晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

6月14日の土星(中央緯度 2.45°)

2024年06月15日 | 土星
6月14日に撮影した土星です。撮影時の高度は38°で、前回(5/10)撮影した時の高度が23°だったのでその時よりはましになってます。(^^ゞ



 撮影時の惑星面中央緯度は2.45°でした。(↓ 国立天文台・惑星の自転軸)

 土星の環の消失現象は来年ですが今年は2025年に負けないほど環が細くなります。今年土星の中央緯度が最小になるのは6/21からで中央緯度は2.39°になります。

 中央緯度が2.39°になっている期間は6/29までの9日間ですが、その前後は望遠鏡で撮影しても細さに違いは(望遠鏡の性能によりますが…)ないと思います。

 国立天文台・惑星の自転軸で調べたところ、中央緯度(環の傾き)は、7/2→2.41°、7/11→2.50°、7/20→2.68°、8/1→3.01°、9/1→4.29°、10/1→5.57°、11/1→6.35°、12/1→6.24°になるようです。

 今年の1月11日撮影時は中央緯度が10.34°だったので、この5か月でいっきに細くなりましたね。
↓この写真のレイアウトは1994・1995にハッブル宇宙望遠鏡が写した画像のオマージュです。(^^ゞ


 こちらはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が初めて撮影した土星の画像ですが、今回は撮影条件が悪い(地球から見て土星が太陽方向にある)ので環の消失現象をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影することはないですかね~。

The James Webb Space Telescope's first image of Saturn. NASA, ESA, CSA, STScI, M. Tiscareno (SETI Institute), M. Hedman (University of Idaho), M. El Moutamid (Cornell University), M. Showalter (SETI Institute), L. Fletcher (University of Leicester), H. Hammel (AURA); image processing by J. DePasquale (STScI)


〈近い将来、土星の環がホントに消失する!?〉
 さて、土星の環の消失現象は15年周期で土星から見て地球が赤道方向にある場合に地球から環が見えにくくなる現象のコトですが、こちらは環がホントに消失するかも…という話です。

 これは2023年に発表された3つの論文で示唆されているもので、2004年から2017年にかけて土星を周回したNASAのカッシーニ探査機のデータ分析を元に発表された論文です。それによると…

 「土星の環はほとんどが氷の塊とごく一部の小さな岩石粒子でできているため宇宙の塵が堆積するにつれて時間の経過とともに暗くなる。この原理を用いてカッシーニ探査機が土星系の環から集めた土星系外からの163個の塵の粒を分析し氷の塊の古さを調べたところ、古さはせいぜい4億年程度…」

 さらに「イカロス誌に掲載された研究の1つでは、環は刹那的なものでもあり、あと1500万年から4億年しか持たない可能性があると推定されている」とのこと…

 宇宙的時間規模で見ると土星のリングは長い間存在していなかったし今後も残っていない可能性が高いとなると「人類が土星のリングを見ることができたのはとても幸運なこと…」と言えますね。

 土星の環は刹那的なもの… 

 またひとつ、宇宙の神秘を知りました~。

さて、話は変わってここからは恒例の余談コーナーです!
 土星の試し撮りをしているときになんと飛行機の土星面通過に遭遇しました~。

 今回もアレキサンダー・ビーズの時と同じようにPC画面を見ているときに突然画像が乱れたので土星を見上げると飛行機の翼端灯が点滅していたので、あー、ジェット後流か~、と思ったのですが…

 画像を確認すると一コマだけ真っ黒な画面があったので飛行機による掩蔽だということが判明!

 こちらが元動画で…

 こちらがコマ送り画像です。

 連続画像で見ると一コマだけ真っ黒なことが分かります。

 撮影時の土星高度は26°なのでボケボケですがジェット後流で画像が乱れているのも分かりますね。

 飛行機の通過時刻は02時15分34秒(17:15:34 UTC)だったのでFlightrader24のPlaybackで調べたところ、サンフランシスコ発→ソウル着のボーイング777だったようです。

 仙台湾上空10,973mを通過する飛行機が土星と重なるとは、アレクサンダー・ビーズ飛行機通過に匹敵するミラクルな出来事ですね。オドロキでした~。

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2 コメント

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Unknown (ich)
2024-06-16 08:50:21
晴れスターさん
 土星の環が5ヶ月でずいぶん傾きが変わるのに驚きでした。1年の中でも変わっていくものなんですね。私は消失に向かって一定の変化率で進むのかと思ってましたよ。土星を見たり撮影する励みになりますね。
 ちっちゃい土星の前を旅客機が通過するというレアな掩蔽現象も、観察時間が長ければこそです。私はファインダーの視野を通過するのを見たぐらいしかありませんが、画面上で突然土星が消えればぎょっとしますよね。
 梅雨入り前でなんとか晴れる日があって月ぐらいなら見てますが、この先晴れと月齢と休みがうまく合ってほしいものです。
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そろそろ梅雨入り? (晴れスター)
2024-06-16 10:07:12
ichさん
 昔とくらべると夜間に飛んでいる飛行機が多くなっていて…というより飛んでいる飛行機の絶対数が格段に多くなっているので月の前面を飛行機が通過することはそれほどめずらしいことではなくなってきてますよね。視直径の小さい惑星となると話は別ですが、今後スターリンク衛星が予定どおり打ち上がると衛星による惑星面通過がそこそこの頻度で起きるのでは…と思ってます。いくら減光対策をしても掩蔽は機体を透明にしない限り発生しますからね~。
 さて、遅れていた梅雨入りも来週中にはやってきそうですが、今年は梅雨入り前でもスッキリ晴れることがないので普段はぜったい望遠鏡を出動さないような薄曇りでも意地になって月の撮影を行ってます。笑 結局満足のいく画像は撮れないのですが6/14にアポロ16号ランディングポイントのロケハン撮影をしたので後日アップする予定で~す。
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