yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

秋詞 劉兎錫

2016-09-30 05:30:52 | 文学
中唐の詩人 劉兎錫の七言絶句です。

自古逢秋悲寂寥
我言秋日勝春朝
晴空一鶴排雲上
便引詩情到碧霄.

古(いにしえ)自リ秋ニ逢ヘバ秋寂寥ヲ悲シム
我言フニ秋日ハ春朝ニ勝ル
晴空一鶴雲ヲ排シテ上リ
便(すなわ)チ詩情ヲ引キテ碧霄ニ到ル.



「訳」
   昔から秋にめぐりあうと、そのさびしい風情を悲しむもの。
   私が思うに、秋の季節は春の季節にまさっている。
   晴天の日、一羽の鶴が、雲をおし開いて登りゆき、
   たちまち詩情を引き誘いながら蒼穹に達する。
 

「鑑賞」
  劉兎錫は、科挙に合格して官界に入りましたが、三十代なかばから左遷されて
  地方官暮らしを余儀なくされました。この時代に「竹枝詞」をあらわして人気を博し、
  広く歌われたとそうです。あえて民歌に注目するなど、反骨精神にあふれた人物でした。
  晩年は白居易と親交を深めて、数多くの唱和詩をあらわし、「劉白」と並び称されました。

   井波律子 「中国名詞集」 岩波書店
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