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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

8月9日の土星(中央緯度3.29°)

2024年08月12日 | 土星
ここ最近の土星撮影パターンとなっている「早寝早起き」をして外に出て望遠鏡カバーをはずしたのは02時を過ぎた頃… 空の様子は雲量7~8で土星はかろうじて見えている状態です。

 うむ、想定どおりです。Windy情報で8月9日未明に250hPa/10km上空風速が5m/sとなっていましたが晴れる予報ではありません。なので本日の撮影は「雲間からの必殺スナイパーショット」作戦です。

 雲が切れるのを期待して待つこと十数分、雲のスキマが大きくなって土星がはっきり見えてきました。チャンス到来です。さっそく連続撮影を開始しましょう!

 ふう、撮影は60秒露出で18回ほど撮ることができました。8ショットまでは薄雲がある状態、9ショット以降は快星の状態で撮影できましたが、せっかくなので18ショット全てをDe-rotationしてみたらなかなかの高解像度の土星となりました。

総露出時間18分の土星(撮影時高度 43°、光度 0.8等、視直径18".9)

2024/8/9 02h42m μ210+Takahashi 2× Ortho Barlow+ADC+ASI290MC(UV/IRcut) 
Shutter=82.93ms Gain=350 (58%) 1min × 18times Autostakkert3 50%  De-rotation



土星と衛星タイタン

2024/8/9 02h46m μ210+Takahashi 2× Ortho Barlow+ADC+ASI290MC(UV/IRcut) 
Shutter=82.93ms Gain=350 (58%) 1min × 11times Autostakkert3 50%  De-rotation


 
 動画撮影時に衛星タイタン(8.3等)は見えていましたがレジスタックス処理をしたらテチス(10.2等)が写っていたので撮影した動画を厳選して De-rotation したところ、エンケラドス(11.7等)も写っていました。わぉ!


土星の衛星、タイタン、テチス、エンケラドス

2024/8/9 02h42m μ210+Takahashi 2× Ortho Barlow+ADC+ASI290MC(UV/IRcut) 
Shutter=82.93ms Gain=350 (58%) 1min × 4times Autostakkert3 50%  De-rotation


 う~む、アップした画像ではエンケラドスが暗くてよく分かりませんね~。Xにもポストしているのでそちらの画像の方が分かるかな…と思ったのですが、あまり変わりありませんでした~。(^^ゞ

 今回の土星は今シーズンのベストショットとなりましたが、これ以上の好気流はこの夏やってくるのでしょうか? もはや好気流ハンターとなった晴れスタ惑星撮影班が次なる好気流の到来を鋭意捜索中です。8月9日は火星と木星も撮影しているのでその様子は次回のブログで~。


8月9日のシーイング

8月3日の土星(中央緯度3.07°)

2024年08月04日 | 土星
8月3日に撮影した土星の記録です。

 スマホのスヌーズが鳴る前には起きるぞ~という強い意志(←最初のアラームで起きる気持ちは無いのかい!)を貫いて起床したのが02時を少し過ぎた頃…

 すでに土星の南中時刻、02時10分は過ぎていますが望遠鏡は昨日の日没直後からセットしてあるので撮影はすぐ始められます。さて、気流はどうでしょう?

 昨日の宵の口にアンタレスやアルビレオを観望したときは気流が良くなかったのですが、ふむ、気流は落ち着いています。かなりいいようです。

 本日の土星は、中央緯度3.07°、光度0.8等、視直径18".8 で、撮影開始時の高度は45°です。

で、こちらが本日のファーストショットです。なかなかいい感じです。

2024/8/3 02h35m μ210+Takahashi 2× Ortho Barlow+ADC+ASI290MC(UV/IRcut) 
Shutter=85.78ms Gain=350 (58%) De-rotation 240s+120s Autostakkert3 50%


 お~っと、2ショットを撮ったところで、まさかの雲発生です! 海霧のような雲がサーッとやって来て土星の光度が急激に低下してしまいました。あちゃ~、もっと早い時間から撮影すべきだった…と後悔しても後の祭りです。トホホ…

 え、うそでしょ… と言いたくなるほどのどん曇りになって空の星はあっという間に見えなくなりました。東の空では次のターゲットの火星と木星がアルデバランと並んでキレイな正三角形を作っていたのですがそれも見えません。

 こりゃ~、望遠鏡撤収かな…とも思ったのですが撤収は明るくなってからでいいかな…とそのままにしていると、03時15分頃から雲間に星が見えるようになりました。

 そのタイミングで撮影した3ショットをDe-rotationした土星がこちらの2画像です。さすがに薄明が進んでいるので背景が明るくなっていますが気流の良さが分かる画像ですね。



2024/8/3 03h17m μ210+Takahashi 2× Ortho Barlow+ADC+ASI290MC(UV/IRcut) 
Shutter=74.97ms Gain=370 (61%) De-rotation 120s×3  Autostakkert3 50%





2024/8/3 03h18m μ210+Takahashi 2× Ortho Barlow+ADC+ASI290MC(UV/IRcut) 
Shutter=74.97ms Gain=370 (61%) De-rotation 120s×2  Autostakkert3 50%



シーイングはこんな感じでした~

 今回の気流はWindy情報によると250hPa/10kmで風速が5m/sという驚異的なそよかぜ気流でしたが、Windy情報を見るとこの先の2週間は長時間続く晴天はなし!気流は風速9m/s前後の時もありますがそれはごく短時間で、風速20m/s前後の日が多いようです。

 この夏の惑星撮影は、気流の良い時間に待ち構えて雲間から惑星が見えた瞬間を狙って撮影するというスタイルになりそうです。

 さてさて、本日の惑星撮影会ですが、薄明は進んでましたが 03時20分~03時50分に火星と木星を撮影することができました。現在、画像処理中なのでその様子は次回のブログで~

7月23日の土星(中央緯度2.72°)

2024年07月25日 | 土星
中央緯度(環の傾き)が2.72°になった土星の撮影記録です。
 7/22と7/23は、仙台もいよいよ梅雨明けか~と思わせる晴天だったのですが…

 気象情報を見ると、その後は梅雨前線が南下して1週間ほど梅雨空が戻ってくるとのこと… つまり7/22~7/23の晴天は単なる梅雨の中休みということです。

 なぬ~、では仙台の夏はいつ来るの~? と嘆いてもしょうがないので、晴れスタ撮影班がお得意?の早寝早起きをして緊急惑星撮影会を決行しました~。

 撮影ターゲットは、土星→火星→木星の3惑星です。気流はそれほど良くありませんが、新規購入したTakahashi 2× Ortho Barlowの見え具合も確かめたかったので02時から観望を始めました。

 観望&撮影望遠鏡はμ210です。土星の衛星でPowermate2×とTakahashi 2× Ortho Barlow見え方を比較してみたのですが、特に大きな差異はないように感じました。

 ただ、気象条件の変化もあるので確かなことは言えませんが、若干、Takahashi 2× Ortho Barlowの方が明るい感じがしました。これについては気象条件の良い日に再度確認ですね~。

 で、こちらが7/23日に撮影した土星です。どれもDe-rotation処理をしているので撮影時刻はDe-rotation処理後の中央時刻となってます。

 環の傾きは中央緯度2.72°になっているので6月20日に撮影した中央緯度2.40°よりは大きくなっているはずですが、見た目の違いは分かりませんね。(^^ゞ

中央緯度2.72°の土星、光度0.9等、視直径18".5、撮影時高度45°

2024/7/23 02h45m μ210+Takahashi 2× Ortho Barlow+ADC+ASI290MC(UV/IRcut) De-rotation
Shutter=71.55ms Gain=350 (58%) Duration=250s Autostakkert3 50%



 仙台上空は夏の気団と梅雨前線のちょうどきわにあたるので気流はビミョーです。
明らかに6月20日の方が好気流でした~。

2024/7/23 02h48m μ210+Takahashi 2× Ortho Barlow+ADC+ASI290MC(UV/IRcut) De-rotation
Shutter=82.55ms Gain=350 (58%) Duration=580s Autostakkert3 50%



 一応ここに衛星レアがありますが、透明度が良くなかったのでボケボケです。

2024/7/23 02h53m μ210+Takahashi 2× Ortho Barlow+ADC+ASI290MC(UV/IRcut) De-rotation
Shutter=82.55ms Gain=350 (58%) Duration=240s Autostakkert3 50%



 そうそう、今朝の土星食はざんねんながら見ることができませんでした~。

2024/7/25 0h25m20s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f450mm ISO3200 F6 1/1250sec

 日付が変わる頃は晴れていたのですが、朝になると雲がモクモクで月が姿を現わすことはありませんでした。ざんねん~。

 月がある西の空にうっすらと虹がかかっていました。「朝、虹がかかるとまもなく雨」の観天望気どおり、間もなく本曇りになって日中は雷雨を伴う大雨となりました。

Over The Rainbow「虹の彼方の土星食」

2024/7/25 06h15m16s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO1600 F20 1/1600sec
 
 昔から「雷が鳴ると梅雨が明ける」と言われていて、実際そのとおりになることが多かった気がしますが、この頃は観天望気も変わってきたのですかね~。予報では仙台は30日まで雨模様が続くようです。トホホ…

 次回のブログは2024年初撮影の火星観望レポートで~す。
 

青空の中の土星(6/20)

2024年06月30日 | 土星
6/20に撮影した土星の再チェックをしていたところ、ラストショットが日の出直後だったことを発見! 青空の中に見える土星をこの解像度で撮ったことはなかったので思いがけずのメモリアルショットとなりました~。

「日の出5分後に撮影した土星(撮影時高度44°)

2024/6/20 04h17m μ210+Powermate2×+ADC+ASI290MC(UV/IRcut)CMI=182.8° CMIII=95.6°
Shutter=22.98ms Gain=352 (58%) Duration=30s Autostakkert3 75% of 1306frames



青空の中の土星(2024.6.20)

 気流が良かったので調子に乗って遊び感覚で撮影していたので露出時間はわずか30秒だったのですが、こんなによく写るのならもっとまじめに撮影すればよかった… (_ _)


7月25日の「青空の中の土星食」は日の出から2時間後で高度が20°程度なので気流が良くても今回のように解像度よく撮影することは難しいと思いますが光度が1.1等→0.9等、視直径は17".6→18".6 になるので条件次第では同等の撮影ができると考えてチャレンジしてみることにしましょう。


下弦前日の月と土星の接近(6/28)

2024年06月28日 | 土星
6月28日は2024年見たい天体現象で紹介した「下弦前日の月と土星の接近日」なので早起きをしてウオッチングしてみました~。

 予報では高層雲の広がる薄曇りの天気でしたが、外に出て空を見上げると… ふむ、予報どおりです。月は見えてますが星はアルタイルがどうにか見える程度で、月のすぐそばにある土星は目をこらしてもまったく見えませんでした。

 双眼鏡で見ても見えない場合は撮影不可なので双眼鏡を月に向けて確認すると、あらら、しっかり見えます。ビミョーです。月の周りには天気が崩れる前触れの「22°ハロー」がかかっているので天気の回復は見込めませんが、とりあえず600mm望遠レンズで撮影会スタートです。

 ふう、雲で減光されているので土星の写りがイマイチでしたが、何とか撮影することができました。で、こちらが本日のまとめの写真で~す。

下弦前日の月と土星の接近photo(撮影時の離角: 1°47"19')


2024/6/28 02h36m40s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO1600 F7.1 1/100sec

  撮影時の空の様子はこんな感じでした~。

2024/6/28 02h28m28s D810A NIKON VR24mm-70mm f2.8 f24mm ISO1600 F2.8 1sec  (トリミング)

 本日のラストフォト、薄雲はずっとこの状態でした。ざんねん~

2024/6/28 03h09m07s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO1600 F7.1 1/60sec

 そうそう、空のチェックをするために外に出て月を見上げた直後(時刻は01時50分頃)にペガスス座から月に向かって南下していく衛星がフレア(-1等級)を起こす瞬間を目撃しました。

 すぐ、HEAVENS ABOVEのスカイビューを見たのですが該当する衛星はありませんでした。HEAVENS ABOVEのスカイビューは可視状態の衛星のみを表示するのでステラナビで全衛星を表示させて調べたのですが該当なしでした。

 これは完全な極軌道衛星なのでスパイ衛星か、はたまた100個のデブリをまき散らしたロシアのRESURS-P1衛星か~、と思ってHEAVENS ABOVEでRESURS-P1衛星(39186)の通過情報を確認したのですがその時間の通過はありませんでした。

 たぶん、どこぞの国のスパイ衛星だったのでしょうね。

6月20日の土星(中央緯度2.40°)

2024年06月21日 | 土星
6月20日未明に撮影した「環の傾きが今年最小の2.39°」になる一日前の土星です。 


2024/6/20 03h44m 03h47m μ210+Powermate2×+ADC+ASI290MC(UV/IRcut) De-rotation(2枚合成)
Shutter=42.97ms Gain=350 (58%) Duration=360s(120s+240s)Autostakkert3 25%


 上記画像は2枚(120s露出と240s露出)の画像をDe-rotationしています。

 ↓ De-rotationする前の240秒露出1枚画像はこんな感じです。

2024/6/20 03h47m μ210+Powermate2×+ADC+ASI290MC(UV/IRcut)CMI=165.2° CMIII=78.7°
Shutter=42.97ms Gain=350 (58%) Duration=240s Autostakkert3 25% of 5586frames


 実は数日前からWindyの高層気流予報で6/20未明の250hPa風速が15m/s~19m/sとなってたので、ホンマかいな~? どーせ、いつものように撮影してみたら違ってたパターンでしょ…と思っていたのですが、どうやら予報は間違っていなかったようです。なんと、真夏並みの好気流でした。わぉ!

シーイングはこんな感じでした。

 こちらは撮影時の天気図です。たまたまヒマラヤ山脈で分断された偏西風の狭間に東北地方が入ったことでできた一時的なスポット好気流だったようです。

 6/19の宵の口に月と恒星を撮影した時はそれほど気流が良くなかったので、これほど激変するとは思っていませんでした。好気流が一日遅れて来てたら本年最小の中央緯度2.39°の土星が撮れたのですが中央緯度2.40°をこの解像度で撮れたので御の字ですね。

 Windy予報を見ると中央緯度が2.39°になっている期間の6/29までは250hPa風速予想が30m/s~57m/sなので高解像度の土星は撮れそうにないですが、晴れ間を見つけて撮影にチャレンジしてみることにしましょう。

6月14日の土星(中央緯度 2.45°)

2024年06月15日 | 土星
6月14日に撮影した土星です。撮影時の高度は38°で、前回(5/10)撮影した時の高度が23°だったのでその時よりはましになってます。(^^ゞ



 撮影時の惑星面中央緯度は2.45°でした。(↓ 国立天文台・惑星の自転軸)

 土星の環の消失現象は来年ですが今年は2025年に負けないほど環が細くなります。今年土星の中央緯度が最小になるのは6/21からで中央緯度は2.39°になります。

 中央緯度が2.39°になっている期間は6/29までの9日間ですが、その前後は望遠鏡で撮影しても細さに違いは(望遠鏡の性能によりますが…)ないと思います。

 国立天文台・惑星の自転軸で調べたところ、中央緯度(環の傾き)は、7/2→2.41°、7/11→2.50°、7/20→2.68°、8/1→3.01°、9/1→4.29°、10/1→5.57°、11/1→6.35°、12/1→6.24°になるようです。

 今年の1月11日撮影時は中央緯度が10.34°だったので、この5か月でいっきに細くなりましたね。
↓この写真のレイアウトは1994・1995にハッブル宇宙望遠鏡が写した画像のオマージュです。(^^ゞ


 こちらはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が初めて撮影した土星の画像ですが、今回は撮影条件が悪い(地球から見て土星が太陽方向にある)ので環の消失現象をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影することはないですかね~。

The James Webb Space Telescope's first image of Saturn. NASA, ESA, CSA, STScI, M. Tiscareno (SETI Institute), M. Hedman (University of Idaho), M. El Moutamid (Cornell University), M. Showalter (SETI Institute), L. Fletcher (University of Leicester), H. Hammel (AURA); image processing by J. DePasquale (STScI)


〈近い将来、土星の環がホントに消失する!?〉
 さて、土星の環の消失現象は15年周期で土星から見て地球が赤道方向にある場合に地球から環が見えにくくなる現象のコトですが、こちらは環がホントに消失するかも…という話です。

 これは2023年に発表された3つの論文で示唆されているもので、2004年から2017年にかけて土星を周回したNASAのカッシーニ探査機のデータ分析を元に発表された論文です。それによると…

 「土星の環はほとんどが氷の塊とごく一部の小さな岩石粒子でできているため宇宙の塵が堆積するにつれて時間の経過とともに暗くなる。この原理を用いてカッシーニ探査機が土星系の環から集めた土星系外からの163個の塵の粒を分析し氷の塊の古さを調べたところ、古さはせいぜい4億年程度…」

 さらに「イカロス誌に掲載された研究の1つでは、環は刹那的なものでもあり、あと1500万年から4億年しか持たない可能性があると推定されている」とのこと…

 宇宙的時間規模で見ると土星のリングは長い間存在していなかったし今後も残っていない可能性が高いとなると「人類が土星のリングを見ることができたのはとても幸運なこと…」と言えますね。

 土星の環は刹那的なもの… 

 またひとつ、宇宙の神秘を知りました~。

さて、話は変わってここからは恒例の余談コーナーです!
 土星の試し撮りをしているときになんと飛行機の土星面通過に遭遇しました~。

 今回もアレキサンダー・ビーズの時と同じようにPC画面を見ているときに突然画像が乱れたので土星を見上げると飛行機の翼端灯が点滅していたので、あー、ジェット後流か~、と思ったのですが…

 画像を確認すると一コマだけ真っ黒な画面があったので飛行機による掩蔽だということが判明!

 こちらが元動画で…

 こちらがコマ送り画像です。

 連続画像で見ると一コマだけ真っ黒なことが分かります。

 撮影時の土星高度は26°なのでボケボケですがジェット後流で画像が乱れているのも分かりますね。

 飛行機の通過時刻は02時15分34秒(17:15:34 UTC)だったのでFlightrader24のPlaybackで調べたところ、サンフランシスコ発→ソウル着のボーイング777だったようです。

 仙台湾上空10,973mを通過する飛行機が土星と重なるとは、アレクサンダー・ビーズ飛行機通過に匹敵するミラクルな出来事ですね。オドロキでした~。

土星・環の消失現象シーズンイン!

2024年05月11日 | 土星
土星の環の消失現象まであと1年(2025年3月24日と2025年5月7日)と近づいてきました。

 明け方東の空に見えている土星の環はかなり細くなっているはずなので早朝撮影にチャレンジしてみました。撮影した5月10日の土星の高度変化は下記のとおりですが、条件が厳しい上に気流が真冬並みのボヨンボヨンとグワングワンだったので撮影画像はまったくのだめだめでした。

01時58分 土星出
02時30分 高度5°
02時46分 天文薄明開始
02時50分 高度10°
03時20分 高度15° 航海薄明開始
03時50分 高度20°
04時00分 市民薄明開始

 撮影は高度が7°に達した頃から始めたのですが、低高度では環を確認することもままならぬ状態だったのでこの時間に撮影した画像はすべてお蔵入りです。笑

 で、こちらは3時50分、高度20°で撮影した土星です。すでに航海薄明が始まっている時間です。高度が20°もあれば夏場だったらそこそこ写るのですがこの日は寒気が流入したせいか真冬と同じような感じでした。

2024年の土星ファーストショット! 惑星面緯度3.35°、視直径16.4” 、光度1.2等

2024/5/10 03h50m(JST)CMI=109.0° CMIII=316.3° 
Duration=90s  Shutter=57.33ms Gain=352 (58%) 25% of 1571frames ap1

 まー、それでも環がかなり細くなって串団子に近い様相だということは分かるかなと思います。撮影時の惑星面緯度は3.35°でした。昨年最後に撮影した12月9日の土星は惑星面緯度が12.18°だったのでイッキに細くなりましたね。

2023年12月9日撮影土星、惑星面緯度12.18°、視直径16.7" 、光度0.9等、撮影時高度36°

2023/12/9 17h50m(JST)CMI=318.4° CMIII=232.6° FocalLength=5700mm
Duration=240s  Shutter=44.50ms Gain=350 (58%) 50% of 5394frames ap29


03時52分撮影、高度20°、航海薄明中

2024/5/10 03h52m(JST) CMI=110.1° CMIII=317.4°
Duration=90s  Shutter=57.33ms Gain=350 (58%) 25% of 1570frames ap1

 気流が落ち着かないまま時間は過ぎて時刻はまもなく市民薄明が始まる時間です。4時になると時報のようにヒバリがあちこちでさえずりを始めました。どうやらお目覚めの時間のようです。ヒバリのさえずりといえば空高いところでホバリングしながら鳴くのが特徴ですが、寝起きの状態では地面で鳴いています。

 有明の月と火星の接近を撮影した時もヒバリが至近距離の地面で突然鳴き始めたのでビックリしました。地面で鳴いているぶんヒバリまでの距離が近いのでふだんのさえずりよりは大きな声に聞こえて、はっきり言ってうるさいです。笑


04時04分撮影、高度22°、市民薄明開始4分後

2024/5/10 04h04m(JST) CMI=117.4° CMIII=324.4°
Duration=90s  Shutter=52.78ms Gain=350 (58%) 25% of 1706frames ap1

 市民薄明は外で新聞が読める明るさで農作業ができる明るさでもあります。望遠鏡のファインダーの中では土星がまだ見えていますが、肉眼では土星を視認することがまったくできません。そろそろ撮影会終了の時刻です。


04時07分撮影、高度23°、市民薄明開始7分後

2024/5/10 03h50m CMI=118.7° CMIII=325.7°
Duration=90s  Shutter=53.91ms Gain=350 (58%) 25% of 1670frames ap1

 最後に望遠鏡の惑星カメラを外して眼視で土星を見てみましたが、まだ完全な串刺し状態ではなく環の盤面がわずかに見える状態だということを確認できました。5/10の惑星面緯度は3.35° ですが今後は徐々に惑星面緯度が小さくなって2024年で最小となるのは6月28日の2.39° です。

 6月下旬は天文薄明開始時の土星高度が35°に達するので撮影条件はかなり良くなります。早朝の撮影であることに変わりはありませんが早起きして環の消失直前の土星を楽しむことにしましょう。

 そうそう余談ですが、寒気が流入した5月10日早朝の気温は3℃まで下がりました。天気予報で4月上旬並みの気温になると言ってましたがカメラバッグには霜が降りて真っ白でした。GWも終わったこの時期に個体になった水(こおりです)を見るとは思いませんでした。

二十六夜月と土星の接近(5/4)

2024年05月07日 | 土星
5月4日は旧暦3月26日、2024年見たい天体現象「月と惑星の接近(5月~8月編)」で紹介した「二十六夜月と土星の接近」の日です。

  5月4日の月出の時刻は02時22分、土星出は02時20分です。03時過ぎに観望地に着くとやや赤みを帯びた月が煌々と輝いていましたが、土星はどこにあるのかまったく見えませんでした。

 土星は月の東側3°のところにあるので双眼鏡で見てみると、ふむ、ありました。かすかに見えます。どーも、薄雲が広がっているようですね。

 土星は1.2等級なのでカメラでは写りましたが、スッキリしない空模様です。

2024/5/4 03h18m19s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f320mm ISO5000 F7.1 1/5sec


 土星の南にあるのはみずがめ座の恒星です。薄雲で月明かりが拡散している様子が見て取れます。

2024/5/4 03h18m36s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f460mm ISO5000 F7.1 1/5sec


 広角で撮るとこんな感じ、ほぼ同じ明るさの火星が8°ほど離れたところで輝いていました。

2024/5/4 03h22m44s D810A NIKON VR24-70mm f/2.8 ISO5000 f70mm F2.8 1/8sec


 ブルーモーメントの時間を待って撮影しましたが、その時には土星が暗くなって、月に露出を合わせると土星が写らなくなってしまい、結局イメージどおりの写真は撮れずじまいでした。

2024/5/4 04h09m53s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f500mm ISO6400 F9 1/400sec


 ブルーモーメントの空に浮かぶ二十六夜月(月齢25.0、輝面比0.25)

2024/5/4 04h20m46s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f500mm ISO1600 F7.1 1/640sec(トリミング)

 4時20分を過ぎると撮影画像で土星を確認できなくなったため撮影会は終了です。撮影開始時の土星高度は10°で撮影終了時の土星高度は21°でした。土星を拡大撮影するはまだ厳しいですが次回晴れたときに環がどの程度細くなっているか撮影にチャレンジしてみることにしましょう。



12月9日の土星(シン・システム構築 アイピース対決 編)

2023年12月11日 | 土星
12月9日に実施した「シン・システム構築 アイピース対決 土星編~その2」の記録です。

〈シン・システム7thトライアル 〉
・撮影日時:2023年12月9日17時00分~
・撮影システム:μ210+各種アイピース+拡大撮影アダプター+ASI290MC(UV/IRcut)
・拡大撮影カメラアダプター:TCA-4(拡大チューブ引き延ばし無し)
・アイピース:TPL-25mm(TAKAHASHI)、PL25mm(SE200N 付属品)、 SPL25mm(たぶん付属品)
       K 20mm(CORONADO P.S.T 付属品)、Or18mm(谷オルソ)
・合成焦点距離:撮影データに記載
・土星データ:視直径16.61"、光度 0.96等
・画像処理(AS!3→RegiStax6→RGB3色分解→位置合わせ→RGB合成→画像処理)


PL25mm

2023/12/9 17h14m(JST)CMI=297.7° CMIII=212.7°  FocalLength=5850mm
Duration=240s  Shutter=47.50ms Gain=350 (58%) 50% of 5052frames ap28


SPL25mm

2023/12/9 17h20m(JST) CMI=302.3° CMIII=217.1° FocalLength=5600mm
Duration=240s  Shutter=43ms Gain=350 (58%) 50% of 5580frames ap28


K 20mm

2023/12/9 17h29m(JST) CMI=306.1° CMIII=220.7° FocalLength=6750mm
Duration=240s  Shutter=66.50ms Gain=350 (58%) 50% of 3609frames ap30



Or.18mm

2023/12/9 17h42m(JST)CMI=313.7° CMIII=228.1° FocalLength=12300mm
Duration=240s  Shutter=58.50ms Gain=445 (74%) 50% of 4102frames ap30



TPL-25mm

2023/12/9 17h50m(JST)CMI=318.4° CMIII=232.6° FocalLength=5700mm
Duration=240s  Shutter=44.50ms Gain=350 (58%) 50% of 5394frames ap29



〈比較図〉


〈考察〉
・まずもって今回の気流は撮影をためらうほどの乱流だったので、結果としてはたまたま安定した気流に遭遇したアイピースの解像度が良かった…という感じがある。とはいえアイピースの差はそれなりに見られたのでPCモニター上の様子も含めて考察してみたい。

・初参加のケルナー(K20mm)は色収差が大きくピントの山もつかめずでいいとこなしだった。ただしこれがケルナーの特性なのかこのアイピースの持つ資質なのかは不明(たぶん後者だとは思うが…)。

・谷オルソ18mmはパラメーター上の合成焦点距離が12,800mmなのでF60になる。さすがに拡大率が大きすぎるのでセンサーのゴミの映り込みも多く、また、ゲインも440まで上げているので粒状性も荒さが目立つ。やはりμ210では過剰倍率といえるだろう。

・さて、ザ・プルーセル・トリオだが、これはなかなか面白い結果となった。気流が悪いためモニター上ではカッシーニの空隙を確認することはできなかったが画像処理をするとTPL-25mmだけカッシーニの空隙が浮かび上がってきた。僅差ではあるがシャープさと発色の良さもTPL-25mmが一番良い結果となった。

・そして、これまで2連勝だったPL25mmは気流の影響が大きかったせいか精彩を欠いていて結果としては第3位だった。また今回初参加のもう一つのプルーセルSPL25mmはなかなかの健闘ぶりだった。タイプ的にはPL25mmと同じだが主点の位置のちがいで合成焦点距離が若干短くなるようだ。

・以上のことから結論として、この3種のプルーセルはどれも拡大撮影に使用して特に問題ないアイピースだと言えるだろう。

・今後のテストとしては顕微鏡用対物レンズを流用して拡大撮影でどの程度通用するかを調べたいところだが準備ができるまでは、30cmドブでISS(CSSを含む)を対象として「プルーセル25mm+ASI290MC」と「谷オルソ18mm+ASI174MM」の2つのシステムでテストを行う予定である。