yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

嚢中三升の米 良寛

2013-08-08 06:05:18 | 文学
良寛の漢詩、五言古詩を紹介します。


生涯懶立身
騰騰任天真
嚢中三升米
炉辺一束薪
誰問迷悟跡
何知名利塵
夜雨草庵裡
双脚等間伸

生涯立身ニ懶ク
騰騰トシテ天真ニ任ス
嚢中三升ノ米
炉辺一束ノ薪
誰カ問ハン迷悟ノ跡
何ゾ知ラム名利ノ塵
夜雨草庵ノ裡
双脚等間ニ伸バス

「訳」

天性、立身出世ということにとんと欲がなく、ゆったりと自然のなりゆきにまかせて気をつかわない。袋にわずかの米と炉端に少しばかりの薪と、これが全財産といった暮らしぶりである。迷いや悟りといったことも論外のこと、まして名誉、利得のことなどには一切心は動かせぬ。雨の降る夜、誰にはばかることもなく楽々と足を伸ばして寝る。

極貧の生活で、物質的には恵まれていませんが、何物にもとらわれない豊かな精神を持ちつつゆったりとした境地に至っている良寛の姿が伺われます。この漢詩には現代の私達が得難くなった心境が述べられています。

吟剣詩舞振興会 「吟剣詩舞道漢詩集 絶句編」
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