良寛の漢詩、五言古詩を紹介します。
時憩
擔薪下翠岑
翠岑路不平
時憩長松下
静聞春禽聲
時ニ憩フ
薪ヲ擔(にな)ウテ翠岑(すいしん)ヲ下ル
翠岑路ハ平カナラズ
時ニ憩フ長松ノ下
静カニ聞ク春禽(きん)ノ聲
「訳」
少し欲張って多めの薪を背に春の峰を下る。
目には美しいみどりの峰であるが、馬の背のように狭い路は、まことに凸凹している。
薪の重みも、一歩一歩、肩にかけた細い縄を通して、肩にくい込む。
もう少し、もう少しと歩みながらも、丈高く碧空にそびえる松の下にたどり着くと、やはり自然と休んでしまう。
春とはいうものの、こう体じゅう汗ばんでくると、松の木陰が好ましい。
肌に風を入れると、どこからともなく鶯の声。耳を澄ましていると、あたりの静けさがひときわ深く感ぜられる。
「翠岑」は、緑の峯、春の青々とした峯の意。「春禽」は春の鳥、越後では鶯と推定されます。枯淡素朴に見えますが、句と句の取り合わせと運びが自然で詩情をもりあげています。
吟剣詩舞振興会 「吟剣詩舞道漢詩集 絶句編」
時憩
擔薪下翠岑
翠岑路不平
時憩長松下
静聞春禽聲
時ニ憩フ
薪ヲ擔(にな)ウテ翠岑(すいしん)ヲ下ル
翠岑路ハ平カナラズ
時ニ憩フ長松ノ下
静カニ聞ク春禽(きん)ノ聲
「訳」
少し欲張って多めの薪を背に春の峰を下る。
目には美しいみどりの峰であるが、馬の背のように狭い路は、まことに凸凹している。
薪の重みも、一歩一歩、肩にかけた細い縄を通して、肩にくい込む。
もう少し、もう少しと歩みながらも、丈高く碧空にそびえる松の下にたどり着くと、やはり自然と休んでしまう。
春とはいうものの、こう体じゅう汗ばんでくると、松の木陰が好ましい。
肌に風を入れると、どこからともなく鶯の声。耳を澄ましていると、あたりの静けさがひときわ深く感ぜられる。
「翠岑」は、緑の峯、春の青々とした峯の意。「春禽」は春の鳥、越後では鶯と推定されます。枯淡素朴に見えますが、句と句の取り合わせと運びが自然で詩情をもりあげています。
吟剣詩舞振興会 「吟剣詩舞道漢詩集 絶句編」