ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

アンコントローラブル

2012年10月26日 | ノンジャンル
出張、お客様の来日と、曜日や時間の感覚も麻痺する
ほどの忙しさで、今月ももう終わりに近い。

今現在、知り合いに、どうにもこうにもお酒を
止められないでいる人がいる。

悲しいお酒、辛い、苦しいお酒、自分の存在を否定しか
できないお酒、飲みたくはないけれど、飲みたいお酒。
地獄というのは、単に苦しい、辛いということではなく、
アンコントローラブルな状態のことを言うのである。

つまり、どれほどの強い意志を持っていようと、
自分自身を制御することがまるでできないのである。

ガンになった人が、自身の強い意志でそれを自力で
直そうとしても、ガンの進行を抑えられないのと
同じである。
いや、ガンの場合は、時に自身の強い生きる意志で、
ある程度の抑制が働くかもしれない。

端的に言えば、飛行中の飛行機において、まったく
操縦ができない状態といった方がいいかもしれない。
この、「アンコントローラブル」という言葉は、
私自身が最も恐れる言葉でもある。

周りから見れば、「飲まなければいい」だけの
話である。
ところが本人にしてみれば、精神的に
アンコントローラブルな
状態に陥っている以上、自身の意志ではどうにも
できないのである。

人が人であるのは、理性という制御が働いている
からであり、それが働かなければ鬼畜同然である。
本人の意志とは関係なく、ただお酒を欲求する回路に
翻弄され、操られている様は、もはや人ではなくなる。

入院している母親を見舞いに行き、お酒を買うための
腕時計や指輪など、金目のものを母親から奪って
買いに走った人。

子供の貯金箱を割って、お酒を買いに走った人。

周りから見れば、人でなしである。
繰り返し言うが、この状態はもはや人ではない。
飲むためなら、手段を選ばない。
何としてでもお酒を手に入れ、お酒を飲むことが
その人のすべてなのである。

この失われた制御を取り戻すには、やはり医療の力が
必要なのである。
アルコール依存症が病気であるという認識から、本人も
周りもスタートしなければ、解決の糸口は見つからない。

この病気を発症して医療に掛る人は全体の約2割。
そのうち、一年を断酒して過ごせる人も約2割。
つまり全体の4%に過ぎないが、継続して2年以上と
なるとさらに2割となり、ぜんたいの1%を割り込む
こととなる。

それだけ、回復の軌道に乗るのが難しい病気であるという
ことを本人は無論のこと、周りも認識することが
本当に大切なのである。

ともかくも、止められないアンコントローラブルな状況に
陥ってしまっている時は、まずはどんなことをしても
止めるところから始めなければならない。

その上で、多少の制御を取り戻し、自身の生き方を冷静に
考えることができるようになった時からは、
意志の問題となる。

認識が浅ければ、失敗を繰り返す。
この病気は生死に直結する。
飲めば死に至るということを理性を取り戻した頭で
認識した上で、どうするのかは、その人の意志の
問題である。
同じ死ぬなら、自身を取り戻し、自身の意志で死ねばよい。

アンコントローラブルの問題は、自身の意志もない中で
死んでしまうことなのである。



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2 Comments

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Unknown (kei)
2012-10-27 21:11:48
こんばんは^-^
痛感させられます。依存症の怖さ、例え何年たっても意識して行かないと。。
元気に働いていれば周りは大丈夫と思い困惑する事言われますが、無理とストレスは自分には大敵だと言う事だけはきちんと話し続けたいと思います。仕事以上の事ですね。

アンコントローラブルな人、わたしの身近にもいますがやはり難しい問題で経験を話し続ける・病識を良く知っていく手助けのほんの一つに自分もなっていきたいと思っています。
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Unknown (jetlinks)
2012-10-28 15:36:02
不思議な事に、この病気については、本人の方が
同じ病人に対して厳しいような気がします。

回復のためにはお酒をやめ続けること。
その一点においては何も変わりません。

今、断酒を継続しているか、止められないでいるか、
やめては飲みを繰り返しているか。

それは、この病気のあらわれ方という、表面的な事で、
根本的には同じであると考えています。

私自身、断酒を継続していることと、根本的な問題とは
別のことであると自覚しています。
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