釣りの上手下手は、釣りセンスの有無が重要な部分を占めるらしい。
昔、無類の酒好き女好きの釣友がおった。
釣行の朝迎えに行くと、ついさっきまで呑んでいたらしく、女の匂いとタバコの火が今にも引火しそうな呼気に、釣り場までの車中、ゲロの心配を欠かしたことがなかった。
しかし、釣りにかけては素晴らしいセンスの持ち主であった。
持ち前のセンスと飽くなき探究心を以って、次々に新たな釣法や仕掛け類をあみ出した。
仕掛けを作らせたら、すっきり美しく市販品など足元にも及ばない仕上がり。
釣り場ではミズスマシの如く涼しげにスイスイと石を飛び、動物的勘でポイントを見極め、ロッドワークも軽やかに数を出す。
オラには到底真似のできない身のこなしなのだ。
若さゆえに事業に失敗し、どこぞに雲隠れしてしまったが、あのまま日の当たる場所を歩いていたら、今頃はきっと釣りの世界で名を上げていたに違いない。
世の中にアユ釣り名人数ある中、いまだに彼ほどの人物を知らない。
あれからもう25年も経つが、毎年解禁が近づく頃、何故かオラはアイツのことを思い出してしまう。
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