戦国時代の武将、上杉謙信公の作といわれる漢詩です。能登に出陣し、七尾城を陥して月見の宴を催した折に賦しました。
九月十三夜 陣中の作
霜満軍営秋気清
数行過雁月三更
越山併得能州景
遮莫憶家郷遠征
霜は軍営に満ちて秋気清し
数行の過雁 月三更
越山併せ得たり能州の景
さもあらばあれ家郷遠征を憶う
「訳」
見わたす限り、霜が真っ白に戦陣を満たしており、秋の気配が身にしみて清々しい。
雁が二、三行、列をなして飛び過ぎて行く。夜半になり十三夜の月が見事である。
今、首尾良く七尾城を陥しいれ、越後、越中の山々と、能州のこの風景とを併せて眺めることができた。誠に男子の本懐である。
故郷にいる家族たちが、遠征のこの身のことを案じているかもしれない。ままよ、それはそれとしていたしかたない。今宵は心ゆくまで、この十三夜の月を賞でようではないか。
この詩は英気颯爽として武人の面目躍如たるものがあります。しかし、結句にはやや勢がないと評されることがあります。
吟剣詩舞道漢詩集 絶句編 日本吟剣詩舞振興会
九月十三夜 陣中の作
霜満軍営秋気清
数行過雁月三更
越山併得能州景
遮莫憶家郷遠征
霜は軍営に満ちて秋気清し
数行の過雁 月三更
越山併せ得たり能州の景
さもあらばあれ家郷遠征を憶う
「訳」
見わたす限り、霜が真っ白に戦陣を満たしており、秋の気配が身にしみて清々しい。
雁が二、三行、列をなして飛び過ぎて行く。夜半になり十三夜の月が見事である。
今、首尾良く七尾城を陥しいれ、越後、越中の山々と、能州のこの風景とを併せて眺めることができた。誠に男子の本懐である。
故郷にいる家族たちが、遠征のこの身のことを案じているかもしれない。ままよ、それはそれとしていたしかたない。今宵は心ゆくまで、この十三夜の月を賞でようではないか。
この詩は英気颯爽として武人の面目躍如たるものがあります。しかし、結句にはやや勢がないと評されることがあります。
吟剣詩舞道漢詩集 絶句編 日本吟剣詩舞振興会