今年を漢字一文字でと言えば、迷いもなく「苦」の一字である。
手術ができるという事で、少しは前向きな想いで新年を迎えたが、
手術後の合併症などで恐ろしく体力を奪われた。
痛みでもうだめかと思い、苦しみでもうだめかと思い、
何とか退院した後も、様々な症状が出て、穏やかに過ごせた
日々は本当にわずかだった。
苦しみながら永らえるよりは、短くとも穏やかに過ごしたいという
願いも虚しく、少し楽になるとまた苦しいという日々を繰り返し、
もう早12月。ガンの発見後、苦しみながら一年を生き延びたことになる。
年内に3回目の抗ガン剤投与。本当に幸いなのは副作用に苦しめられる
ことが今のところほとんどないという事だ。
顔色や肌つやが良くなったと周りから言われるが、自分ではそれほどの
変化を感じていない。
ただ、手術後ずっと嗄れ声になって息も続かず、かすれていた声が、
少しずつ自分の本来の声に戻ってきたのは目立った変化である。
もう歌も歌えないと諦めていたのだが、何とか自分の好きな
曲を歌うこともできるようになってきた。
これは気分転換の意味では非常に大きい。
いずれにせよ、新たな年は、還暦の年でもある。
願わくは、「苦」が転じて、自身にとっても、世間にとっても
「穏」の一字の年とならんことを。
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