。いつも浮いています。

キューポラから見る570km彼方の地球

View from Dragon’s cupola credit:spaceX

注:ご紹介したエピソードはNetflixで配信されている「宇宙へのカウントダウン」で詳しく見ることができます。

〈関連過去ブログ〉
2021年は宇宙旅行元年!

ブルーオリジン有人初飛行:4人目の乗客を発表!

2021年07月16日 | 宇宙開発
ブルーオリジンがツイッターで4人目の乗客を発表した。

 それによるとオークションの勝者がスケジュールの都合で2回目以降の飛行で宇宙に行くことになったためシートが空いたことをオークションで最後まで競合した2番手の入札者(すでに2回目の飛行で宇宙に行くことが決まっていたが)に連絡し最初の有料顧客としてフライトできることを伝えて今回の搭乗が決まったようだ。

 4人目の乗客は昨年高校を卒業し今年の9月からオランダのユトレイヒ大学入学予定の Oliver Daemenさん。なんと18歳である。このフライトで史上最年少宇宙飛行士となる。

credit: AFP
 ちなみにこれまでの最年少宇宙飛行士は1961年8月7日にボストーク2号で宇宙飛行をしたゲルマン・ステパノヴィチ・チトフ宇宙飛行士(25歳)である。彼はガガーリンに続く史上2番目の宇宙飛行士となった。ガガーリンは飛行中、船内に固定されていたため動けなかったが、ゲルマンは自由に動くことが出来たため、初めて宇宙船を操縦し、船内で食事をし、地球と宇宙空間を直に撮影し、宇宙酔いを初めて経験した人間として記録されている。

 18歳の Oliver Daemenさんはその記録を60年ぶりに塗り替えることになる。今回の搭乗料金は公表されていないが代金は Oliver Daemenさんの父(ヘッジファンド、サマセット・キャピトル・パートナーズのCEO兼創設者)が支払って、息子にプレゼントしたようである。

credit: Instagram.Oliver Daemen

 アメリカ人初の宇宙飛行士アラン・シェパード(弾道軌道飛行)の名前を付けたブルーオリジンのロケット「ニュー・シェパード」はアポロ11号が月面着陸した日と同じ7月20日に打ち上げられる。搭乗者はアマゾン創業者のジェフ・ベゾスさんと弟さん、最年長宇宙飛行士となる Wally Funk さんと最年少宇宙飛行士となるOliver Daemenさんの4名。リフトオフは7月20日22時00分(JST)を予定している。LIVE中継もあるようだ。

いよいよ民間商業宇宙旅行者第1号がリフトオフする。近未来の出来事と思っていた民間宇宙旅行時代の幕開けがホントにやってくる。スゴイ時代になったものだ…。


関連ブログ
7月11日にスペースシップ・ツーがフルキャビン宇宙飛行を実施!
ブルーオリジン テストフライト(NS-14)
2021年は宇宙旅行元年!