新庁舎建設に関する入札は先月完了しました。
その入札結果の議案が9月議会に上程されています。
9月18日総務常任委員会に付され、その後本会議にかけられ、採決を行います。(9月30日)
復旧工事も決して順調に進んでいるとは言えない中、新庁舎など建てて良いものでしょうか。
今年1月15日(火)~2月4日(月)にかけて、新庁舎建設についてのパブコメを市は取りました。
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新庁舎建設基本設計(案)に関する市民意見募集結果
この結果に謙虚に耳を傾けたら、このまま進めることに市民の同意があるとは思えません。
以下は市HPに掲載された建設に否定的な意見要旨と市の考え方です。
≪復興事業を優先≫
・震災復旧に費用をついやすべきだ
・住民が安心して生活が出来るようにすることが最優先、現時点で庁舎建設優先はやめるべき
・復興の目途がつき、財政のゆとりが見通せた来年若しくは再来年改めて判断すべ
・少し復旧してきたものの、生活に密接した事を先に改善して欲しい
・未だ復興には至っておらず、新庁舎建設は時期尚早である
・新庁舎を建設している場合じゃない
・優先順位が違っている
・震災の復興に多額の資金が必要だ
これらの意見に対して市の考え方は・・・・・
震災からの復旧・復興については、これから3年間をかけて、下水道や市道幹線道路の復旧工事とあわせて、液状化対策を含めた新浦安駅・舞浜駅前広場やシンボルロードの復旧・復興工事を実施することとなっています。
国によりますと、千葉では、今後30年以内に震度6弱以上の地震が発生する確率が75.7パーセントと発表されています。庁舎は、大規模災害が発生したときの中核拠点として機能しなければならないことに加え、災害対策をしながらも通常業務を行えなければなりません。こうした機能を維持するためにも、分散化した市民窓口を集めることやバリアフリー対応などの問題を解決するため、震災からの復旧・復興工事などとあわせて新庁舎建設を進
めていきます。
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≪事業費や財政について≫
・87億円の基金で、賄えるようにすべき
・建設基金だけで賄える方法はないのか
・建設事業費を庁舎建設基金内で収めるべき
これらの意見に対して市の考え方は・・・・・
事業の再開にあたりましては、基本計画で想定した面積の縮減を図るなど、事業費削減に努めてまいりました。
しかしながら、東京湾北部を震源とする首都直下地震の発生が懸念されることから、この地震に対応するため、免震構造でのさらなる耐震強度の向上(鉄筋コンクリート造から鉄骨鉄筋コンクリート造)、液状化対策としての地盤改良強度の増強を行うとともに、災害対策として防災井戸の設置、自家発電設備の充実、防災通信設備の充実など行っています。
これらのことから、既存庁舎の解体費などを除いた新庁舎の建設費は、約112億円と試算しています。
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・維持費等は、どのくらいかかるのか
・震災を経て以前の財政事情とは違う
・毎月減少する人口、借金ばかり増える事はないのか
これらの意見に対して市の考え方は・・・・・
将来の財政運営を考慮するとともに、建設にあたっては庁舎建設基金を活用し、ライフサイクルコストや耐久性に配慮した新庁舎といたします。
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≪規模の縮小≫
・10階建ての庁舎が必要なのか。建てるにしても5階建て以下にすべき。議会棟や旧庁舎は修繕・改修して利用できる。
・旧庁舎を改修して新庁舎とつないでもう少し低層な建物にできないのか。
これらの意見に対して市の考え方は・・・・・
新庁舎は、現在、分散しております庁舎機能を集約して建設計画ですので、新庁舎機能に必要な延床面積は、約25,430㎡と考えています。しかしながら、建設用地は限られており、必要規模を建設するには、10階建てとなります。また、現在の庁舎を活用して増築する場合と新庁舎に集約する場合のコスト比較を行った結果、新庁舎に集約する場合の方が有利となっております。
・建替えるとしても、立派な市庁舎は不要である。
これらの意見に対して市の考え方は・・・・・
・本市の立地条件から基礎工事や地盤改良工事には多額の事業費が必要となりますが、建物本体や内部の仕様につきましては、華美にすることなく設計を行っております。
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≪新庁舎の必要性≫
・庁舎の必要性が全く感じられない。
・全く現状でも問題なく震災の時も必要性を全く感じなかった。
・建設を必要とする理由は、すべて今、建設しなければならない理由にはならない。来るべき直下震災に対しても現状の庁舎で十分対応出来る。
これらの意見に対して市の考え方は・・・・・
現在の庁舎には、電力や上下水道などのライフラインが途絶した場合、災害対策本部機能を維持していくだけの設備は有しておりません。
東日本大震災では、市庁舎や周辺のライフラインに大きな被害はありませんでしたが、今後、発生が懸念される東京湾北部を震源とする地震が発生した場合、東日本大震災を上回る揺れにより、ライフラインが途絶することを想定して、このような災害にも対応できる新庁舎の建設が必要であり、新庁舎の建設を他の復興事業と併せて進めてまいります。
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≪民意について≫
・市民への説明がなされていない。市民意見を聞く姿勢が見えない。再度、一時中断したうえで、市民に建設再開の是非を問うべき。
・選挙の争点として公開討議し、市民の判断をあおいだ後に、同意を得て進めるべき。民の声に耳を傾ける市民へのアンケートを実施すべき。
これらの意見に対して市の考え方は・・・・・
新庁舎建設事業につきましては、これまで広報特集号やパブリックコメント、市民ワークショップなどによりお知らせして、ご意見をいただきながら、基本構想、基本計画を作成してきました。また、市議会においても、特別委員会を二度設置して審議いただき、建設について議論を重ね進めてまいりました。
東日本大震災を教訓に防災拠点の機能強化は必要であるとの考えから、事業の再開を決定したものでございます。
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≪新庁舎の機能について≫
・自家発があっても、石油の供給が止まって何日もつのか。
この意見に対して市の考え方は・・・・・
非常用発電機につきましては3日分の燃料を備蓄します。その後、燃料供給が出来れば7日間連続運転は可能です。また、災害時においても安定的に供給されます中圧ガスを使用した常用発電機を併設し、災害時の電源を確保します。
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≪新庁舎の機能について≫
・吹き抜けの効果は未知数。
・吹き抜けの効果について、具体的な数字に基づき評価・判断しているのか。
これらの意見に対して市の考え方は・・・・・
夏季と冬季を除く中間期を想定してシミュレーションした結果、就業時間の約45%の時間帯で空調機の運転を低減できます。また、夏季と中間期の8か月間では、吹抜け廻りの廊下で約30ルクスの照度が得られます。
自然換気、自然採光とも、平常時だけでなく災害時にも有効となります。万一電源の供給が断たれることがあっても、自然換気、自然採光で必要最低限の執務環境を確保することができ、防災拠点施設としての機能を維持します。
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感想:
市の考え方は、どれも意見に対する回答にはなっていないのではないでしょうか。「建設ありき」の姿勢が見受けられます。
「選挙の争点として公開討議し、市民の判断をあおいだ後に、同意を得て進めるべき」との意見がありますが、尤もだと思います。
来秋は市長選なのですから、あと一年先延ばしにして、市長選の争点の一つにして(最大の争点となるでしょう)から取り掛かるべき事案です。
現職市長はこれまで一度も市長選時に新庁舎建設のことを市民に
積極的に問いかけたことはありません。
これでは市民の判断をあおぐことを意識的に避けて来たと言われても致し方ないでしょう。
こんな中での議案上程です。議会は慎重な対応が迫られています。