先憂後樂と松柏後凋(しょうはくごちょう)は似た趣のある四字熟語です。<o:p></o:p>
先憂後樂は殊に有名です。中国、北宋の「岳陽楼記」にある言葉で、<o:p></o:p>
「士はまさに天下の憂ひに先立ちて憂ひ、天下の楽しみに後れて楽しむ」の意です。東京小石川の後楽園は、水戸徳川家の上屋敷の庭園で、水戸黄門(徳川光圀公)が造りました。岡山の後楽園は岡山藩主、池田綱政公が江戸時代初期に造らせた大名庭園で、金沢の兼六園、水戸の偕楽園と共に日本三名園と言われています。この後楽園の名前の由来は「先憂後樂」からきています。なお「士」は中国においては「士大夫」、即ち「官僚・知識層」のことです。<o:p></o:p>
松柏後凋は「論語」にあり、<o:p></o:p>
「子曰く歳寒くして松柏の凋(しぼ)むに後(おく)るることを知る」が原典です。気候が寒くなってから、はじめて松や柏が散らないで残ることが分かるように、人も危難の時にはじめて真価があらわれる。木々が葉を落としている中に、青々とした松柏がスックと立っている姿は、混乱した世に節操(みさお)を曲げない人物の姿だ。というような意味です。<o:p></o:p>
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時代を越えて今日にも求められる「士」のあり方ではないでしょうか。<o:p></o:p>