yoshのブログ

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敵に塩を送る

2012-10-16 06:09:45 | 文化
「敵に塩を送る」は戦国武将、上杉謙信の故事に因んだ言葉です。先日の国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会(於・仙台)の本会合に於いて、IMFのラガルド専務理事が冒頭の挨拶でこの言葉を引用しました。「塩を送る」という日本の故事を引いて、欧州の政府債務(借金)危機などを克服するため、各国の協調が必要だと指摘しました。ラガルド氏はIMFによる学生のエッセー・コンテストで「敵に塩を送る」という故事を知ったということです。
さて、「敵に塩を送る」とは、通常、利敵行為のことですが、上杉謙信も時空を越えて国際的に有名になったものです。
戦国時代、越後の上杉謙信と甲斐の武田信玄は何度も合戦を繰り返して敵対関係にありました。ある時、隣国の今川氏と北条氏が、武田領内への「塩留め」(経済封鎖)を行いましたので、海の無い甲斐の領民は塩を得ることができず、大変苦しみました。
「義」を重んじる上杉謙信は、武田領民の苦しみを見過ごすことができず、越後から信濃(武田領)に塩を送ることを決意しました。また、越後と甲斐で取引される塩が高価にならないように配慮したということです。越後から送られた塩が松本に到着したのが永禄11年(1568)1月11日。この事に感謝の意をこめて、現在でも松本市では、毎年1月11日に「塩市」が開かれています。戦国の雄、上杉謙信の「義」の精神と行動に感動します。自己の利益だけを追求するような品格の無い国家、国民にはなりたくないと思います。
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