yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

断捨離の周辺

2018-03-29 06:02:50 | 文化
身の周りを単純明快にする「断捨離」の効用がよく採り上げられますが、「ガラクタも捨てなくていい」という意見を発見し、不肖のように決断力が欠けている者にとっては、やや、意を強くさせてもらえる指摘でした。
「断捨離の対極」も良しとする、五木寛之氏の意見を以下に紹介します。
 よくフランスのおばあさんで、狭いアパートにア-ルデコやア-ルヌ-ボ-の装飾
品や写真をたくさん飾り、モノに取り囲まれるようにして暮らしている人がいます。
彼女たちにとって、それらをひとつひとつ手にとって撫でては回想に浸るひとときは老いの寂寥と孤独から解き放たれる至福の時間なのです。音楽も、回想の憑代(よりしろ)となります。(中略)ここにきてレコ-ドが再び注目されているそうです。最近の風潮として、とにかくモノは捨てたほうがいいとされている。三年使わなかったモノは捨てろ、着ない服や靴は処分しろ、とよく言われます。しかし、一見ガラクタであっても、下山期の人間にとっては、すべてが回想の憑代となる。ですから無価値に思えるようなものであっても、実はかけがえのない財産なのです。何も高い古美術や貴重品でなくてもいい、たとえマッチ一箱でも、コ-スタ-一枚でも、手にとって回想しているだけで半日過ぎていく。そういう幸せな時間を、大事にしたいものです。

しかしながら、ガラクタ遺産の整理を任される人への配慮も必要かもしれません。

五木寛之「孤独のすすめ」中公新書ラクレ



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